Weekly News
2007年5月3日
●カナビスの使用は統合失調症の症状に悪影響を及ぼさない
2007年5月3日 - イギリス・ロンドン発
統合失調症研究ジャーナルに掲載されたデータによると、カナビスの使用で統合失調症の症状が強まることはないことが明らかになった。
ロンドン精神医学研究所の研究チームは、統合失調症発症前にカナビスを使用していた患者と、カナビス経験の全くない患者を比較して、発症後の統合失調症の症状がどの程度違うかを調べた。
再発患者は除き、統合失調症を初めて発症した対象757人のうち、182人(24%)が診断前の1年にカナビスを使い、552人(73%)が使っていなかったと自己申告している。また、残りの3%については回答がなかった。
データをロジスティック回帰分析で処理し、患者の年齢・性別・民族性などの交錯因子を補正したあとでは、「カナビスを使っていた患者と使っていなかった患者の間には統合失調症の症状に」 統計的な有意差は認めらなかった、と報告している。
さらに、「カナビスを使っていた統合失調症患者について、病歴をもつ家族がいる傾向が強いかどうか調べたが、そのことを示すいかなる証拠も」 見出すことはできなかったとしている。
これらの結果から、研究者たちは、「カナビスによって引き起こされと明確に言えるような統合失調症様精神病は起らない」 と結論付けている。
研究者たちによると、カナビスを使用した統合失調症患者と使用したことのない患者を比較した調査とすれば、今回の研究が過去最大の規模になっている。
この研究では、カナビス・ユーザーのほうがノン・ユーザーよりも統合失調症を発症する率が高いかどうかには触れていないが、以前に行われたいくつかのレビューでは、両者にはたいした違いがないと指摘されている。
最も最近では、イギリスのドラッグ乱用諮問委員会(ACMD)が2006年に、「個人レベルで見れば、現在の証拠からは、最悪に見積もってもカナビスの使用によって統合失調症まで発展する生涯リスクは1%以下」 と 結論 付けている。
イギリスのベックレー・ファンデーションが2006年に発表した別の 研究 では、「既に精神的な脆弱性を抱えている人が、カナビスがトリガーになって統合失調症に発展する」 可能性も否定できないが、「過去30年間のカナビス使用率の上昇に見合うような精神病率の増加は見られない」 と報告している。
NORMLの諮問委員会のメンバーで、『マリファナを理解する』 の著者としても知られる ミッチ・アーリーワイン博士 は、「統合失調症という病気は、生理学的な要因と外部環境的な要因の双方が重なり合って起こる稀な外生疾患です。今回の研究結果で、カナビスに関連する明確な精神病があるとする意見や、カナビスの使用と精神病を単純に結びつけたり、不正確だったりする指摘が、改まってほしいと願っています」 と語っている。
2005年の精神医学ジャーナルにアーリーワイン博士も加わって発表された報告 では、一般に、統合失調症と疑われる行動はカナビス使用に先だって現れていることが見出されたとして、「これらの結果から、カナビスの使用と統合失調症の間には因果関係があるとは考えられない」 と結論が書かれている。
●各州議会で医療カナビス法が前進
2007年5月3日 - アメリカ・ワシントンDC発
ミネソタ、ロードアイランド、バーモントの各州で、今週相次いで、医療カナビス関係の法案が承認された。
バーモント州では、下院が、州法で規定されている医療カナビス対象疾病リストを拡大する 上院7号法案 を承認した。法案は、現在、州知事に送付するためのカンファレンス委員会で決定を待っている。
ミネソタ州では、州に認定された患者が、医師の監督下で2.5オンスまでの医療カナビスを所持できるようにする 上院ファイル345号 が上院で予備承認された。この法案には、州の認可を受けて、登録患者向けに医療カナビスを栽培して販売できる非営利の民営ディスペンサリーの営業を認める条項も含まれている。下院では、上院の姉妹法案になる 下院ファイル655号 の採決が来週にも予定されている。
また、ロードアイランド州では、今週、医療カナビス法に加えられていたサンセット条項の撤廃が、49対12で下院で承認された。これまでの医療カナビス法では、認定患者が医療目的でカナビスを栽培・所持できるように定められていたが、議会が動かなければ今年末には有効期限が切れることになっていた。現在、州にはおよそ260人の患者と270人の介護者がカナビス所持のライセンスの交付を州から受けている。ロードアイランド上院でも今週末には法案の採決が行われることが見込まれている。
●今週末、35ヵ国230都市でマリファナ・マーチ開催
2007年5月3日 - アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市発
今週末に、カナビス法の改革をめざすアクティビストが参加して世界230都市で、カナビスの禁止法に抗議するマーチが行われる。グローバル・マリファナ・マーチ として知られる世界的イベントで、5月5日の土曜日に各地で開催される。このイベントには、1999年以来、これまでに400都市以上が参加している。今回は、ニューヨーク市のキュア・ノット・ワー(Cures-Not-Wars)とカナダ・バンクバーのカナビス・カルチュア・マガジン が全体を統括している。
今年のマーチには、次のNORML支部も加わることになっている。アーカンサス大学NORML、 アリゾナNORML、 カリフォルニア・ベーカーフェィルドNORML、カリフォルニア・フンボルト大学NORML、 フロリダ・セントラル大学NORML、 ハワイ・マウイNORML、 イリノイNORML、メインNORML、
マサチュセッツNORML、ミズリーNORML、 セントルイスNORML, オレゴン・ウイルメットバレーNORML、 ネバダNORML、 テキサス・ヒューストンNORML, バーモントNORML、ノルウエイNORML。
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Full text of the study, "A comparison of symptoms and family history in schizophrenia with and without prior cannabis use: Implications for the concept of cannabis psychosis," will appear in the journal Schizophrenia Research. A discussion of this study may be downloaded from the May 2, 2007 edition of the NORML Daily AudioStash at: http://www.normlaudiostash.com.
Additional information may be found in the NORML paper, "Cannabis, Mental Health and Context," available online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6798
Source: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7253