国連麻薬委員会は

人権に対する配慮を欠いている


国連の拷問特別調査官マンフレッド・ノーワック

Source: AP
Pub date: April 22, 2009
UN Official Says War On Drugs Has Failed
Author: Michael Casey, Associated Press
http://www.cannabisculture.com/v2/content/
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ドラッグ戦争は失敗した。国は、ドラッグ中毒者たちの人権を尊重してきちんと治療を受けられるように政策をもっとソフトなものに変えるべきだ…

国連人権理事会の拷問に関する特別調査官マンフレッド・ノーワック氏は通信社のインタビューに応えて、多くの国が、単なるドラッグ使用による中毒者を営利目的の取引業者と一括りにして懲罰的な政策を取っており、ほとんど又は全く治療を施さずに長期に拘留したり、ときには死刑にしたりしているとその実状を語った。

ノーワック氏はバンコックで開催されたドラッグ・カンファレンスを傍聴した際にシンガポールを例にあげて、他の国では治療や薬の提供を拒否したりはしているが、この国ではドラッグ使用者に自白を強要するために鞭打ち刑まで行っていると話している。

「われわれはパラダイムを変える必要があります。懲罰的なアプローチをやめて、人権をベースにしたアプローチを取るべきなのです。対テロ戦争が失敗したのと同様にドラッグに対する戦争も失敗しています。実際、ドラッグ戦争が本格的に開始された1980年代と比較して、ドラッグ使用者数も取引業者数も何ら減っていないのです。」

またノーワック氏は、国際的に行われているドラッグ政策の失敗した原因が 「人権に対する侵害」 にあると指摘している。

ヨーロッパや南アメリカの一部の国々は懲罰的な政策を変えて、清潔な注射針の交換プログラムやメタドンのような代替治療を提供するようになっているが、アメリカを始めとしてロシアやアジア諸国など多くの国が未だにハードな政策に固執していると言う。

「そうした国の政策では、ドラッグ使用者を医療的な治療が必要な人間とはみなさずに、犯罪者として扱っています。特にアジアの大半の国では、ドラッグ事犯者で刑務所が過密な状態になっています。」

だがノーワック氏によれば、国連のドラッグ政策を担当しているウイーンの国連麻薬委員会もなかなか変化しようとはしていないように見えると言う。これまでも、人権を配慮した懲罰的ではない政策の導入を促してきたが、委員会側は拒否し続けている。

「国連のシステムでは、どのような政策であっても安全保障、他の地域の発展、と同様に人権にも配慮したものでなけれはならないことになっています。ですが、国際的に行われているドラッグ政策はそれが守られていないのです。」

今年の国連麻薬委員会の総会の模様については、ENCODがレポートを発表している。
THE END OF GLOBAL UNIFORM DRUG POLICY ENCOD BULLETIN ON DRUG POLICIES IN EUROPE NR. 50 1 April 2009

また昨年は、イギリスのシンクタンク、ベックレー・ファンデーションが、『 国連のドラッグ政策には人権ベースのアプローチが必要』 と題するレポートを出している。

マンフレッド・ノーワック氏(オーストリアの法学教授)は、2006年に、中国が監禁している法輪功関係者の臓器を強制摘出し売買している実態を調査し、国連拷問禁止委員会に報告したことでもよく知られている。