オランダとフランスの未成年比較研究

フランスの厳しい政策のほうが

カナビスの使用も社会問題も多い

Source: ENCOD
Pub date: 19 January 2009
Strict Policy Dose Not Lead To Less Use
Author: Ewald Smits, SYNC
http://www.encod.org/info/STRENG-BELEID-LEIDT-NIET-MINDER.html


オランダの マーストリヒト大学トリンボス研究所、フランスの INSERM研究所 が共同で実施した両国での調査結果によれば、ドラッグに対して厳しい政策をとってもその使用は減らないばかりか、より多くの社会問題を引き起こしていることがわかった。

この研究はマーストリヒト大学の ロナルド・ニッブル教授 が中心となって、14才から18才の中等学生に聞き取り調査を行ったもので、フランスの9646人、オランダの4921人が対象になっている。質問では、アルコールとドラッグの使用と、その結果として暴力など社会に迷惑をかけた度合いについて聞いている。

この研究では、社会問題の定義として、同世代同士の喧嘩、親の状況や職業、取っ組み合いや略奪などの暴力の経験をあげて、それぞれのドラッグの使用との関連について調べている。

その結果、オランダでは、若者のカナビス使用やそれにともなう社会問題は、厳しく取り締まっているフランスよりも規制の緩いオランダのほうがいずれも下回っていることが明らかにされた。

一方アルコールの使用については、両国とも80%が過去1年以内に使用経験しているが、フランスのほうがより多くの社会問題を引き起こしている。しかし、飲む量や頻度についてはオランダのほうが高くなっている。

この結果については、フランスのほうが周囲からの注意や働きかけによるコントロールが大きく、明らかな飲み過ぎの指摘や飲まないようにする指導することへの関心が高いことを示している。この点に関しては、オランダの両親や教師や仲間などによる飲み過ぎに対する注意や働きかけが不十分であると言える。

また、マジック・マッシュルーム、コカイン、ヘロイン、アンフェタミン、エクスタシーなどのカナビス以内のドラッグの使用については、オランダのほうが上回っている。

しかしながら、周囲への迷惑や暴力などの社会問題はフランスのほうがより顕著になっている。

この違いについては、研究者たちはフランスの厳しいドラッグ政策から派生していると説明している。例えば、ソフトドラッグの禁止しているフランスでは、取引が闇で行われているために暴力を誘発する結果になっている。

ニッブル教授は今回の調査について、ここで得られた結果をベースに単純にリベラルな政策を採用したほがよいとまではとても言えないが、厳しい禁止法を維持している国のユーザーのほうが暴力沙汰を起こしやすいという点については十分に留意する必要があると指摘している。