Weekly News

2007年3月29日


HIVとエイズ患者にカナビス治療が広まる
ユタ州最高裁、カナビスの匂いによる緊急家宅捜査を認めず
シンシナティ市議会、昨年のカナビス罰則強化暫定条例を恒久化



●HIVとエイズ患者にカナビス治療が広まる
2007年3月29日 - オーストラリア・シドニー発

エイズ・ケア・ジャーナルの最新号に掲載された調査データによると、HIVまたはエイズ患者のかなりの人が、症状や処方医薬品の副作用に対処するために、カナビスを治療目的で利用していることが明らかになった。

ニューサウスウエールズ大学の国立HIV研究センターの研究者たちは、HIVまたはエイズ患者408人を対象に1年間以上にわたって一対一のインタビュー調査を実施した。その結果、408人中244人(59.8%)が過去6ヵ月にカナビスを使ったと答えている。また、使った人の中では、108人(44.3%)が治療目的だった。

治療目的でカナビスを使っていた人の平均年齢は若く、所得も少なく、また、免疫応答を促進するCD4ーT細胞の数に関しては、嗜好目的で使っていた人よりも多かった。

2003年の内科医学アナルスに掲載された臨床試験においても、カナビスを使っているHIV患者のほうがノンユーザーよりも 
CD4ーT細胞数が増加 することが報告されている。

「これらの結果は、法的な問題があるにもかかわらず、HIVとエイズのかなりの患者が治療目的でカナビスを利用していることを示しており、病気の治療にあたっては、カナビスがもうひとつ別のオプションになり得ることを示唆している」 と研究者たちは結論を書いている。

また、神経学ジャーナルに掲載されたサンフランシスコ総合病院とカリフォルニア大学ペインクリニック研究センターの最新の共同研究でも、プラセボに比較して、カナビスの喫煙でHIVにともなう 神経障害疼痛が著しく改善 したことが報告されている。

アメリカとカナダで行われた以前の調査研究では、HIVまたはエイズ患者の 25% 〜 29% が治療目的でカナビスを使っていると推計している。また、2004年にタイで開催された15回国際エイズ・カンファレンスでは、カナビスを使っているHIVおよびエイズ患者のほうがノンユーザーよりも 3.3倍 も坑レトロウイルス治療に積極的に取り組むと報告されている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Marijuana as therapy for people living with HIV/AIDS: Social and health aspects," appears in the February issue of AIDS Care.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7228


●ユタ州最高裁、カナビスの匂いによる緊急家宅捜査を認めず
2007年3月29日 - アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティー発

ユタ州最高裁は、カナビスが燃えて戸外に漂う匂いをもとに、禁制品の捜査令状なしに警察が住居に進入することはできないという裁定を4対1の多数で下した。

この決定は、警察が、「カナビスの匂いがトレーラーの穴から漂い出ていた」 ことを理由に個人の住居に進入したことは不適切だとした2005年のユタ州控訴審が出した判決を追認したものになっている。

多数意見を代表して、ロナルド・ネーリング裁判官は、証拠隠滅の恐れなど切迫した事情がない限り、令状なしの捜査はできない、と書いている。

「今回のカナビス喫煙のような違反行為が行われていると思われる場所に偶然居合わせた場合でも、証拠隠滅が確実に行われる状況になければ、憲法の基本的な権利を侵すことはできないという意見に達した。」

「たとえ、警察が令状を請求している間にカナビスが吸われて一部がなくなったとしても、証拠としては、吸殻や喫煙用具あるいは未使用のカナビスが残っている・・・従って、容疑者が証拠を処分しようとしている状況にあっても、カナビスの匂いには証拠が付随しており、警察当局が緊急の例外による捜査の利益を主張しても、法的な正統性には無理がある。」

2004年の法と人間の行動ジャーナルに掲載された 
研究 には、カナビスが家や自動車のトランクの外まで匂って、警察が気付くほど強いことがしばしばあると書かれている。

For more information, please contact Keith Stroup, NORML Legal Counsel, at (202) 483-5500.

Full text of the decision, Utah v. Duran, is available online at: http://www.utcourts.gov/opinions/supopin/Duran030907.pdf

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7229


●シンシナティ市議会、昨年のカナビス罰則強化暫定条例を恒久化
2007年3月29日 - アメリカ・オハイオ州シンシナティ発

今週シンシナティ市議会は、7対2の多数で、カナビスの少量所持に関する市の緊急暫定的な罰則規定を恒久化することを決定した。

暫定条例は、カナビスの罰則を強化することで、重大な犯罪や「ドラッグ・ツーリズム」を減らすことできるかどうかを試すという名目で1年間の期限付きで2006年3月に導入された。しかし、この1年間に重大な犯罪が減ったとは明らかに言えないにもかかわらず、今回、期限切れを目前にしてそのまま恒久化された。

この条例では、カナビスの少量所持に対する罰則は、最高30日の懲役と250ドルの罰金になっている。これに対して、州法では、100グラムまでの所持は出頭と100ドルの罰金刑で、懲役は科せられない。

昨年の暫定条例の導入を推進した市議たちは、この条例によって、市の暴力犯罪率が減り、近隣の州からカナビスを購入するためにシンシナティを訪れる人を減らすことができると主張していた。

しかしながら、先週、シンシナティ・ビーコンが発表した 
犯罪統計 によると、導入後の1年間で、市内では、殺人16%、レイプ5%、強盗7%、窃盗44%でいずれも増加している。さらに、条例で問題にされたオハイオ州民以外の人の犯罪率は、2005年と2006年では実質的に 変化がなかった

また、条例執行にかかった6ヶ月間の中間財務報告では、法執行に伴う市警察のコストが150%以上も増加している。しかし、この1年間の法執行による犯罪と市財政に及ぼした影響についての概要報告は 公表されていない。今回の条例は、マーク・マロリー市長の署名を経ずに正式の法として発効する。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Additional information is available online at: http://www.safecincinnati.com

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7230