元日の事件に「核心的問題点」を再確認する

投稿日時 2009-01-02 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

元旦早々、慶應大学の学生が大麻所持で逮捕というニュースが流れた。
所持していたのはビニール袋の重さと合わせて2.3グラムだという。Yahoo!ニュースの動画を見ると、逮捕された学生の自宅マンションの映像と共に日本テレビが報じている。

また慶大…大麻所持で4年の男子学生を逮捕
自宅に大麻を隠し持っていたとして、慶応義塾大学の4年の男子学生が大麻取締法違反の疑いで逮捕された。慶応義塾大学では去年、学生2人が、横浜市のキャンパスで大麻を売買したなどとして逮捕されている。
逮捕されたのは総合政策学部4年・●●●●容疑者(26)。警察の調べによると、●●容疑者は、神奈川・藤沢市の自宅のマンションにある宅配ボックスに乾燥大麻3袋(2.3グラム)を隠し持っていた疑いが持たれていて、容疑を認めている。
●●容疑者は、3年前にも大麻を譲り受けた疑いで逮捕され、起訴猶予処分になっている。

新聞社と通信社のサイトでも記事になっている。きっとこれでこの学生は退学処分になるのだろう。「大麻汚染」と大騒ぎした報道のなかで、評論家やテレビ芸人たちは、逮捕された学生の罪の希薄さを盛んに問題視していた。しかし、何を反省しろというのだろう。彼らは誰に危害を加えたわけでもなく、迷惑すらかけていないのだ。
アルコールやタバコほどの害もない大麻を、厚労省や警察や天下り公益法人は、何の根拠もなく大袈裟に怖い麻薬だと言い募り、マスコミはそれを検証もせずに垂れ流し、国民にデタラメな情報を洗脳教育している。逮捕された学生たちは、大麻の事実を実感として知り、デタラメ情報を垂れ流す権力やマスコミの欺瞞をこそ見抜いているだろう。ところが、裁判で大麻の何が悪いのかなどと問うと、反省していないとして量刑を重くされることになる。
罪の意識が欠如しているのは、デタラメな情報を垂れ流し続ける権力であり、マスコミである。

昨年11月3日、ガーディアンは報じた。
『名門大学の学生が、たまに大麻を楽しんだところで、ニュースのヘッドラインになるようなことはない。日本でなければ。』
●Japan frets over growing marijuana problem Monday 3 November 2008
●増え続ける大麻問題に苛立つ日本(当サイトの翻訳)

カナビス・スタディハウスに翻訳された、フランスのトゥールーズ・ル・ミラーユ大学の研究チームによるレポートには次のようにある。
『アルコールの使用やその他の因子を調整した後では、カナビスの通常の使用が顕著な非行的行動の独立予想因子とはならない』
●節度あるカナビス使用は非行行動の原因にはならない

大麻の種の売買を法的に規制しようとする動きがあるが、元日の逮捕というえげつない事件に際し、桂川裁判上告棄却への異義申立で、金井塚弁護士が指摘した本質を、改めて書き留めておきたい。

核心的問題点は、何らかの精神薬理作用や有害性があるとしても、それが、身体の自由を奪う強度の刑罰(懲役刑)を伴う程の規則が必要なほど有害な実質があるのかどうか、より有害性の明らかなアルコールや煙草が未成年の摂取を規制しているに過ぎないのに、不均等にも強度の刑罰を伴う規制をする理由や正当化根拠は何か、である。刑事法の基本原則である法定手続の保障、適正手続の保障、罪刑均衡の原則(憲法31条)から、まさに慎重に考量、判断されなければならない問題である。

●桂川さん裁判:最高裁への異議申立書





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