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2008年7月17日


カナビス抽出液はカナビノイド単独成分よりも痛みの緩和効果に優れている
当事者回顧エッセイ、「ホワイトハウス麻薬撲滅対策室は盲飛行状態」
オーストリア議会、医療カナビスの使用を認める



●カナビス抽出液はカナビノイド単独成分よりも痛みの緩和効果に優れている
2008年7月17日 - イタリア・ミラノ発

植物療法研究ジャーナルに掲載された 
臨床前データ によると、カナビスの純粋単独成分に比較して、カナビス全体から取り出した抽出液を投与するほうが痛みの緩和効果に優れていることが明らかになった。

イタリア・ミラノ大学薬学部の研究者たちは、神経性疼痛の動物モデルを使って、さまざまな成分を含むカナビスの抽出液と単独のカナビノイドを投与した場合の抗侵害受容作用(鎮痛効果)の違いについて調べた。

その結果、THCやCBD (カナビジオール) などのカナビノイドを単独で投与した場合には、多数のカナビノイドやテレピン(オイル)、フラボノイド(色素)を含んだカナビス抽出液を投与した場合よりも緩和効果が限定されていることが分かった。

「神経性疼痛モデルを使った実験では、カナビス・サティバの成分の比率を標準化した抽出液を使えば、カナビノイド単独の温熱性感覚過敏に対する効果をさらに高めて総合的な緩和効果を引き出すことができる」 と結論を書いている。

「今回の結果を全体的に見れば、カナビス抽出液に含まれるカナビノイドと非カナビノイド成分の組み合わせが、純粋のカナビノイドを単独で使ったときよりも神経性疼痛緩和に著しく優れていることを示している。…神経性疼痛の治療法の確実な臨床改善のためには、カナビス・ベースの医薬品のさらなく研究が必要とされている。」

最近では、アメリカの2件の臨床研究が、カナビスの吸引で HIV や 脊髄損傷 のような慢性疼痛患者の神経障害がプラセボよりも著しく改善されたと報告している。

また以前に発表されたカナビスと無痛覚症に関する臨床前研究でも、カナビノイドと オピエート や非ステロイド抗炎症剤 (NSAIDS) とを組み合わせて投与すると、それぞれを単独で投与するよりも痛みが大きく改善されることが示されている。

今回の研究結果について、NORMLのポール・アルメンターノ副事務局長は ハンチントン・ポスト に 「皮肉なことだが、アメリカの政治家や官僚たちは、カナビスの活性成分を分離してマリノールのような製剤を開発すれば安全で効力も高いので、医療カナビスを合法にする必要がなくなるとずっと逆のことを主張してきた」 と書いている。

「だが、この研究でも示されたように、単独に合成した成分よりもカナビス全体のほうが医薬品としてよく効く。ラットにでも分かるこのようなことを、政治家たちに分からなくさせているのは一体何なのだろうか?」

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Deputy Director.

Full text of the study, "Antihyperalgesic effect of a Cannabis sativa extract in a rat model of neuropathic pain," will appear in the journal Phytotherapy Research.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7650


●当事者回顧エッセイ、「ホワイトハウス麻薬撲滅対策室は盲飛行状態」
2008年7月17日 - アメリカ・ワシントンDC発

ホワイトハウス麻薬撲滅対策室(ONDCP)のジョン・カーネベル前予算管理責任者が今週発表したエッセイによると、アメリカのドラッグ戦争は証拠やパフォーマンス結果をベースにするのではなく、行き当たりばったりに行われていると言う。

このエッセイは、『麻薬撲滅対策室の失敗』 というタイトルで 
ハンチントン・ポスト・コム に掲載されたもので、その中で、麻薬撲滅対策室で12年間働いていたカーネベル氏は、「ONDCPは、アメリカのドラッグ戦争で峠を越えたと主張しているが、現実は、著しい変化が起こったと信じられるような理由はほとんどない」 と 書いている

「議会がONDCPを創設したときには、研究指向でパフォーマンスを考慮した政策を実行し、その結果を評価することで政策を修正し、連邦のドラッグ対策予算を的確に計算することになっていたが、実際にはONDCPはそのすべてができなかった。…現在の政策は盲飛行状態で、せっかく成果を上げることのできる機会が訪れてもそれを失う結果になってしまっている。」

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7652


●オーストリア議会、医療カナビスの使用を認める
2008年7月17日 - オーストリア・ウイーン発

オーストリア議会は、先週、保健省の管理下で、治療目的のカナビスを合法的に栽培・配布することを認める法案を採択した。

フランスのAFP社の 
報告 によると、カナビスの生産については、保健省が直接係わることになっている。

現在までのところでは、EU諸国で認定患者が医療カナビスを使えるようになっているのは、オランダ、ドイツ(連邦の審査で認められた場合のみ)、フィンランド(裁判所の命令)などごく一部に留まっている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7654