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2007年12月20日


アメリカ小児科学会、学校でのドラッグテストに再度反対する声明
最新研究で示されたカナビスの煙の有毒物質はバポライザーで除去可能



●アメリカ小児科学会、学校でのドラッグテストに再度反対する声明
2007年12月20日 - アメリカ・イリノイ州エルクグローブ発

アメリカ小児科学会(AAP)の学校保険協議会は、小児科ジャーナルの最新号の中で、小児科医たちは公共学校でのドラッグテスト・プログラムの実施には反対すべきであるとする政策声明を発表した。その理由として、課外活動へ参加する生徒が減少し、生徒と先生の間の信頼関係が低下することを上げている。

小児科学会が、学校での抜き打ちドラッグテストに実施に反対する声明は 
今年2度目 のことになる。3月の声明では、「学校でのドラッグテストに防止効果があるという証拠ははとんどなく」、生徒たちに対して抜き打ちにドラッグテストをすると警告することは、「かえって、既に生徒たちも知っているドラッグ使用のリスク要因を強く意識させるだけで、学校への参加意欲を削いでしまう」 と指摘している。

今月再確認した反対声明では、「小児科医は、学校でのドラッグテストを支持すべきではない。……ドラッグテストの実施が害をもたらさないという確証はまだ得られていない」 と述べ、生徒に対するドラッグテストが学校での活動離れを促す可能性があり、ドラッグテスト実施のために拠出される連邦資金については 「ドラッグ防止教育やしっかりしたカウンセリング・プログラムに費したほうがもっと効果が見込まれる」 と警鐘を鳴らしている。

先月発表された未成年の健康ジャーナルに掲載された2年間のプロスペクティブ研究では、高等学校のスポーツ・アスリートたちに対するアンケート調査の結果、抜き打ちドラッグテストが、ドラッグ使用を削減するのには役に立っておらず 、「将来のドラッグ使用」 に結び付くような行動を促している、と結論付けている。

また、2003年に発表された全国の各種ドラッグテストを調査した 横断研究 でも同様に、「近年、アメリカの中高等学校で行われているドラッグテストは、生徒たちのドラッグ使用の防止や抑制に役に立っていない」 と報告している。

アメリカ教育省は、2005年以来、全国の公立中高等学校でのドラッグテスト実施のために 1000万ドル以上を拠出 している。ホワイトハウスでは、「生徒に対するドラッグテストの効果は、実施した学校の結果で立証されている」 と 主張 して、繰り返しこの政策を称賛している。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the American Academy of Pediatrics’ policy statement appears online at: http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/120/6/1379.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7457


●最新研究で示されたカナビスの煙の有毒物質はバポライザーで除去可能
2007年12月20日 - アメリカ・ワシントンDC発

先日、カナダの研究チームがカナビスの煙の成分を分析した 
結果 、煙の中には各種の呼吸器汚染物質の存在が確認されたが、NORMLのポール・アルメンターノ・シニアアナリストは、カナビス・ユーザーに対して喫煙にともなう健康リスクを軽減する方法を教育する良い機会になるとしてポジティブに受け取っている。

この研究は、化学毒物学研究ジャーナルの最新号に掲載されたもので、カナビスの燃焼にともなって発生するアンモニア、シアン化水素(HCN)、各種の芳香性アミン類などの一部の呼吸器刺激物については、タバコの煙りより20〜5倍も多かったと報告している。

研究者たちは、アンモニアや芳香性アミン類のようなチッソ関連化合物の濃度が高かったことについては、カナダ保健省のカナビスが水耕栽培で育てられているために、水溶性の窒素系化学肥料が多いためではないかとも指摘している。

しかし、逆に、多環芳香族炭化水素 (PAH) は、タバコの煙りよりもカナビスの主流煙のほうが少なかったと報告している。一部の多環芳香族炭化水素については、吸い込むと癌のリスクが増加することが動物実験で示されており、また、人間の乳癌や肺癌などでは増殖に関与しているとも考えられている。

また、タバコ特有のニトロソアミン、砒素、鉛に関しては、カナビスの煙の中には存在しないことが確認されている。

こうした結果についてアルメンターノ氏は、カナビスの煙に含まれるHCNや多くのPAHのような好ましくない化合物をともなう喫煙を避けて、バポライザー を利用すればその多くを減らしたり除去することができるとして、「カナビスの活性成分が蒸気に気化し、しかも燃焼などには至らない温度で加熱すれば、一酸化炭素のようなガス化された燃焼毒をほとんど発生させずに活性成分だけを吸引することができるのです」 と指摘している。

バポライザーについての最も最近の研究では、臨床薬理及び治療学ジャーナルでサンフランシスコ総合病院の研究チームが、「バポライザーを使ってカナビスを吸引すれば、燃焼ガスに晒されることなく……カナビスの喫煙に比較してバポライザーの蒸気のほうが大半の被験者に好評だった」 と 報告 している。

また、2006年に薬理科学ジャーナルに掲載された 臨床研究 では、バポライザー吸引は「安全で効果的なカナビノイド搬送システムで、喫煙にともなう呼吸器への悪影響を避けることができる」 と書いている。

カナビスの喫煙と癌の関連については、アルメンターノ氏は、肺癌口内癌上気道消化管(咽頭、喉頭、食道)の癌 を引き起こすことを明確に示した研究はないと語っている。カナビスの喫煙の呼吸器への影響を調べた2006年の過去大規模患者対象研究では、生涯で2万2000本以上のジョイントを吸った人でも 癌になっていない と報告している。

「カナビスの喫煙にも呼吸器へのリスクがそれなりにあります。タバコの喫煙に比べれば健康リスクははるかに少ないと言えますが、喫煙する代わりにバポライザーを使うようにすれば、さらに際立ってリスクを軽減することができるのです。」

「しかしながら不幸なことに、カナビス禁止法があるせいで、このような装置が出回ることが少なく、また、呼吸器へのリスクを避けられると分かっていてもこの分野でのテクノロジーの研究が進まないという結果になってしまっています。」

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, “A comparison of mainstream and sidestream marijuana and tobacco cigarette smoke produced under two machine smoking conditions,” appears online (ahead of print) at: http://pubs.acs.org/cgi-bin/abstract.cgi/crtoec/asap/abs/tx700275p.html.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7458