ドイツ連邦議会下院

医療カナビス法案を審議

Source: IACM-Bulletin
Pub date: 6 July 2008
Germany: Parliament debates proposals for medical use of cannabis
http://www.cannabis-med.org/english/bulletin/
ww_en_db_cannabis_artikel.php?id=273#1


6月26日、ドイツ連邦議会下院で、緑の党と左翼党が別々に提案した同種の医療カナビス法案の審議が行われた。下院を構成する5党すべての代表と連邦薬物対策委員会のサビーネ・ベーチング議員(社会民主党)が参加してそれぞれの見解を述べた。この問題に関しては、2008年10月15日にも議会の保健委員会で一般の専門家を対象にした公聴会が開催される予定になっている。

今回の会議では、デトレフ・パー議員(自由民主党)、モニカ・ノチェ議員(左翼党)、医師のヘラルド・テルペ議員(緑の党)の3人が、重度の患者が医療カナビスを入手できるようにするとともに、刑事訴追の対象とすることを止めるように求めた。

パー議員は、「われわれは、法的安全性を確立して犠牲者たちを救済する必要があります」 と述べたが、社会民主党の2人の代表(ベーチング議員とマルリース・フォルクマー議員、ともに医師)は、苦しみを抱える患者への同情と理解を示しながらも、法律を改めるのには時期尚早だとする意見に留まった。また、キリスト教民主同盟のマリア・アルヒホン議員は全面的に反対する立場を取って、未成年のカナビス使用を促すと強調した。

連邦政府を代表するベーチング議員は、「多くの人々にとってカナビスが有用な医薬品であることを疑う人はいません」 と述べているが、患者の恩恵になるように法律を変えることについては、「カナビスに医療的な価値があるかどうかについては、一部の症状に合成カナビノイドのドロナビノールを使うことを除けば最終的な結論には至っていない」 ので、現在のところではオプションにはなっていないと説明している。

こうした事情を反映してこれまでも、連邦保健省が管轄する医薬製品研究所では、カナビスの医療利用については、従来の鎮痛剤などの医薬品では効果が期待できずにカナビスを試してみたいとする希望が大きい場合に限って、ケースバイケースでその安全性を評価してきた。これまでに認可された患者数は10人で、32件が却下されている。