裁判員は裁判を裁く

投稿日時 2007-11-26 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

裁判員制度が導入されることに賛成する主張があり、反対する主張がある。
裁判員制度は、なぜ導入されることになったのだろう。「裁判員制度」でググってみると、「裁判員制度」というタイトルのサイトが1番にある。とても最高だとは思えない最高裁が公開しているサイトで、「導入の理由」というページで2点挙げられている。

導入の理由
裁判を身近で分かりやすいものにする。
司法に対する国民のみなさんの信頼を向上させる。

これは、現在の裁判は「遠くて分かりにくく」、「国民のみなさんが司法を信頼していない」という正しい現実認識が前提にあるのだろうか。

騙されて何も知らずに運び屋にされてしまっただけの、本当は被害者である無実の者に、長期の実刑を科す裁判は、確かに全く分かりにくい、というか、理解を超えている。わけが分からない。信じられない。狂ってる。国民のみなさんが司法を信頼できるわけがない。
大麻取締法違憲論の裁判をやってきて、最高裁の判事席がシルバーシートに見えた。耳が遠くて目が悪い。息をしていないのではないかと心配になったが、どうやら息はあるらしい。

最高裁の裁判員制度関連ページに「明日の裁判所を考える懇談会(第9回)協議内容」というのがあって、出席者名に、「大谷昭宏委員,北川正恭委員,田中直毅委員」というテレビで見る名前があり、読んだらなかなか面白かった。

日本弁護士連合会(日弁連)の「はじまります。裁判員制度」というサイトには、「裁判が、あなたの良識を必要としています。」とある。

良識を疑うような弁護士は多い。
過日寄せられた相談で、大麻所持で夫が逮捕され、取り調べが終わって勾留期限も切れ、保釈請求できる状況になり、国選の弁護人も決まり、夫の保釈請求を頼んだところ、やるなら自分でやれ、国選の弁護は1回飲みに行くくらいの報酬にしかならないのだと言い放った弁護士もいる。

同じような逮捕容疑と状況で、私選の弁護士に保釈を頼んだら、悪いことをしたのだから少しのあいだ辛抱させなさいという、習性が抜けないヤメ検か?みたいな弁護士もいた。

私が一審で選任した弁護士は、大阪拘置所での初めての面会のとき、自分も学生時代に大麻を吸ったことがあると言って、依頼人の安心を勝ち得た。弁護士もいろいろである。

日弁連のサイトでは、裁判員制度について次のように書かれている。

裁判員は、刑事裁判の審理に出席して証拠を見聞きし、裁判官と対等に議論して、被告人が有罪か無罪か(被告人が犯罪を行ったことにつき「合理的な疑問を残さない程度の証明」がなされたかどうか)を判断します。
「合理的な疑問」とは、みなさんの良識に基づく疑問です。良識に照らして、少しでも疑問が残るときは無罪、疑問の余地はないと確信したときは有罪と判断することになります。

祐美さんの裁判や、福岡の高藤さんの裁判は、合理的な疑問だらけ、不合理な事実認定だらけで、絶対に無実である者に長期の懲役を科している。高藤さんは既に収監されたようだ。3年半である。

裁判員制度に反対する主張のひとつに、「あなたは人を裁けるか」という問いかけがあるようだが、裁判員が裁かなければならないのは、被告人というよりも、捜査や取り調べが適切であったか、供述調書の作成に問題はなかったか、など、裁判の公正さではないかと思う。無実の者に有罪判決を出すことなどあってはならない。そのための裁判員制度でなければ意味がない。久保田君(高藤さん関連)、高藤さん、祐美さんと、次々と無実の者に長期の実刑が科されてゆくのを目の当たりにして、捜査や取り調べの適切さ、裁判の公正さこそ国民が監視しなければならないのだと痛感している。






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