政府は医療カナビス患者などいないと言張るが

患者からの訴えは途切れない


David Borden and Paul Armentano

Source: Huffington Post
Pub date: September 04, 2007
Title: Why Do People Keep Writing Us?
Auther: David Borden and Paul Armentano
http://www.mapinc.org/norml/v07/n1027/a01.htm?134


連邦政府はカナビスが危険だとしきりに叫んでいるが、一方では、非常に多くの医療患者たちがカナビスの恩恵を受けて生きているという事実に対しては、もともと医療カナビス患者などいないのだという嘘を押し通して帳尻を合わせようとしている。

連邦政府によれば、デボラ・パーマーさん(仮名、53才) はいないことになっている。パーマーさんは、元カリフォルニア州の矯正官だったが、背中の手術の不手際が原因で慢性の脊髄痛に苦しむようになり、今では線維筋痛症も患っている。最近では、体がオピオイド医薬品を受けつけなくなったために、毎日続く苦しみから逃れるために医療カナビスを使うようになった。

しかし、先日、連邦と州の警察が彼女の入手先であるカナビス・ディスペンサリーを強制捜査して閉鎖したために、医療カナビスが手に入いらなくなってしまった。悲嘆にくれた彼女は電話で 「どうしたらいいのか…… 薬なしでこの痛みに1年365日耐えろといわれても、そんなに長くは生きれない……」 と訴えてきた。

私たちは10年以上にわたってカナビス法の改革に取り組んできたが、デボラ・パーマーさんのような人たちに何百人と出会ってきた。しかし、不幸にも、カナビスの医療利用に反対している連邦政府の人たちは、そんな大勢のうちの一人でさえ知らないと言うのだ。

ホワイトハウス麻薬撲滅室(ONDCP)のトム・ライリー広報官は、先月通信社のインタビューの答えて、医療カナビスとその合法化を主張する擁護者たちに対して、「見え透いたまねごとに過ぎません。ドラッグの合法化を目論む連中が同情を装って病気の人たちを人質に取って自分たちの主張を通そうとしているだけです」 とお決まりの悪辣で理性のかけらもないアドミネム攻撃を繰り返している。

こうした見当外れにはいつもうんざりさせられるが、何を言われようとも、私たちは現実に生きている医療カナビス患者さんたちをこの目で知っている。私たちは、いろいろな会合で交流を深め、抗議するための組織作りを手伝い、連邦議会や州議会で一緒にロビー活動をしたりもしている。患者さんが逮捕されたときには弁護活動を買って出る人もいる。みんな友達で仲間だからだ。

確かに、私たち運動家は、医療カナビスにとどまらずカナビスの全面合法化を望んでいる。しかし、私たちは、病気で苦しむ人たちや死の床にある人たちをドラッグ戦争で荒れ狂った戦場に放っておくことなどとてもできない。

私たちは、政府が存在していないと言い張る人たちから毎日のように次のような手紙を受け取っている。

「私は、この13年間、多発性硬化症と発作性の病気を抱えて生きてきました。合法的な方法で治療を続けていましたが、病気は悪くなるいっぽうでほとんど1日中ベッドで過ごす有様でした。それがあるときカナビスを試してみたら、私には奇跡の薬だと分かったんです!

カナビスでハイになるわけではありません。筋肉がリラックスして、けいれんが治まるのです。それに、食欲を促してくれる唯一の方法になっています。こんな私に、誰が医療カナビスはダメなんて言えるのでしょうか?」


「6年前に線維筋痛症になって完全に打ちのめさせられました。ある朝、ベッドから起き上がることもできず、痛みが少しおさまっても這って動くことしかできませんでした。自分だけでは用も足せなくなり、食欲も全くなくなってしまいました。体重はほんの数週間で10キロちかく減って、45キロまでやせ細って見るからに哀れな50女になってしまいました。

夫は、カナビスが食欲を出してくれるかもしれないと言ってどこからか手に入れてくれました。それで食欲が戻ったばかりではなく痛みも大幅に減りました。ですが、私も夫も逮捕されるのではないかと心配でしかたありません。この国はいったいいつ目覚めてくれるのでしょうか?」


「6年前から潰瘍性大腸炎を患っています。途中から処方医薬品は全部やめてカナビスだけにしましたが、標準的な医薬品よりも迅速でよく効きます。それに副作用もほとんどありません。ですが、今は仕事のために使えなくなって症状がぶり返してきています。」


「私はクローン病です。仕事を失うおそれがあって今ではカナビスを吸っていませんが、やめたせいで症状が悪化して大変苦しい状態になってしまいました。まだ38才ですが、お医者さんには75才の腸だと言われました。私の病気にはカナビスが非常に役に立つと言ってくれています。」


「以前は医療カナビスが認められている州に住んでいたのですが、故郷に戻ってからは手に入れるのが大変難しくなって痛みに苦しんでいます。お医者さんは薬を2倍も増やしてくれたのですが、カナビスのように痛みをコントロールできません。いつの日にか、政府がこの非常に有用な植物を悪魔扱いするのを止めてくれることだけを願っています。」


「私は医者です。アフリカとアジアで何年も経験を積み、ジュネーブのWHOでも7年間働いていました。医師とすれば普通の医者よりも十分な資格を持っていると自負しています。

ですが、1991年にパーキンソン病と診断され、今では著しい硬直でバランス感を失い、振戦を伴った最悪の症状にまで陥っています。医薬品は効かず、症状を悪化させることすらあり、使用を中止せざるを得なくなりました。10日ほど前に初めてカナビスを試してみました。何時間かすると目覚ましい改善が起こりました。硬直やバランスの喪失はずっと穏やかなものになって昔の体に戻り、ここ5年間不可能だったことができるようになったのです。」


「最近、左側頭葉に悪性の脳腫瘍があると診断され手術を受けました。現在は、化学療法と放射線治療を開始したところです。担当してくれた執刀医の方は、自分ではカナビスの推薦証が書けないがと言いながらも、カナビスを吸っても安全だと言ってくれました。

現在処方されている薬では、目眩や吐き気がひどく、最高につらい二日酔いのときのような頭痛に絶えず悩ませられています。頭は依然として腫れ上がたままで悪い状態が続いています。膨れ具合は悪くなっているようで、放射線治療でいっそう悪化します。それでも、今ではカナビスが私の生命を支えてくれています。発作や吐き気や目眩を抑えて、頭痛を鎮めてくれます。

もし、カナビスが自分の抱えているこうした問題の助けになってくれて、さらに腫瘍を小さくしてくれる可能性や自分の人生を広げてくれる可能性を持っているとしたら、一体全体、政府がどんな理由で私に対してカナビスを使ってはならないなどと命令できると言うのでしょうか?」

トム・ライリーや彼の回りの取り巻きがどんなに詭弁を弄しようが、この問題は、私たち運動家のせいにして済ませることでできるような問題ではない。これは、自分の必要から必死になって助けを求め解決策を探しているあらゆる階層のアメリカ人の現実の問題なのだ。

深刻な病気の苦境に最善の効果をもたらすものが医療カナビスなのであれば、病人たちがそれを自由に使えるようにすることに何の問題があると言うのだろうか。最低でも、トム・ライリーたちは、痛みに苦しみながらも必死で生きている人たちがいる事実をまず認めるべきなのだ。

そうさせるには、最終的には私たちに手紙を書くだけではなく、健康と安らぎをもたらす植物を否定して何もやろうとしない政府の当局者に対して患者さんたち自身が力を合わせて対峙する必要がある。そうなれば、政治家や官僚たちも、われわれ運動家の主張を曲解してバッシングしていれば済む話ではなくなり、彼らも市民に奉仕するという本来の仕事を責任を持って開始せざるを得なくなるだろう。

デビット・ボーデン (David Borden) は、ストップ・ザ・ドラッグウォー の設立者でエグゼクティブ・ディレクターを務めている。
ポール・アルメンターノ (Paul Armentano) は、NORML のシニア・アナリスト。