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カナビスをB分類に戻すべきか

英総選挙の焦点に

Source: Liverpool Daily Post
Pub date: March 29, 2005
Subj: Should cannabis revert to a Class B substance?
Auther: Adrian Butler
Web: http://icliverpool.icnetwork.co.uk/


イギリスでは、カナビスが5月5日に行われる総選挙の重要な争点になってきた。

カナビスは犯罪問題に関する政策課題として常に最初に取り上げられるようになって、先週チャールス・クラーク内相は、2004年1月に前任のデービット・ブランケットが決定したカナビスのB分類からC分類へのダウングレードを見直すように指示した。

ダウングレードでは、法律的にはカナビスを精神安定剤のバリウムなどと同じ分類で扱うことになり、販売事犯の最高刑が懲役14年であるのは変化はないが、その他の事犯の罰則が緩和され、所持の最高刑は5年から2年に引き下げられた。また、警察は個人使用目的で所持容疑で逮捕しても積極的には起訴しないというようになった。

2月にはリバプールでカナビス栽培場が警察当局に摘発されたが、警察は「栽培や供給は容認できない」と発表した。これに対してこの数週間、保守党党首マイケル・ハワードは、カナビスをB分類に戻して、もっと強制力のある法律と厳しい処罰を科して実効性のあるものにすべきだと要求してきた。 保守党の政策綱領調整の責任者デービット・キャメロン下院議員も、党とすれば、たとえ全員の足並みが揃わなくても、現政権のドラッグ政策に強固に反対していくとあらためて表明している。

カナビス分類の再検討を決めた現内閣は、その理由としてカナビスが精神の病気を引き起こすという研究を受けたもので、政策そのものを後戻りさせたものではないと強調している。

以下は反対派、賛成派の意見

C分類は第一歩に過ぎない


見直し反対の立場をとるリベラル民主党ヨーロップ議会議員のクリス・デビス氏は、かつて、ストックポートでオランダ・スタイルのコーヒーショップ設立を支援するために、法を無視して少量のカナビスを掲げてデモして有罪に処せられたことで知られている。 (参照

デビス氏。政府のカナビス政策そのものについての根本的な再考を求めているが、今回の内務省の提案については総選挙を数週間後に控えての苦肉の対応に過ぎない。

カナビスの分類をダウングレードするという昨年の政府の決定はドラッグ乱用に関する諮問委員会の答申に基ずくものだったが、今回のチャールズ・クラークによる指示は、カナビスが心の病気を悪化させるという新たな研究が提出された結果を受けて、さらなる調査を求めたものだ。

しかし、精神病という問題はなにも新しいものではなく、答えは厳しい規制に後戻りするということではない。タバコやアルコールをみても明らかなようにどのドラッグも安全だなどとはいえない。問題はその度合なのだ。

カナビスについては、それを闇に封じ込めておくよりも、より良い情報が得られるようにすべきだ。オランダのコーヒーショップでは、ユーザーはカナビスのメニューが提供する効力などの情報にもとずいて自分で選択できるようになっている。

諮問委員会が決定をくつがえすことはほとんど考えられないが、政府にとってはドラッグ政策を正面から擁護できないので時間稼ぎにはなる。内務省の再考というポーズは、労働党がドラッグに甘すぎるという保守党の主張を薄めようとしているものだ。

もし政府が本気でこの問題に取り組むのなら、進むべき方向はあらゆるドラッグをコントロールするライセンスや規制を導入することで、ドラッグ界の大物を実権部内に据えることだ。

われわれの法律は、犯罪者たちの手にますます多くの金をもたらすようにしか機能しないようになっている。禁止法は完全に全面的に失敗している。1971年にドラッグ乱用防止法が制定されたときには、イギリスのヘロイン中毒者は1万人だったが、今日ではおそらく30万人以上にも増えている。密売人たちは儲けに笑いがとまらない。

内務省は「ソフト」と「ハード」ドラッグの線引きを明確にして、うまくいっているオランダのアプローチを見習い、地方議会がカナビスの少量の販売をコーヒーショップにライセンスできるようにすべきだ。

カナビスの所持で毎年10万人もの若者たちを犯罪者扱いにするのはやめるべきだ。警察の時間や費用の巨大な無駄使いになっており、他人の誰にも迷惑をかけていないのに、罰金や懲役に科せられ、地元の新聞で非難されるといった彼らの苦悩に気付くべきだ。

カナビスのC分類への変更は将来に向けた小さな第一歩に過ぎない。政府は最初の政治ハードルを前にして後戻りするのはやめるべきだ。


精神分裂症のリスク増大が問題


見直しに賛成の立場をとるのは、重い精神病患者と介後者を支援する慈善団体RMR(Regional Manager Rethink)のグラニー・キューリエさん。

2005年3月19日に行われた内務省の決定を歓迎します。乱用ドラッグ諮問委員会があらためて、カナビスと精神分裂症への影響の関係について調査して、内務省が前回の決定を撤回することに賛成です。

この動きはカナビスがB分類からC分類に変更されてからちょうど1年後に出てきました。その間の再分類の議論は混乱したメッセージを送り出すことが目的ではなく、私たちの集まりが真に関心抱いてきたのは、多くに若者たちがカナビスをリスク・フリーだと思っているなかで、本当はカナビスの使用が精神病のリスクと関係しているという事実を知らせることです。

私たちはここ2年間、内務省や保険局に対してロビー活動を行い、カナビスの使用が多くの若者にとっの精神分裂症への危険な要因なっていると警告してきました。政府からは何度もその証拠がないと受け入れられませんでしたが、やっとその動きが出てきたのです。このことは、もっと研究が必要だという私たちのキャンペーンを支持してくれた重篤精神病患者とその家族のすべての人々の心からの勝利です。

カナビスのリスクに関する証拠はどんどん出てきています。家族のなかに精神病歴がある人がいる場合はリスクは劇的に増加し、そうでない人でも際立った増加が見られるのです。

私たちは、カナビスの長期かつ若年からの使用が精神分裂症に関係するという明解で理解しやすい情報を皆が持つことを望んでいます。健康局は広範囲な公衆衛生キャンペーンを各家庭に押し進め、国中の400万人のカナビス常用者に対してカナビスがリスク・フリーではないというメッセージを伝えるべきです。

しかし、精神病の患者さんや家族、私たちのキャンペーンを支持してくれる専問家の人たちからは、諮問委員会が前回の欠陥をなかなか見直そうとはしていないという懸念も聞かれます。委員会が確実にこれを取り上げることを約束させなければなりません。

諮問委員会は、実際の関係者や経験者を交えて健康問題に最善の取組をしなければなりません。分類問題という狭いところに焦点をあてるのではなく、健康局にしかるべき資金を提供して長期的な公衆衛生キャンペーンができるように最大限の配慮を行うべきです。

私たちは、諮問委員会の結論を受けて健康局が、フランスやオランダ、ニュージーランドなどで行われている公衆衛生キャンペーンを見習って、その実施にあたるのが正しいと確信しています。 この問題は、国中の400万人のカナビス常用者に深刻な結果をもたらす可能性があるという広範囲な公衆衛生に関わるもので、刑事裁判で扱えば済むというものではありません。

私たちは、健康局がキャンペーンを先導し、カナビスと精神分裂症の関係という明解で理解しやすい情報を提供し、喫煙やエイズや肥満といった問題に取り組むことを望んでいます。カナビス問題を内務省に任せておくだけでは済みません。

諮問委員会への差戻しは、私たちのキャンペーンを支持してくれた重篤精神症患者とその家族のすべての人々にとって心からの勝利です。