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2007年1月25日


カナビノイド・アゴニストが筋萎縮性側索硬化症の寿命を著しく延ばす
イギリス警察はカナビスに対する警告ガイドラインを徹底していない
刑事司法制度におけるアフリカ系アメリカ人に対する不均衡が目立つ



●カナビノイド・アゴニストが筋萎縮性側索硬化症の寿命を著しく延ばす
2007年1月25日 - アメリカ・アーカンソー州リトルロック発

神経科学ジャーナルに掲載された臨床前研究によると、特別に合成したカナビノイド・アゴニストAM-1241を筋萎縮性側索硬化症(ALS)のマウスに投与したところ生存期間が著しく増加し、最終的には人間の治療に利用できる新しいカナビス・ベースの医薬品の開発につながる可能性が示された。

アーカンソー大学医学部の研究者たちは、筋萎縮性側索硬化症を発症したマウスに連日AM-1241を多量投与すると、対照群のマウスよりも生存期間が56%延びたと報告している。

「症状が発症した時点でAM-1241を開始したときの効果は、これまで報告されている最高の医薬成分を凌ぎ、既に症状を発症していた場合ですら十分太刀打ちできる程で、この発見は、カナビノイド・アゴニストを開発して新薬を作れば、人間の筋萎縮性側索硬化症の発症時に単独もしくは他剤との併用して治療に使える可能性を示唆している。」

THCを使った 
以前の研究 でも、筋萎縮性側索硬化症の動物モデルで、運動不全の進行を遅くらせて生存期間が長くなることが報告されているが、今回のAM-1241の少量投与の場合よりも期間は若干下回っている。

筋萎縮性側索硬化症は、ルーゲーリック病としても知られる致死性の神経変性障害で、脊髄や脳幹、運動野の運動ニューロンを選択的に減少させる。アメリカでは3万人が筋萎縮性側索硬化症を患っていると推計されている。しばしば、健康な成人が突然被患して苦しめられる。筋萎縮性側索硬化症患者の半数以上は、症状発症後2年半以内に死亡する。

現在のところ、筋萎縮性側索硬化症の進行を効果的に遅らせる医薬品は見付かっていない。

一部の研究者たちは、エンドカナビノイド・レセプター・システム の 神経防護作用 と抗炎症作用が、筋萎縮性側索硬化症のような神経変性障害の症状を抑えるのではないかという仮説をとなえている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "The CB2 cannabinoid agonist AM-1241 prolongs survival in a transgenic mouse model of amyotrophic lateral sclerosis when initiated at symptom onset," will appear in a forthcoming issue of the Journal of Neurochemistry.

Additional information on cannabinoids and ALS is available in NORML's new report, "Emerging Clinical Applications for Cannabis and Cannabinoids," available online at: http://www.norml.org//index.cfm?Group_ID=7004
Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7157


●イギリス警察はカナビスに対する警告ガイドラインを徹底していない
2007年1月25日 - イギリス・ヨーク発

ジョセフ・ロウントリー・ファンデーション が今週発表した調査研究によると、イギリスでは2年前から、少量カナビス所持に対しては逮捕ではなく口頭注意する政策が始まったが、実際には警察は散発的にしか実行していないことが明らかにされた。

報告書によると、2004年の法改正で、警察は特別に悪質でない限り、カナビスの少量所持での逮捕を中止するように決められたが、警告だけで済ませたのは全カナビス所持違反の半数以下でしかなかった。また、カナビス事犯で逮捕起訴された被告には、マイノリティが特に目立つことも分かった。

「2004年1月にカナビスがC分類にダウングレードされたときに、逮捕は悪質な場合のみにとどめ、大半の所持違反に対してはその場での警告で済ませるガイドラインが設けられたはずだが、街頭での注意方針は所持違反の半数以下しか実施されていなかった」 と報告書には書かれている。

「また、警察官の半数以上がダウングレードに反対しており、多くの人は、カナビスの逮捕がさらに重大な犯罪の摘発につながっていると述べているが、そのようなケースは実際には1%以下でしかないことも分かった。」

しかし、全カナビス逮捕者数に関しては、警察のガイドライン遵守があまり履行されていないとはいえ、1998年の8万4000人から2004年には5万人に減っている。報告書では、政策変更の結果、43警察管区で25万時間以上の時間節約につながり、350万ポンド(8300万円)の経費節減になったと見積もっている。

イギリス議会は、2004年に、1971年以来続いてきたドラッグ乱用法を初めて抜本的に変更して、カナビスをB分類からC分類へとダウングレード している。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Policing cannabis as a Class C drug: An arresting change' is available online from the Joseph Rowntree Foundation at: http://www.jrf.org.uk/bookshop/details.asp?pubID=857.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7158


●刑事司法制度におけるアフリカ系アメリカ人に対する不均衡が目立つ
2007年1月25日 - アメリカ・カリフォルニア州オークランド発

アメリカ犯罪非行協議会 の発表した新しい報告書によると、未成年に対する司法システムの逮捕から拘留、裁判、判決に至るすべての段階で、アフリカ系アメリカ人などのマイノリティが事犯者になっているケースが目立っている。

特にドラッグ事犯については、同じ犯罪でもマイノリティの若者のほうが白人の若者よりも重い刑罰を受けている。

「政府も懸命に努力しているが、マイノリティの投獄不均衡問題はいまだ改善されていない。司法システム全般で、有色人種の若者、特にアフリカ系アメリカ人の若者が、同程度の犯罪でもより厳しい処罰を科せられている」 と報告書は指摘している。

Full text of the report, "And Justice For Some: Differential Treatment of Youth of Color in the Justice System," is available online from the National Council on Crime and Delinquency at:
http://www.nccd-crc.org/nccd/n_index_main.html.


Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7159