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2007年12月6日


ドラッグ戦争報告書、広域郡の97%が黒人を差別的に標的にしている
カリフォルニアとコロラドの裁判所、警察に押収医療カナビス返却命令
連邦裁判所、ノースダコタ州の農家のヘンプ栽培訴訟を却下



●ドラッグ戦争報告書、広域郡の97%が黒人を差別的に標的にしている
2007年12月6日 - アメリカ・ワシントンDC発

火曜日に 
ジャスティス・ポリシー・インスティテュート が発表した新しい 報告 によると、調査した198郡のうち193郡において、ドラッグ事犯で投獄されるアフリカ系アメリカ人の比率が際立って高いことが明らかになった。

報告書では、白人とアフリカ系アメリカ人とではドラッグの使用率や売買に関わっている率にはほとんど違いがないにもかかわらず、アフリカ系アメリカ人のほうが10倍も多く投獄されていることを見出している。さらに、郡ごとの投獄率とドラッグ使用率の関係はばらばらで何ら相関がないことも明らかにされている。

その代わりに、ドラッグ事犯の投獄率の高い郡では、郡警察や司法財源の規模が大きいという相関がみられ、また、アフリカ系アメリカ人の人口のほうが多くて貧困や失業率も高いという特徴がある。アメリカ全体でのアフリカ系アメリカ人の人口構成比は13%以下に過ぎないが、2002年に全国でドラッグ事犯で投獄された17万5000人の半数以上がアフリカ系アメリカ人になっている。

こうした違いについて、著者たちは、アフリカ系アメリカ人の場合は白人に比らべて執行猶予や仮り出獄のない強制懲役刑が科せられることが多く、さらに警察や法廷の差別的な扱いが人種によるドラッグ投獄率の違いになって表れていると指摘している。

報告書では、このような結果にに対する措置として、ドラッグ戦争を段階的に縮小し、総合的な政策見直しとアフリカ系アメリカ人コミュニティを標的にした現在のドラッグ法を改革することを求めている。また、ドラッグ中毒を防止するための公共サービスの財源を増やすことも合わせて主張している。

ジャスティス・ポリシー・インスティテュートの ジェーソン・ツィーデンベルグ事務局長 は、「公共の安全の脅威にほとんどなっていないドラッグ・ユーザーを相手に法執行の力を注ぐよりも、治療、職業訓練、住宅支援などの効果的な公共安全戦略に地域の財源を振り向けるべきです」 と語っている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at director@norml.org or 202-483-5500.

Full text of the report "The Vortex: The Concentrated Racial Impact of Drug Imprisonment and the Characteristics of Punitive Counties," is available online at: http://www.justicepolicy.org/content.php?hmID=1811&smID=1581&ssmID=69.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7442


●カリフォルニアとコロラドの裁判所、警察に押収医療カナビス返却命令
2007年12月6日 - カリフォルニア州ガーデングローブ、コロラド州フォートコリンズ発

カリフォルニア州控訴審は先のオレンジ郡最高裁の判決を支持して、ガーデングローブ警察に対し、フェリックス・カハさんから押収したカナビス約10グラムを返却するように命じた。このカナビスはカハさんがカリフォルニア州医療カナビス215条例のもとで合法的に入手したもので、オレンジ郡最高裁が返却を命ずる判決を下していた。

これに対して、ガーデングローブ法律事務所が、カナビスを返却すればカナビスの配布を禁じた連邦法に違反することになるとして州控訴審に公訴していた。しかし、州控訴審は、連邦法と州法は別のもので、州の法廷も警察も連邦法の執行責任を負っているわけではないとして、訴えを退けた。

判決では、「ガーデングローブ警察は、実際には、地域に住む市民の健康と快適な暮らしを向上させることを州の裁量に委ねた連邦主義の基本原則を促進するためにある」 としている。

コロラド州フォートコリンズでもカリフォルニアと同様の判決が出て、警察がカナビスを返却している。ジェームス&リサ・マスターズ夫妻はフォートコリンズ警察に逮捕され医療カナビス39本と喫煙器具を押収されたが、16ヶ月後に枯れた植物と喫煙器具の返却を受けた。カナビスは、自分たち用以外にもケアギバーとして他の患者のために栽培していた。

マスターズ夫妻の弁護士で、カナビス法改革に取り組んでいる 
センシブル・コロラド の代表でもあるブライアン・ビンセント氏によれば、押収された医療カナビスが返却された量としては過去最大になると言う。

マスターズ夫妻は、現在、フォートコリンズ警察に対して、訴訟中の16ヶ月間に植物の状態を維持できなかった弁済補償として10万ドルを求める訴訟を起こすと抗議している。

コロラド州憲法XVIII条14項では、「カナビスの医療使用に関連して使われたいかなる資産も・・・州あるいは地域の警察当局が保管している間は、害になるようなことをしたり、放ったらかしにしたり、傷つけたり、破損したりしてはならない」 と規定されている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at: director@norml.org or at 202-483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7443


●連邦裁判所、ノースダコタ州の農家のヘンプ栽培訴訟を却下
2007年12月6日 - アメリカ・ノースダコタ州ビスマルク発

連邦裁判所のダニエル・ホブランド裁判官は、農家のウェイン・ハウグさんと州のダビッド・モンソン議員が産業用ヘンプの栽培を禁じている連邦麻薬局(DEA)の決定を覆すことを求めていた 
訴え を却下する判決を下した。

ホブランド裁判官は判決の中で、ノースダコタ州からヘンプ栽培をライセンスされた農家は、連邦法のもとで合法的にヘンプを栽培できるようにすることを連邦議会に求める必要があると書いている。

産業用ヘンプ栽培の合法化を求めて活動しているボート・ヘンプ(Vote Hemp)のエリック・ステーンストラ代表は、この判決には失望しているが議会への働きかけをさらに強めるとして、「この判決をもってワシントンDCに出向き、作物を育てる州の権利を明確化する産業用ヘンプ農業法2007(下院1009号法案)に対する議会の行動をさらに促すことにしています」 と語っている。

またボート・ヘンプによれば、この判決の副産物として、ノースダコタ州立大学 は、サインすれば大学の研究用のヘンプ栽培を認めるとする協約書をDEAから受け取っている。大学では8年前に研究用のヘンプ栽培のライセンスをDEAの求めたが、当局側とのやりとりが困難を極めたために法廷助言者を通じて意見陳述書を提出していた。

ヘンプ産業協会(HIA)の代表で、ヘンプ・ベースの商品を製造している ドクター・ダニエル・マジック・ソープ社 の社長でもあるダビッド・ブロナー氏は、「ノースダコタ州立大学の申請に対するDEA側の処理が遅れているというわれわれの主張が、ついに研究を認めるという当局側の前向きの結果をもたらしたのです」 と話している。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

Full text of Judge Hoyland’s decision is available at: http://www.votehemp.com/legal_cases_ND.html.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7444