バラク・オバマ大統領候補への

カナビスに関する公開書簡



マット・サイモン

Source: New Hampshire Coalition for Common Sense Marijuana Policy
Pub date: February 1st, 2008
Subj: An Open Letter to Barack Obama about Marijuana
Author: Matt Simon
http://nhcommonsense.org/blog/open_letter_barack_obama_about_marijuana


親愛なるオバマ上院議員

私は、昨年の秋の予備選の討論会でクリス・ドット上院議員がカナビスの非犯罪化を支持したのを見て喝采した多くの有権者の一人です。また、あなたが10月30日に行われたMSNBCのテレビ討論会で、ダッド議員の良識に同調しないことに手を上げた のを見て落胆した多くの有権者の一人でもあります。

アメリカでは9700万の人がカナビスを吸ったことのあると言われていますが、あなたも私もその一人です。私は、もしあなたがそのことで刑事犯罪の烙印を押されていたならば、アメリカの上院議員になって、ましては大統領候補の一人になることなどなく、間違いなく今と全く違った人生を送ることになっていたと思います。

そんな思いの中で、ワシントン・ポスト紙の記事で、手を上げたのは否定型を使った質問の意味を勘違いしたからで、実際には、あなたがカナビスの非犯罪化に「一環して」賛成の立場を取ってきた ことを知り、わだかまりが取れたような気がしました。

この問題については、立候補に差し支えることを危惧して安全策を取るように奨めるアドバイサーたちに囲まれて多くの議論が交わされたこと思います。多分、そのことが躊躇しながらも手を上げさせ、あなたが決して自分の考え方を明確に示してこなかった理由に違いありません。

しかしながら、今やあなたは、リチャード・ニクソン大統領のカナビスに対する考え方よりもジミー・カーター大統領の考え方を支持する人であることが明らかになりました。このことは全く恥ずべきことではありません。どうぞこの機会を最大限に生かして、目標を何ら達成できなかったカナビス禁止政策を改めてカナビス所持に対する罰則を再考する必要があると明確に主張して、クリントン上院議員との違いを鮮明に打ち出して下さい。

当然のことながら相手は攻撃を仕掛けてくるに違いありませんが、あなたが思うほど相手は手強くありません。歴史を見れば簡単に蹴散らすことができます。

1972年に発表された シャーファー委員会報告書 (カナビスとドラッグの乱用に関する連邦委員会) のことを思い出して下さい。ニクソン大統領は、共和党員でペンシルバニア州の前知事だったレイモンド・シャファー氏を委員長に指名して万全を期したにもかかわらず、望むような答申は出てこなかったのです。委員会の報告書は、カナビスを非犯罪化すべきであるとして次のように書いています。
カナビスの使用をやめさせるためとはいえ、個人的な所持にまで刑事犯罪法を適応するのは厳し過ぎる。そうした程度の行為を、ものものしい裁判で裁くのは適切だとは思われない。カナビス使用による実際の害の可能性はそれほど大きなものではなく、個人の行為に刑事犯罪法で介入するには十分な正当性が認めらない。そのようなアプローチは、われわれの社会では最大限に避けなければならない。

カーター大統領は1977年に、委員会の答申を取り入れるように議会に働きかけて次のように呼びかけています。
ドラッグの所持違反に対する罰則から生じるダメージは、ドラッグそのものの使用によってその個人に引き起こされる害よりも大きなものであってはならない。もし、罰則のダメージのほうが大きければ、それを改める必要がある。この点に関しては、カナビスの個人使用目的での所持を罰する法律ほどそれにあてはまるものは他にない。

われわれは引き続きカナビスの使用をやめさせるように努めなければならないが、それは、カナビス喫煙者を犯罪人として扱わなくても達成できる。既に、オレゴン州やカリフォルニア州ではカナビスの使用に対する刑事罰を廃止しているが、カナビスの喫煙が目立って増えたという報告はない。

5年前、連邦政府のカナビスとドラッグの乱用に関する委員会が、カナビスの使用を非犯罪化すべきであるという結論を出しており、私は、今こそその勧告の趣旨を実現すべき時だと確信している。

従って、私は、カナビスの1オンスまでの所持を連邦の刑事罰からすべて取り除く連邦法修正法案を支持する。この非犯罪化は合法化とは違い、ただ所持に対する連邦法の罰則を軽減して刑事罰ではなく罰金にするだけに過ぎない。売買に関する連邦の罰則には変化はなく、また、個人の所持に対して各州がどのような州法を適用するかについても従来のまま自由で変わらない。

しかし不幸なことに、カーター大統領の試みは成功しませんでした。その後、1980年代から90年代は禁止法の熱気がアメリカ中を吹き荒れました。刑務所産業複合体が発展し、ますますロビー活動に巧みさを加えてビジネスを拡大していきました。当然のことながら、このことは、他の人に何ら害を及ぼしていない多くの人たちが投獄されて人生を破戒されてしまう世の中になってしまったことを意味しています。厳しい罰則がカナビスの使用を止めさせるというナイーブな信念のもとで政策が正当化されましたが、実際にはカナビスの使用は減りませんでした。

カーター大統領がホワイトハウスを去って以降、共和党の政策が破綻しながらも長らく続くことになりましたが、その責任の多くは民主党にあります。特に、ビル・クリントン大統領の罪は他の誰よりも重いと言えます。

クリントン大統領は、カナビスを 「吸ったことはあるが、吸い込んではいない」 と言ったことでも広く知られていますが、大統領になってからは前任のレーガンやブッシュ大統領をはるかに越えてカナビス戦争をエスカレートさせたのです。クリントン政権時代にはカナビス逮捕者が激増し、1992年から1999年までで417万5357人もの人が逮捕されています。このことに関しては、ヒラリー・クリントン候補に対して夫と同じようなニクソン流のカナビス政策を模倣するつもりなのか問い質すことは間違いなく価値があります。

クリントン大統領のカナビスいついての発言の中で最もおぞましいのは、大統領を辞めたすぐ後で、カナビスの非犯罪化を支持する発言をしている ことです。彼はローリング・ストーン誌の2000年11月号で、「カナビスの少量所持についてはすでに多くの地域で非犯罪化されていますし、そうすべきだと思っています」 と語っているのです。

ですので、オバマ候補には、この問題で毅然とした正義を貫いてほしいと思っています。この国では、230万人もの人びとが刑務所に入れられているのです。この気違いじみたカナビス禁止法というユートピア実験の成功ははるか彼方へと消え去っていきました。35年前に学んだことを思い出すために再び 「シャーファー委員会」 が必要なのであれば、そうすればいいと思います。しかしいずれにしても、これまでのカナビス政策が失敗し、意図しない結果になったという現実を直視することから始めなければなりません。

マット・サイモン氏は、「良識あるカナビス政策を求めるニューハンプシャー連合」 の代表。