法医学専門家

カナビスのドラッグ・テスト神話を一蹴


Source: Good 5 Cent Cigar (U of RI: Edu)
Pub date: April 10, 2007
Subj: Forensics Expert Explains Marijuana Testing Myths
Author: Brenna McCabe
http://www.mapinc.org/norml/v07/n468/a09.html


カナビスのドラッグ・テストで陽性になれば、どのような言い訳をしても結果を覆すことは難しそうだ。

ロードアイランド州大学パスツール化学研究所で開催された法医学セミナー 「カナビスと法医学」 で、ミシシッピー大学薬学研究所のマハムード・エルゾリー教授は、カナビスのドラッグ・テストの現実と伝説について自身の最新の研究をまじえて講演し、なぜ、カナビスで陽性になった人の言い訳が法廷で通用しないのか語った。


間接喫煙とヘンプ・シード弁護

「ドラッグ・テストでカナビスに陽性反応が出ると、カナビスを吸っている人がたくさんいるパーティへ参加していたと言う人が少なくありません。でも、この件については嫌になるほどいろいろ実験してみましたよ。」

もちろん、教授が話しているのは、パーティでの間接的に陽性になったと言い訳する人のことだが、実際にはドラッグ・テストが陽性になることはないと言う。「カナビスの間接喫煙で、検査の基準ラインを上回ることは絶対と言ってよいほどありません。」

また、よく出てくる別の言い訳でやはり通用しないのが 「ヘンプ・シード」 弁護だと言う。ヘンプ・シードやオイルには、カナビスの精神活性物質であるTHCがごく少量含まれている。

教授の調査によると、現在、市場では120種類あまりのヘンプ・シード関連の商品が出回っている。しかし、THCの含有量はごく少量なので、陽性になったと言い訳しても、警察や雇用主には見苦しいと思われるだけにしかならない。「間接喫煙の場合と同様に、どんなに食べても検査の基準ラインを上回って陽性になることはあり得ません。」


医療カナビス問題

最近になって出てきたのが医療カナビスの問題で、政府が医薬品として認可しているマリノールにTHCが含まれているために、医療カナビスと同様に陽性反応を引き起こしてしまうことが課題になっている。

「マリノールはカナビスのドラッグ・テストで陽性になります。マリノールは化学的にはTHCそのものなわけで、一方ではTHCはもともとカナビスに含まれている物質なわけですから。」

教授によれば、マリノールは認可対象の病状以外にも、実際には関節炎から強度の筋肉痛までさまざまな病気に処方されていると言う。また、ロードアイランドでは、州法で、保健局の広範な審査を経て認可された患者や介護者は2.5オンス相当までの医療カナビスを所持することが許されている。

医療カナビス法を持つ州が増えてきていることや、医療カナビスの研究が盛んになってきていることから、エルゾリー教授の研究チームではトラブルを避けるために、本当の医療カナビス・ユーザーとカナビスを使って逮捕された人を区別する方法も探っている。

その一つとして、THCの派生物であるTHCV(テトラヒドロカンビバリン)が体内で検出されるのは、カナビスを吸ったり食べたりした場合に限られ、マリノールでは発見されないことを見出している。

「マリノールを経口摂取したり、たとえ吸ってもTHCVが出てこないのを確認しています。カナビスにはTHCVとTHCが含まれていますが、この2つが含まれているのはカナビス以外にはないのです。人間の尿に少しでもTHCVが検出されれば、それはTHCVが含まれた物質を摂取したことの証明になります。マリノールではどのように摂取しても出てきません。」


ドラッグ・テストの種類と長短

現在、警察や雇用主に最もよく使われているドラッグ・テストは尿検査と血液検査だが、教授によれば、唾液など他の方法で検査しているところもあると言う。

「もし、カナビスを吸った直後であれば、口の中には何らかの痕跡が残っているはずです」 と言いながら唾液検査の手順を示して、「この方法は非常に高度な慣れを必要としますが、オプションとして十分利用可能です。」

また、各々のドラッグ・テストにはそれぞれ長短があり、最強の血液検査にも問題があると言う。血液検査では一定の量の血液があるのでカナビスの検出には非常によい条件を備えているが、喫煙して時間が経つと検出されないこともある。

「喫煙して運転している人の場合は、通常、摂取後1時間くらい経っていますから、血液のドラッグ・テストでは陽性になるほどのTHCが血液に残っていないこともあります。」


カナビスの危険性

聴衆の一人が、もし被験者が指定時間の検査を承服しなかった場合はどうなるか、と教授に尋ねた。それに対して、「あなたが、その人に同調してしまえば、あなた自身がトラブルを抱えることになりますよ」 と忠告していた。

教授は、また、運転している人のカナビスの影響についても話している。中には、ハイになっても運転に支障が出ないと信じている人たちもいるが、教授は、生理的にも認知的にも間違いなくドライバーに悪影響を及ぼすと説明する。

「それは、現場で酔っ払いテストをしてみれば一目瞭然です。ドラッグで支障が出ていることがわかります。これは、正しい運転をしようとしていない非動機症候群と言えます。」

その他の危険性についても触れている。「カナビス・シガレットには、タバコのシガレットの2倍の発癌物質が含まれていますから、薬理学的には非常に多くの悪影響が起こります。確かに、クッキーにして食べれば肺の問題は避けることができますが、農薬などが混じっていて問題を起こすこともありますし、特にオーバードズすれば深刻な問題を引き起こします。」

カナビスを長く使っていればそれ相応の結果が出てくると強調しながら、教授は、「もし止めればそれと逆の相応の効果もあるわけです。死ぬ前に止めればそれで万事OKです」 と最後は冗談で締めくくった。


ミシシッピー大学の研究所

エルゾリー教授は、1975年以来、ミシシッピー大学で研究を続けている。大学では、以前からドラッグ・テストの研究やカナビスの効力の時代変化調査なども行っているが、現在では、カナビスの産地を追跡する方法についての研究も進めている。

また、大学は、政府のカナビスを栽培している唯一の場所としても知られているが、これまでの栽培場のセキュリティに問題が起こったことはないと言う。

「カナビスは世界で最も広く乱用されているドラッグですから、その栽培には特別なルールと規制があります。大学の栽培場は24時間セキュリティガードで守られています。監視カメラだけではなく、監視員も目を光らせています。」

Practical Challenges to Positive Drug Tests for Marijuana  Mahmoud A. ElSohly, Clinical Chemistry 49: 1037-1038, 2003; 10.1373/49.7.1037