メキシコ、コロンビア、ブラジルの元大統領

カナビスの合法化を提唱


Latin American Commission on Drugs and Democracy

Source: CNN
Pub date: 11 Feb 2009
Ex-presidents of Latin America urge legal marijuana
http://cannazine.co.uk/cannabis-news/rest-of-the-world/
ex-presidents-of-latin-america-urge-legal-marijuana.html


スペインのEFE通信が11日に伝えたところによると、ラテン・アメリカのメキシコ、コロンビア、ブラジルの元大統領たちが、カナビスの個人使用を合法化して、ドラッグ戦争の戦術を変更するように呼びかけた。

この呼びかけを行ったのは、エルネスト・セディージョ元メキシコ大統領(在任1994-2000)、セサル・ガビリア元コロンビア大統領(1990-94)、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ元ブラジル大統領(1995-2002)で、ブラジルで開催されたドラッグと民主主義に関するラテン・アメリカ委員会の会合で発表された。

委員会の勧告が発表されたニュース・カンファレンスでガビリア元コロンビア大統領は、「問題は現在の政策が結果によって作成されておらず、偏見と恐怖にもとずいているところにあるのです」 と説明している。

委員会に参加している17か国のメンバーは今回の報告書作成のために1年間を費やしてきたが、この結果をすべてのラテン・アメリカ諸国だけではなく、アメリカやEU諸国にも提出することにしている。ガビリア元大統領は、アメリカの選挙でバラク・オバマ大統領が誕生しで実際的なアプローチが可能になった現在こそ、この問題についての議論を開始すべき最もよい時だと訴えている。

「アメリカでも、カリフォルニア州をはじめとする何州かは、医療目的でのカナビス使用を認めることで連邦の政策に変化を引き起こし始めていますし、ワシントンの議会の一部にも、現在の政策が失敗だとするコンセンサスが見られます。」

委員会は、合法化には中毒治療や乱用防止キャンペーンなどの公共サービスも一緒に行う必要があるとしている。「依存症になった人たちに手を貸さなければ、彼らはドラッグを買うお金を稼ぐために犯罪を犯すようになりますので、中途半端な政策になってしまうからです。」

カルドーゾ元ブラジル大統領は、委員会が合法化を呼びかけているのはカナビスだけだと断っている。他の違法ドラッグについては別に議論すべきで、すべてのドラッグを一緒にしてしまうことは非現実的だとしている。

「カナビスが対象になったのは、地域のどの国でも栽培されていて、害も他のドラッグよりも少ないからです。」

委員会では、これまでカナビスの個人使用を禁止する政策は何十年も続けられてきたが、栽培や取引を終わらせることはできなかったと指摘し、現在の刑事制裁はドラッグ・カルテルや犯罪組織だけをターゲットにすべきで、カナビスの使用者に向けられるべきではないと主張している。

セディージョ元メキシコ大統領はニュース・カンファレンスには出席しなかったが、カルドーゾ元大統領によれば、報告書の作成には加わっていると言う。今回の勧告は最近2度目のもので、ラテン・アメリカの政府関係者が合法化を呼びかけてから1週間も経っていない。

また、先週の金曜日には、ペルー・リマのSurquillo地区のガスト・シエラ市長は、連邦のドラッグ法が偽善的で、一部のドラッグやカナビスの多量所持を認める一方で、それをどこで入手したらよいのか何も触れていないとして、すべての違法ドラッグを連邦政府が合法化して国の健康省が管理するように主張している。

ペルーの新聞は、この発言を 『ドラッグにイエスを?』(Say yes to drugs?) というタイトルで一面に掲載している。その中で、シエラ市長は、この案を国の行政執行機関にも上げると述べている。

今回の宣言文: DRUGS AND DEMOCRACY: TOWARD A PARADIGM SHIFT, Statement by the Latin American Commission on Drugs and Democracy  (pdf)

報告書では、現在のドラッグ政策を「失敗した戦争」と呼び、次のように結論付けている。
…この地域で過去30年間行われてきた「ドラッグ戦争」政策を緊急に見直すことが不可欠であり…

ドラッグの生産を根絶し、流通を阻止するとともに、その使用を犯罪として扱うことをベースとした禁止論者の政策では、期待した結果が得られなかった…

現在の抑圧政策は、偏見と恐怖とイデオロギーに深く根ざしたもので、問題を議論することさえタブーになってしまっている。ドラッグ犯罪組織についての情報は行き渡らず、ドラッグ・ユーザーを差別して閉じられた枠内に押し込めることでますます組織犯罪に近づけてしまっている…

従って、タブーを打ち破り、現在の政策が失敗していることを認めた上で、もっと安全で効果的の得られる人道的ドラッグ政策をもたらす新しいパラダイムについて開かれた議論が必要不可欠である…

として、次のように提言をまとめている。
  1. ドラッグ中毒者を違法市場からドラッグを買う人ではなく、公衆衛生上の患者として治療する

  2. 公衆衛生の観点と最新の医療科学をベースにして、個人使用目的のカナビス所持を非犯罪化して便宜をはかる

  3. ドラッグ・ユーザーの多くを占める若者に理解され、受け入れられる適切な情報キャンペーンと防止策を通じて、ドラッグの使用を減らす

  4. 全体的な抑圧政策ではなく、組織犯罪に対する徹底した戦いに方向転換する

  5. 違法ドラッグの栽培に対する抑圧一辺倒の政策を見直して再構築する


ウォールストリート・ジャーナルの記事: Latin American Panel Calls U.S. Drug War a Failure  Jose de Cordoba, Wall Street Journal, 2009.2.12