水谷修氏への質問メール

投稿日時 2009-01-14 | カテゴリ: 質問と対話

中日新聞に連載されている「夜回り先生」こと水谷修氏のエッセイに、明白な誤りと疑問があるので、公開の質問メールお送りした。
中日新聞に電話で確認したところ、このエッセイは新聞紙面に掲載されたものをそのままウェブに転記しているとのこと。そうすると新聞でも誤った情報が拡散されたことになるので、水谷氏の次回連載原稿のなかで訂正を明記するよう求めた。担当部署は編集局だとのこと。
回答を頂けることを切に願う。

★ ★ ★

中日新聞御中
水谷修様

前略、失礼致します。

私は、タバコやアルコールほど害のない大麻を懲役刑という厳罰で取り締り、少量の大麻所持で学籍や職を奪う薬物乱用防止政策のあり方に反対し、ハームリダクション的な施策を求めて活動する者です。

ドラッグが社会に蔓延することを肯定するのではなく、営利目的でドラッグを売る犯罪組織への取り締まりとは切り離し、個人に対する薬物乱用防止政策は、刑罰ではなく、正しい知識に基づいた教育や、治療に重点を置く政策への転換を求めています。

「夜回り先生」として知られる水谷様が、子どもたちの薬物乱用に危機感を抱き、献身的な取り組みを行われていることに、敬意を表します。そのうえで、水谷様のお書きになった文章の訂正のお願いと、質問があり、公開を前提に以下の通りお尋ね申し上げます。

中日新聞のウェブサイト、昨年12月22日付の『夜回り先生のエッセー 大麻にはノーを 哀しみもたらすだけ』に事実誤認があります。また、失礼ながら、水谷様の言説には事実に反する点、大麻への誤解に基づく記述があります。

大麻にはノーを 哀しみもたらすだけ 2008年12月22日

1.同エッセーに、『日本では、「大麻取締法」により、所持しているだけで最高5年、使用目的の栽培は最高10年の懲役刑で罰せられます。』という記述がありますが、大麻取締法には使用目的を罰する規定はありません。
現在公開されているウェブ上の記述の修正をお願い致します。併せて、次回連載の紙面での訂正をお願い致します。

2.『子どもたち、今ネット上や一部の雑誌上に、「大麻は、オランダやロシア、アメリカの一部の州で、その使用を認めている。大麻は、たばこより依存性の少ないドラッグで、それを厳しく禁じている日本の政策が間違っている」とか、「大麻は、たばこより依存性が弱く、大麻を使用することは、格好のいいこと。ハッピーで仲間とより深く、親しくなることができる」などと書かれています。』という記述があります。

『大麻を使用することは、格好のいいこと』と主張している例があるのでしたら、大麻の制度的な管理(=合法化)を求める運動を展開する私たちとしても抗議したいので、具体的なサイト名や雑誌名を教えて下さい。

大麻を非犯罪化、または事実上の合法化をしている国々では、成人と未成年を明確に区別し、未成年が使用しないように制度や教育を整えようとしています。つまり、きちんとした教育を行うためには、嘘や脅しではだめで、未成年は自動車の運転や売買契約ができないように、やるやらないかは成人になってから決めることだということを前提として、事実上の合法化や非犯罪化が行われています。

3.『一部の国が、大麻の使用に対して甘いのは、それらの国々で中心となっているドラッグが、数カ月でその人を廃人にしてしまうヘロインで、その乱用が広まるぐらいなら、大麻を使用させる方が害が少なくていいとの考えからです。』という記述があります。

ヘロインが広まるぐらいなら大麻を使用させるほうが良い、という理由で大麻に寛容な国とはどこか、具体的にご教示下さい。そのような政策の是非を研究したいと存じます。

寛容政策で知られるオランダでは、大麻の容認政策が検討されたのは1970年代前後であり、ヘロインやコカインなどのハードドラッグ事犯が年間数百件程度でしかない時期だそうです。

4.『私のかかわっている、大麻を数年乱用した青年は、今は、何事も集中することができず、働くこともできず、精神科への入退院を繰り返しています。』という記述があります。

それが大麻と因果関係があるとする根拠をご教示下さい。そのような因果関係が医学的に証明されているのであれば、私たちも若者たちに啓蒙したいと存じます。

しかしながら、例えば、2008年5月に公表されたニューヨーク州立大学アルバニー校心理学科の研究では、「大麻の使用が原因となって精神症や統合失調症が発症するリスクはほとんどない」と報告しています。また、大麻の個人的な使用が容認されている国々で、大麻の使用によって精神科への入退院を繰り返す者が増えているという事実もないようですが、そのような事実が報告されているのでしたらご教示下さい。

以上4点、訂正とご回答を頂きたく、お願い申し上げます。
繰り返しになりますが、私たちは決して子どもたちの薬物乱用を肯定するものではありませんし、成人と未成年とを問わず、ドラッグの「乱用」を防止するには、薬学的・医学的に正しい知識を教育することがまず何よりも大切であり、根拠のない脅し文句では信頼と信用を失うのみで、却って混乱を招き、哀しみをもたらすばかりだと考えています。

子どもたちの薬物乱用を憂え、日夜尽力されている水谷様と公開メールで対話させて頂き、認識の共有ができることを、心より望んでおります。

尚、海外における大麻の医学的・社会学的な研究報告など、カナビス・スタディハウスに詳しいのでご参照頂きたく、申し添えます。

カナビス・スタディハウス

よろしくお願い致します。

草々

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代表 白坂和彦
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