コロラドスプリングス
カナビスは地域経済の重要な担い手
小売規模8000万ドル、雇用1100人分相当
Source: Colorado Springs Business Journal
Pub date: October 27, 2006
Subj: Marijuana Sales Distribution Major Part of Economy
Author: John Hazlehurst
http://cannabisnews.com/news/22/thread22325.shtml
コロラド州では11月7日に、21才以上の成人が1オンス(約28g)までのカナビスを合法的に所持できるようにするかどうかの賛否を問う住民投票が実施される。提案されている修正44号案は、2004年に承認されたデンバー市の条例をモデルにしているが、支持派と反対派双方にとって、カナビスの本格的な合法化の是非や規制のあり方について議論する初めての機会になっている。
この問題に対する法的・社会的・モラル的な議論から離れて別の角度からを見ると、今回の投票をどうこう言う以前に、すでに明確な事実が一つ存在していることが分かる。それは、少なくとも現在、コロラドスプリングのあるエルパソ郡では、カナビスの取引が地域経済の主要な担い手になっているという事実だ。
連邦政府が発行しているドラッグ乱用と健康に関する全国調査によると、コロラド州では、住民の13.3%がカナビスを使っている。特に、使用率のピークにある18才から25才までの若者に限れば、全体の3分の1がユーザーとなっている。コロラドスプリングスでは、州全体の数字よりも年齢層が若く傾いているので、住民の約15%がカナビス・ユーザーだと考えられる。人口55万として計算すれば、8万人がユーザーということになる。
また、警察当局や、ユーザー、ディーラーたちの証言をもとにすると、コロラドスプリングスの平均的カナビス・ユーザーが1年間に購入して消費する量はおよそ3オンスで、金額にすると約1000ドルになると見込まれる。この数字を小売業での年間売上げとすれば、8000万ドル規模の市場に相当し、毎月570Kg、1日18Kgのカナビスが売れていることになる。
これを、単純に、典型的なスーパーであるウオルマートの年間売上げ4500万ドルと比較すれば、カナビス取引の経済的影響力は、大店舗スーパー2店に匹敵することになるが・・・
産業関連分析
これについて、コロラド経済開発事務局のスー・ピアットに尋ねると、カナビス取引と違って、そのような店舗では税金も払っているのに加え、建物や供給者や輸送関連から執行部まで複雑なインフラの上に成り立っているので、単純比較は意味がないとして、もっと適切にカナビス取引の影響度を計算するためには、州税務局が提供している各分野別の年間売上げと比較したほうがよい、と指摘してくれた。
例えば、マニトウスプリングスの場合、年間の全小売販売額は6500万ドルになっている。また、ビューナビスタは、それよりも少し高く9000万ドル、クレステットビュッテは7950万ドルで、カナビスの年間取引額とほぼ同じになっている。
専門的になるので、分析は、コロラドスプリングにあるコロラド大学の経済学者 フレッド・クローレイ教授 に依頼し、カナビス取引の産業連関モデルによる経済評価(下の表)を作成してもらった。分析方法ついては、教授は次のように解説している。
「この分析では、カナビス販売による収入が流出することなく、すべて地域経済の中で還流すると仮定し、カナビスの販売によって8000万ドルの収入がもたらされることを前提し計算しています。また、カナビス販売による収入については、大小にかかわらず、特別の設備が必要でない個人販売によるものと仮定しています。」
「言うまでもなく、分析は実際に確認できるようなものではありませんが、カナビス販売の結果としてエルパソ郡で使われるお金の経済波及効果を算出しようとしたものです。また、この計算では、カナビスに係わる社会コストについては、データがないために含まれていません。」
今回の産業関連分析で示された結果は次のようになっている。
- 雇用創出: 1100人
- 収入創出: 年間2983万ドル
- 州・郡・市の消費税収入: 176万ドル
カナビス・ディーラーたちの稼ぎ
当然のころながら、地下経済については、取引伝票や消費税の徴収申告、卸売在庫、銀行預金など追跡できず、通常の評価指数が単純に適応できないために定量化することは難しい。
だが、実際にカナビスを売ったり栽培して収入を得ている人たちに直接話を聞くことはできる。収入の幅は、バーテンやミュージシャン程度から中年のビジネスマン、稼ぎにいいパパママストアにも負けない場合もある。
町のダウンタウンの端にあるアパートに住む20代前半のスレンダーで快活なデーブは、キッチンの壊れそうな木のテーブルに腰かけて、ハイグレードなカナビスの入ったポリ袋を見せながら、「こんなにいい仕事はないと思うよ。このBCバッズは、1オンス400ドルになるんだ」 と言う。
BCバッズは効力の強いカナビスを意味する俗称で、その大半がカナダのブリティッシュコロンビア産だとされている。デーブは末端の小規模ディーラーで、高校時代からごく身近な友人や知合いだけを相手にしている。「以前は町中を自転車で回って届けていたんだけど、今ではメールでリストを送るだけで、取りに来てもらっているよ。」
デーブは、カナビス販売を比較的リスクのない簡単で苦労せずに、ちょっとした稼ぎになるの仕事だと割り切っている。「月に1000ドル位になるし、これ以上商売を大きくするつもりはないよ。パートで建設の仕事もしているから、自分の音楽活動にもたっぷり時間を取れる。コロラド大学を卒業する来年はそのままロースクールに進むつもりなんだ。一生、建設現場というのはいやだからね。」
カナビス販売の規模と特徴
ドラッグ市場の規模の大きさについては、長い間、警察が押収した量をもとにして推定されてきた。専門家たちのあいだでは、押収量は全体の5%にも至らないと見方が一般的だが、昨年の数字では、コロラドでのカナビス押収量は1084Kgで、植物では7383本が摘発されている。植物に関しては、3919本が室内栽培で、3464本が野外で見つかっている。
地元のディーラー筋の話によれば、地元産のカナビスはほぼ例外なく室内で照明を使って栽培されたもので、見つかりさえしなければ、利益の上がるビジネスになっている。人気バーテンダーのジムは手を大きく広げて、「栽培規模はこのバーと同じくらいで、10*15メートル。植物は高さが1.5〜2メートルになるものもある」 と言う。
コロラドスプリングスに暮らし始めてから20年以上になるリリスは50才を過ぎたカナビス・ディーラーのプロで、光にあふれた家は腰かけた彼女はいかにもという趣きを宿している。政府の全国調査によれば、パイクス・ピーク周辺には8万人のカナビス・ユーザーがいることになっていると言うと、彼女は、「その数字はもっと少ないと思いますよ」 といって優しく微笑んだ。
「信じられないかもしれなせんが、私のお客さんはみんなきちんとしていて尊敬できる人たちなんです。私は、お客さんを決して5人以上にしたりしません。供給源を見つけるにはいつも苦労してきましたし、栽培している人を探さなければなりませんから。」
小売ビジネスとしてのカナビス販売には、いくつかのユニークな特徴が見られる。
- 同規模の小売業に必要な配送トラック、倉庫、在庫管理システム、POS、ライセンス、などのインフラがなくてもできる。直接的な税金もない。
- 小売販売は、ほとんどが個人による小規模なもので、資金もほとんど必要ない。
- 個人販売の人たちの大半は、顧客が増えると察知されたり逮捕されたりするリスクが増えるので、一定以上の売上げを求めて販売活動をするようなことはしない。
- 多くがちょっとしたサイドビジネスで、月の売上げは1000ドル以下。収入があるとすぐに使ってしまう。
合法化による影響
もし、カナビスが合法化されて管理的に供給されるようになると、経済的にはどのような影響が出てくるのだろうか?
おそらく、現在ある販売チャンネルは姿を消すことになる。タバコのように重い税金がかけられるだろうが、それでも価格は下落し、個人販売をしているディーラーたちの大半は収入を失うことになるだろう。
クローレイ教授の分析によれば、パイクス・ピーク地区では1000人以上がカナビス取引に関与しているので、合法化の影響は、1000人規模の工場の閉鎖に匹敵することになる。
「宝くじが導入されたとき、ダフ屋や賭博の勧誘がなくなったのと同じで、ディーラーの仕事も終わりになるどろうね」 と、かつてのヒッピーで現在では成功したビジネスマンにおさまっているゲーリは言う。「あの当時は、ギャンブラーもそんなに多くなくて、オッズもよかった。小さくてずっと穏やかで素敵な商売だったんだ。お客を増やすと、ドラッグが粗悪になって金にならなかった。」
「ディーラーも終わりになるけど」 とニッコリ笑いながら言う、「お巡りも仕事をなくすだろうね。」
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コロラドスプリングスにおける
カナビス取引の産業連関モデルによる経済波及評価
雇 用 (人)
事業収入 (ドル)
Complete Article with Chart: http://www.thepbj.com/story.cfm?ID=9934
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