Weekly News

2007年9月20日


下院議員が連名でDEAに研究用カナビスの民間栽培を認めるように要求
連邦政府、ドラッグ戦争を支援する防衛産業に150億ドルの報奨契約
カナビスがアルツハイマー病治療に新しい希望をもたらす



●下院議員が連名でDEAに研究用カナビスの民間栽培を認めるように要求
2007年9月20日 - アメリカ・ワシントンDC発

下院議員45人は、今週、連邦麻薬局(DEA)に対して、FDAから承認を受けた臨床研究に使うカナビスの供給を民間団体にも可能にすることを要求した書簡を連名で送付した。

DEAのカレン・タンディ局長に宛てた 
超党派議員による書簡 では、DEAの行政法判事メリー・エレン・ビットナー裁判官が 今年の2月に下した判決 に従うべきだと主張している。判決では、研究用カナビスの栽培を民間にも認めることは、「公共の利益」 に合致しているという判断が示されている。

この裁判は、アマーストにあるマサチューセッツ大学が、2001年にFDAから承認をうけた臨床研究を実施するために 自分でカナビスを栽培する許可 をDEAに求めて 拒否 されたために起こされていた。しかし、ビッツナー裁判官の判決は拘束力がないために、DEAが返事をする期限も定められていない。

現在の制度では、連邦の承認したカナビス研究はすべて、国立ドラッグ乱用研究所(NIDA)が契約した栽培場から供給したカナビスを使うことが義務づけられている。これに対して、同じ規制薬物分類に属するLSD、ヘロイン、MDMA(エクスタシー)については、研究用に複数の民間製造元から入手できるようになっている。

2004年には、NIDAのノラ・ボルコフ局長 は、「カナビスの医療使用の研究は、NIDAの使命ではありません」 とカナビスを供給しない理由を説明している。

ジョン・オルバー議員(マサチューセッツ、民主)とダナ・ローラバッカー議員(カリフォリニア、共和)によって共同提案された今回の連名の書簡では、「NIDAの独占は不当で、1類と2類の規制薬物の製造供給について適切な競争が行われるようにすることを明確に要求している連邦法に適合していない」 と述べている。

「マサチューセッツ大学アマースト校は、最も優れた研究をしている大学の一つで、合法的な医学研究目的でカナビスを栽培する資格は十二分に備えている。・・・われわれは、貴殿がビッツナー裁判官の勧告を受入れ、合法的な民間資金による科学研究を実施できるようにすることを強く要請する。」

マサチューセッツ州選出のジョン・ケリー上院議員(民主)とエドワード・ケネディ上院議員(民主)も、マサチューセッツ大学を支持する書簡を以前にDEAに送っている。

For more information, please contact Keith Stroup, NORML Legal Counsel, at (202) 483-5500
or visit http://www.maps.org.

Text of the Olver/Rohrabacher letter is available online at: http://www.aclu.org/drugpolicy/medmarijuana/31861leg20070918.html

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7366


●連邦政府、ドラッグ戦争を支援する防衛産業に150億ドルの報奨契約
2007年9月20日 - アメリカ・ワシントンDC発

ガバメント・エギュゼキューティブ・コムに掲載された 
レポート によると、連邦政府は、海外での麻薬対策のために、レイセオン、ロッキード・マーチンなど防衛産業5社に対して総額150億ドルを与える契約を結んだ。

「防衛産業側は、麻薬テロに対抗するためのセキュリティとサービスを提供することになっている」とレポートは述べ、「麻薬テロの脅威に迅速に対応できる専門家に連邦政府が特別に資金提供することで」、国防相の反麻薬テロ技術計画事務所の肩代わりさせることができるようになったと書いている。

また、ワシントン・ポストの別の記事 では、防衛産業側が国防相の反麻薬プログラムのために機材や資材、サービスを提供することになっている、と報じている。このプログラムでは、「違法ドラッグの流通と麻薬テロに関連したドラッグ、人物、情報、資金、武器などの流れを撹乱・妨害・阻止するための技術を開発して展開する」 ことになっている。

ガバメント・エギュゼキューティブ・コムのレポートでは、この契約の規模や適応範囲の大きさは、連邦の反ドラッグ政策において民間の防衛産業の果たす役割が拡大していることを如実に示している、と指摘している。

契約を授けられたのは、レイセオン・テクニカル・サービス、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、アリンク、ブラックウォーターUSAの5社。

NORMLのアレン・ピエール事務局長は、「これらの報償的契約は、連邦政府の行っているドラッグ戦争が礼賛に値するようなものではないことを再び示したものです」 と語っている。

「政治家や官僚にとっては、現在イラクやアフガンで行っている軍事行動とドラッグ戦争も同じ利権に過ぎないのです。大半のアメリカ人は、自分たちが苦労して納めた何十億ドルもの税金が、金欲に駆られて反ドラッグ戦争に加わった傭兵企業に吸い上げられていることに気づいていないのです。」

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

Full text of the GovernmentExecutive.com story is available online at: http://www.govexec.com/dailyfed/0907/091207kp1.htm.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7367


●カナビスがアルツハイマー病治療に新しい希望をもたらす
2007年9月20日 - アイルランド・ダブリン発

イギリス薬理学ジャーナルの最新号に掲載された 
検証レビュー によると、カナビスの成分には、アルツハイナー病に関連した神経変性にこれまでになかった治療可能性のあることが分かった。

ダブリンにあるトリニティ・カレッジ神経科学研究所の研究者たちは、カナビノイドには、アルツハイマー病初期に特有の アミロイド班の悪影響から神経を保護する働き のあることが示されていると書いている。また、カナビノイドによって、酸化的ストレス や炎症が軽減し、さらに新しい神経細胞をつくり出すニューロン新生作用が促される 傾向が見られる、と報告している。

「ここ数年で、神経変性症状を軽減する手段として、カナビノイドの神経保護に果たす役割が注目を集めてきた。・・・カナビノイドには、神経保護作用や炎症軽減作用があり、アルツハイマー病の治療に多面的なアプローチの可能性がある。」

「また同時に、ニューロトロフィンの発現を増大させてニューロン新生を促すことで脳に本来的に備わっている修復機能を支援する働きがあり・・・カナビノイドの経路を操作することで、アルツハイマー病にこれまでの治療にはなかった薬理学的な治療アプローチの可能性がある。」

以前に行われた臨床前研究でも、カナビノイドには、多発性硬化症 や 筋萎縮性側索硬化症 (ルーゲリック病)などの神経変性病を実験的に発症させた動物モデルで、病気の進行を遅らせる働きのあることが示されている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "Alzheimer's disease: taking the edge off with cannabinoids?" appears online at: http://www.nature.com/bjp/journal/vaop/ncurrent/full/0707446a.html

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7368