カナビス禁止法を支持して
利益を得ているのは誰か?
Source: Norml Blog
Pub date: 1 July 2008
Who are America’s Prohibitionists
Author: Allen St. Pierre, NORML Executive Director
私は、これまで17年以上のわたってNORMLで働き活動してきた。その経験をもとに 「カナビス禁止法を支持して利益を得ているのは誰か?」 という問いにきちんと答えようとすれば博士論文ほどの長さが必要になってしまうが、簡単に要約すると次のようになる。
- アメリカにおいて、カナビス法改革に強く反対している組織や団体は、基本的に5つのグループに分類することができる。
- それらのグループは、絶えずカナビス禁止法をさらに深めて強化しようと活動し、カナビス法改革に好意的な市民や団体に対しては政治や文化面から攻撃を加えて反対する。その手法は、次のような集約できる。
- 刑事制裁の拡大
- 罰則の強化、刑の長期化、罰金の高額化などを通じての市民の自由の制限
- ビックスリーP (police/prosecutors/prisons 警察/検察/刑務所) の増員と拡大
- 財産没収・運転免許の停止・子供の親権の剥奪・奨学金の拒絶・公共住宅からの追放などの民事罰の強化
カナビス禁止法を支える5本柱
私の見方からすれば、教育者、宗教指導者、保健機関、軍の指導層、普通のビジネスや保険の会社、エコノミストなどの人たちは必ずしもカナビス禁止法を心底から熱心に支持しているわけでもないが、しかし次の5つのグループに属する人たちは、概ねカナビスを禁止して処罰することを強固に支持している。
グループ 1: 法執行機関
連邦警察、保安官、州警察、刑務所の監視員、保護観察官、組織管理者、DEAなどの連邦の法執行機関、市町村・郡・州・連邦の検事、ドラッグ法廷の専門家、などで、次のようなサイトを見れば彼らの目的や活動内容を簡単に知ることができる。
グループ 2: ペアレント・グループ
1970年代には、NORMLのカナビス非犯罪化活動に対抗するために、政府の関与していない真に草の根的なペアレント・グループが生まれて活動していたが、1980年にレーガン政権が誕生すると、ナンシー・レーガンの Just Say No の掛け声とともに政府機関によって草の根グループの活動が模倣されて取り込まれていった。
共和党の強い地域では、ナンシー・レーガンの宣伝活動を通じて、潤沢な政府資金が流れる反ドラッグ前線グループが作られていった。それにともなって初期の草の根ペアレント・グループの大半は行き詰まって消えていった。
結局、70年代の反カナビス草の根運動は、連邦政府の反ドラッグ官僚機構に取り込まれてしまったが、その名残は現在のペアレント・グループにも引き継がれてはいる。しかし、現在では政府からの資金で活動している大きなグループは次の2つになっている。
グループ 3: 禁止法の施行で利益を得ている民間企業
政府が何らかの法律を制定すれば、そこには必ず勝者よ敗者が出てくる。アメリカ議会で 1937年にカナビス禁止法が作られた ときにも、それを支持して盛り上げることで経済的なチャンスが得られる可能性のある産業が存在していた。
それから70年を経て、カナビスの禁止法の施行そのものをサポートして経済的利益を得る産業も生まれてきた。
こうした産業の中には、禁止法を支えることで多額の利益を得ている 多国籍企業も多く、政府に対して強力なロビー活動を展開して利権を確保して税金を吸い上げることで会社と株主の利益を確保している。そうした代表的な例としては次のような企業がある。
もし、カナビス禁止法が合法・規制・管理する法律に変わると、政治に直接結びついたこのような大企業やその子会社、さらに政府との契約で成り立っている無数の小ビジネスは致命的なほど大きな打撃を受ける可能性があるので、彼らにとっては、カナビス法改革の阻止が至上命題になっている。
グループ 4: カナビス製品と競合する産業
もし、政府がカナビスの禁止を止めるようなことを言い出せば、カナビスやヘンプ製品と競合することになる次のような産業は、カナビスに違法のままに据え置いて、課税・規制・管理することに反対して、カナビスの使用者たちを暴力犯罪人のように扱うようにロビー活動を展開するだろう。
- アルコール産業 (ビール、ワイン、蒸留酒 などの製造・卸・小売業)
- タバコ産業 (シガー、スピッツ、シガレットなどの製造・卸・小売業)
- 製薬産業
- 原料・エネルギー関連産業 (木材、紙、石油、プラスチック、繊維、シード・オイル、家畜飼料など)
産業界を代表して自分たちの利益を守ろうとする連合団体は、これまでもカナビスの法改革に反対することで、禁止法の恩恵を受けているアルコールやタバコ、製薬などの産業の企業と密接に連携して活動してきたが、結局のところ、それらの産業が合法で税金を払っていることが背景になっている。もし、この見方が正しければ、カナビスを合法化して課税することになれば反対しなくなるとも言えるが…
グループ 5: 国際機関と地域および連邦政府の反ドラッグ機関と官僚機構
もし仮に、何万人もの公務員や政治的受益者が存在せず、何十億ドルもの税金が予算化されて使われることがなかったならば、いわゆるアメリカのドラッグ戦争などは起こらず、カナビス禁止法を世界中に輸出するようなことも起こらなかったに違いない。しかし現実は逆で、次のような機構や理由を通じて巨額のドルが流れている。
結論からすれば、アメリカ連邦議会が、毎年何十億ドルもの税金を反カナビスキャンペーンを行っている巨大な政府機関に割り当てることによって、カナビス禁止法を促進し広めることで、政治家たちの選挙区と隙間ビジネスの利益を確保している。
政府機関やそこで働く人にとっては、生活費が増える分だけ年間の予算が増えていくことが半ば当たり前になっており、カナビス禁止法が彼らの生活の糧にもなっている。そのような待遇の公務員を辞めさせることはほぼ不可能で、公務員の給料は羨望の的になっている。
代表的な反カナビス政府機関は、どれもが奇妙なアルフェベットの短縮型で呼ばれている。よく知られているものも少なくないが、最後の例のように普通の人が全く聞いたことのないような機関もある。
最後のNDICは、ペンシルバニア州のジョンズタウンにある機関だが、全く何の役に立っていない議会の 金食い機関 だと言われている。ペンシルバニア州には他にも同じような禁止法プロ機関が4つある。
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