Weekly News

2006年5月18日


非精神活性カナビノイドが糖尿病の被患率を低減
アメリカでカナビス・ピルが第2カナビス医薬品として利用可能に
オーストラリア政府、州の非犯罪化法の転換を要請



●非精神活性カナビノイドが糖尿病の被患率を低減
2006年5月18日 - イスラエル・エルサレム発

自己免疫ジャーナル誌の3月号に掲載された臨床前研究の結果によると、動物実験で非精神活性の 
カナビジオール (CBD)を投与すると糖尿病の被患率が低下することがわかり、将来、人間のT型(インスリン依存型) 糖尿病を防止する医薬品として利用されるようになるかもしれない。

イスラエルのハダサー大学病院の研究者たちは、マウスを2つのグループに分けて糖尿病になりやすい環境で育て、投与グループには一日あたりCBD5mg注射して対照群と比較したところ、対照群グループでは糖尿病にならなかったマウスが30%に過ぎなかったが、投与グループでは86%が被患しないという顕著な改善がみられた。また、対照群で糖尿になったマウスでは15〜20週の間にすべてが発症したのに対し、CBDグループの糖尿マウスの大半(60%)は26週まで発症しなかった。

さらに、研究者たちは、CBDが炎症性サイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)、インターフェロン・ガンマ(INF-gamma)、腫瘍壊死因子(TNF-α)の血漿内レベルが著しく低下し、インシュリンを作り出す器官(ランゲルハルス島)にリンパ球が侵入しておこる深刻なウイルス抗体価の上昇(膵島炎)が対照群マウスに比較して顕著に抑制された、とも報告している。

報告書の結論には、「この結果は、CBDには、破壊的なランゲルハルス島の炎症・・・マウスのサイトカインの生成を抑制し遅らせる働きがあり、糖尿病の被患率の減少させることを示唆している」 と書かれている。

今年のはじめに発表された別の臨床前データでは、動物実験で CBDが糖尿性網膜症を防ぐ ことが発見されている。網膜症は網膜の酸素の欠乏によっておこる疾患で、働き盛りの中年の中途失明の最大の原因になっている。

また、カナビノイドには、糖尿病に関連した特定の神経障害性の痛みを緩和したり、動物モデルで血糖値を改善する働きがあることも示されている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Cannabidiol lowers incidence of diabetes in non-obese diabetic mice," appears in the March issue of Autoimmunity.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6909


●アメリカでカナビス・ピルが第2カナビス医薬品として利用可能に
2006年5月18日 - アメリカ・メリーランド州・ロックビル発

今週、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、合成カナビノイドを医薬品として再認可した。

セサメット(別名ナボライン)という商品名の経口投与型のピルは、カナビノイドのTHCを合成したもので、規制薬物第2類として従来の制吐剤が効かない化学療法患者の吐き気や嘔吐の治療に利用できるようになる。

これまでアメリカ国内で唯一合法的に利用できた合成カナビノイドである 
マリノール (ドロナビノール)は、連邦法では規制薬物第3類に分類されている。

当初、セサメットは1985年にFDAから認可されていたが、その後、製造元のイーライリリーの業務上の理由により市場から撤退していた。しかし、2004年にバレント製薬がセサメットの権利を買い取り、カナダとイギリスで制吐剤として販売している。販売元によると、副作用 としては、運動失調(調和的な筋肉運動能力の喪失)、陶酔、頭痛、めまい、脈拍増加、集中力の低下などがあげられている。セサメットはTHC1mg入りの錠剤で、一日に2回飲むようになっている。

一方、マリノールはTHCをゴマ油に溶解してカプセル化したもので、2.5mg、5mg、10mgの3種類が販売されている。だが、値段が高いことや精神活性が高いことなどから、好ましい評価をしている患者はあまりいない

また、現在、マリンクロット製薬ではマリノールのノーブランド製品(ジェネリック)の開発を進めており、アメリカでの販売をめざしている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Additional information on Marinol and synthetic THC is available in NORML's report: "Marinol vs Natural Cannabis: Pros, Cons, and Options for Patients," online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6635

Source:  
http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6910


●オーストラリア政府、州の非犯罪化法の転換を要請
2006年5月18日 - オーストラリア・パース発

オーストラリアの規制薬物政策統括する内閣協議会の会合で、連邦政府は、カナビスの所持や使用をすべて非合法とする国内統一法案の成立をめざすことになった。

新しい政策綱領では、カナビスをヘロインやコカインと同様な危険ドラッグと位置付け、州政府に対して、マリファナの少量所持を非犯罪化している現行の法律を改めて刑事罰にすることを求めている。

しかし、実質的には、オーストラリアの8つのすべての州で、カナビス事犯は刑事ではなく民事違反として扱っており、さらに、南オーストラリア、西オーストラリア、オーストラリア首都圏(ACT)、北部圏の4州では、個人使用目的でのカナビス栽培も非刑事扱いとなっている。

連邦政府側は政策の変更を推進するとしているが、州政府のリベラルなカナビス法を強制的に転換させる法的権限がないことも認めている。