9月14日の厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 課長補佐 安田 尚之氏への取材内容の検証 投稿者:野中 投稿日:2009/10/03(Sat) 00:10  No.5609   [返信]
取材内容全文
http://asayake.jp/modules/report/index.php?page=article&storyid=1424

大麻取締法 第四条 
二  大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。
三  大麻から製造された医薬品の施用を受けること。

は、当該患者の生存権を著しく侵害する条項である。しらさんの9月14日の厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 課長補佐 安田 尚之氏への取材内容に見られる医療大麻の禁止理由に関する厚労省の回答は、以下に指摘するように、実に奇妙であり、禁止理由がないということを如実に示すものである。安田課長補佐の苦しい立場は十分に理解できるが、患者は生存権がかかっている。官僚は、この問題に関しては特に、国民の後押しがなければ動くことはない。大切なことは、彼らを追い詰め、逃げ場をなくすことである。この問題に対して、私は強い憤りを感じる。しかし、それは万有愛護の精神に基づくものである。

まず、以下のやりとりを見て頂きたい。(Q:しらさん A:厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)

『【単一条約と医療大麻/国内の大麻研究】より

Q.認めるべきかどうかっていうことの検討を始めたり、例えば大麻の医学的なあるいは薬学的な研究は認めるとかですね、今は合成カンナビノイドの研究しかオッケー出してないっていう状況ですよね?

A.少なくとも大麻研究者って言われている免許はありますよね。大麻研究者っていう免許の中で、動物を使った実験とかは認めているわけですけれども。

Q.それは、大麻から抽出した物を使った研究を認めてるということですか?

A.人に対しての研究っていうのは、大麻取締法第4条で禁止されていますので、人に対しては使えないんですよ。ですから少なくとも、前にも白坂さんにご説明室したけど、そこの中に含まれている、例えばTHCだとかカンナビノイドだとかの有用な成分については、それを合成して単一な物質として使うことに関しては、麻薬及び向精神薬取締法の中で、麻薬研究者として、研究はできる形にはなっているわけですよね。』

当然、なぜ、合成カンナビノイドの人に対しての研究は認められているのに、それよりも何千年も使用の歴史の古い大麻の人に対しての研究は認められていないのか?という疑問が浮かぶ。
それに対する説明はこうだ。

『【大麻に関する知見をまとめるよう日本としてもWHOに要請】より

Q.それとですね、大麻を医療的に使いたいっていう話が国内でもちょっと出てきてるかと思うんですけども、厚生労働省の立場としては、大麻でなければダメな理由がないと、他に薬や治療法やらがあるんではないかっていうお話をされてるってことなんですが、患者側の立場として言えば、なんで大麻じゃダメなの?っていう理由がわからないっていう声を聞くんですけれども。

A.それは、大麻の有用性がはっきりしないからですよ。

Q.それは国際的に国際機関で認められてないってことでしょうか?

A.ええ、それも合わせてです。』

注目すべきことに、安田氏はここで大麻の有害性を理由に挙げてはいない。一方で、大麻の人に対する研究を禁止しておきながら、その理由を問われて、"大麻の有用性がはっきりしないから"では、話が通らない。研究が禁止されているのだから有用性を明らかにする術はない。1997年のWHOの報告書には、

"いくつかの研究は癌やエイズの進行した段階における吐き気と嘔吐に対するTHCの治療的な効果を立証しており、その他の治療的な使用の研究は進行中である。

大麻およびその派生物についての疫学的研究と応用研究の両方にはっきりとした必要性がある。大麻使用の健康に及ぼす結果についての知識には重要な相違があり、きちんとした対照試験からの報告が必要であり、開発途上国での大麻使用のパターンとデータ、カンナビノイドの慢性的な有害作用、医療使用の有効性に関わる研究を含むべきである。"

"いくつかの研究が、癌やエイズなどの病気の進行した段階における吐き気と嘔吐にカンナビノイドの治療的な効果を示した。 ドロナビノール(テトラハイドロカンナビノール)は米国で10年間以上、処方箋で利用可能である。カンナビノイドの他の治療的な用途は制御された研究で示されており、喘息と緑内障の治療、抗うつ剤、食欲増進薬、抗けいれん薬としての用途を含んでおり、この分野の研究は続けるべきである。 例えば、胃腸の機能へのカンナビノイドの効果の中枢と末梢のメカニズムの更なる基本的な研究は、吐き気と嘔吐を軽減する能力を進歩させる可能性がある。THCと他のカンナビノイドの基礎的な神経薬理学の更なる研究が、より良い治療薬の発見を可能とするためにも必要である。"

とある。

単一条約は、大麻の医療上の目的での使用を禁止するものではない。何故、次のWHOの報告書まで待たなければならないのか?その間にも苦しみ続けている人がいるというのに。

また、安田氏は、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの薬物情報が誤っていること、自らが、WHOによる1997年の大麻の健康影響に関する報告書が唯一の大麻に関する国際的な評価であることを強調することとそのアップデートの要請を盛り込んだ「大麻の種子に関する決議」の作成に関与したことを認めている。このことは、桂川さんの裁判で検察が証拠として提出した大麻の有害性の根拠とされる資料は、WHOによる1997年の大麻の健康影響に関する報告書を除いて、すべて信憑性がないものであったことを立証する。また、WHOによる1997年の大麻の健康影響に関する報告書には、大麻の使用や営利を目的としない所持・栽培に対して刑事罰を適用することが妥当と判断されるほどの有害性は示されていない。事実、この報告書以降、世界のさまざまな国と地域で、大麻の個人使用目的の所持や使用の非犯罪化、医療大麻の制度化の動きが進んでいる。