カナビスによって

脳のドーパミン分泌は増えない

参考Source: NORML Daily Audio Stash
Pub date: June 23rd, 2009
Cannabis use does not increase dopamine release
Author: Radical Russ
http://stash.norml.org/
study-cannabis-use-does-not-increase-dopamine-release/


カナビスの主要成分であるTHCは、脳の線条体のドーパミンの分泌を増加させるので統合失調症のリスクを高めると言われてきたが、神経画像ジャーナルに掲載された 研究 では、実際にはドーパミンが増えないことが示された。

この研究は、イギリスのインペリアル・カレッジMRC臨床科学センターのチームが、レクレーショナル用途のカナビス経験のある13人の健常者を対象に行ったもので、THC10mgとプラセボを経口投与して、線条体ドーパミン・レベルを [11C]-ラクロプリドPET画像を使って測定して比較した。

その結果、THCを投与された被験者では精神症に似た症状が顕著に増えることが確かめられたが、[11C]-ラクロプリドに対するTHCの影響には目立った変化は起こらなかった。

この結果から、経口THC群のドーパミンの量は、プラセボ対照群と変わないことが明らかとなった。

これまでは、動物実験によって線条体のドーパミンが増えること示した実験を根拠に、カナビスによる線条体ドーパミンの増加が統合失調症のリスク・ファクターとなるとするモデルが広く信じられてきたが、今回の研究で、人間では必ずしも成り立たっていないことが示された。

今回の研究:
Can recreational doses of THC produce significant dopamine release in the human striatum?   Stokes PR, Mehta MA, Curran HV, Breen G, Grasby PM. , Neuroimage. 2009 Jun 17

最近では、カナビスが統合失調症のリスクにはならないという研究が増えてきているが、今回の報告はそれを補強するものになっている。

また、ドーパミンの増加については統合失調症ばかりではなく、カナビスに中毒性がある証拠としても使われてきた。これは、他の中毒性のドラッグでもドーパミンが増えるとされているからだ。

しかし、カナビスには精神的な依存性はあるものの身体的な依存性(中毒)はあまりないことがよく知られており、今回の結果はそれを裏付けているとも言えるかもしれない。