Weekly News

2006年5月25日


カナビスの喫煙と肺がんは無関係、過去最大の患者対照研究
サンタクルズ、カナビスに対する法執行を最低優先順位にする条例案を再確認
THC誘導体が間質性膀胱炎の痛みや過剰活動を抑える



●カナビスの喫煙と肺がんは無関係、過去最大の患者対照研究
2006年5月24日 - アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ発

現在までに実施された一般住民を対象とする最大の患者対照研究によると、たとえ長期にわたってカナビスを吸っていた場合でも肺ガンになる率が全く増加することはないことが明らかにされた。この研究は、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校デビッド・ゲフィン医学部・肺疾患救急医療部門のロナルド・タシュキン教授の指導で行われたもので、サンディエゴで今週行われた2006アメリカ胸部学会国際カンファレンスで結果が発表された。

研究では、ロスアンジェルスに住む18才から59才までの中年を中心とする成人を対象にカナビスと肺ガンのリスクの関連について調べたもので、肺ガン患者611人と年齢や性別や生活環境がマッチした1040人の対照群に聞き取り調査をしている。データとしては、生涯のカナビス使用歴と同時に、アルコールやタバコや他のドラッグの使用歴、ダイエット、職業、家族のガン歴についても収集された。肺ガンのリスク対するカナビス使用の影響度合は、年齢、性別、民族、教育程度、タバコの喫煙やアルコールの飲酒の累計量などを論理回帰モデルを使って分析している。

研究者たちは 「タバコの喫煙などの可能性のある要因を統計的に補正したところ、たとえ長期にわたってヘビーにカナビスを使っていても肺ガンになるような関係を全く見出すことはできなかった」 と結論を下している。また、データを中程度の生涯カナビス使用者(年間ジョイント10〜30本)のグループに限定すると、カナビス使用と肺ガンには実質的には逆相関関係があることも明らかにされている。これに対して、ヘビーなタバコ・スモーカーではリスクが20倍になることが報告されている。

さらに、カナビス使用によって上気道(UAT)ガンの被患率も全く増加しないことも発表されている。5年の及ぶこの研究は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の資金提供を受けて行われていた。

NORMLのポール・アルメンターノ・シニア政策アナリストは、「タシュキン氏の発見は、肺や上気道など特定のガンとカナビス使用の因果関係を見出すことに失敗した過去の患者対照研究を再確認したものに過ぎません」 と語っている。例えば、
2001年のジョンズ・ホプキンズ大学の病院ベースの対照研究 では、若年成人が「生涯使用」でも「過去の使用」でもカナビスが頭部や頚部あるいは肺のガンになるという関連はないことを見出している。また、2004年のワシントン大学の患者対照研究 では、カナビスをどんなに長期にどんなに頻繁につかっていても口腔ガンとは全く無関係であるとしている。さらに、1997年のカイザー保険が行った後ろ向きコホート研究 では、タバコの使用に関連している肺や上気道ガンのリスクが、タバコを吸わずカナビスだけを使っている人間の男女に対しては増加しないことを見出している。

「この研究の最も注目すべき点は、こうした結果が出ても人の注目を集めないという事実です」 とアルメンターノ氏は言う 「以前にもアメリカ科学アカデミーの医学研究所などが報告しているように、タバコに関連したガンも含めて、カナビスが人間にガンを引き起こすという決定的な証拠はありません」

また、アルメンターノ氏は、カナビスを使う人で、害になる可能性のある有毒な煙が気になるが吸引によって迅速な効果を得たい場合には、喫煙ではなく カナビスを蒸気にして吸えば 劇的に発ガン物質の吸引を削減することができる、と忠告している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Abstract from the American Thoracic Society International Conference 2006. Marijuana Use and Lung Cancer: Results of a Case-Control Study
Marijuana Use and the Risk of Lung and Upper Aerodigestive Tract Cancers: Results of a Population-Based Case-Control Study Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention Vol. 15, 1829-1834, October 2006

Additional information on cannabis and cancer is available in NORML's report, "Cannabis Smoke and Cancer: Assessing the Risk," available online at:
http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6891  (

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6912


●サンタクルズ、カナビスに対する法執行を最低優先順位にする条例案を再確認
2006年5月25日 - アメリカ・カリフォルニア州サンタクルズ発

今週、サンタクルズ当局は、カナビスに対する法執行を 「市の最も優先順位の低い」 扱いにすることを求めた条例案を2006年の住民投票にかけることを再確認した。

この案 は、責任あるマリファナ政策を求めるサンタクルズ市民の会 が提案していたもので、成人のカナビス使用者に対するサンタクルズ警察当局の捜査や召喚や逮捕を最も低い優先順位にすることを命ずるものになっている。また、コミュニティ監査委員会が警察のカナビスに対する法執行活動状況を監視することを規定している。2003年にはシアトルで 同じような条例案 が住民投票で採択され、それ以降、市のカナビス逮捕者が75%も減っている。

2005年に行われた世論調査では、サンタクルズの有権者の85%が、成人のカナビス使用を犯罪とすることに反対している。

サンタクルズの条例案では、通過すれば、カナビスを商品として法的に課税して規制することを支持することを市当局が表明するように求めている。2004年にはオークランドの有権者が 同様な条例案 を認めている。

その他でも、サンタバーバラ や サンタモニカ西ハリウッド で、同じような市条例を求める市民たちが署名活動をおこなっており、活動を通して、2008年に行われるカリフォルニア州の住民投票条例案への支持を得たいとしている。

For more information, please visit: http://www.taxandregulate.org

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6915


●THC誘導体が間質性膀胱炎の痛みや過剰活動を抑える
2006年5月25日 - アメリカ・ジョージア州アトタンタ発

今週開催されたアメリカ泌尿器学会の年次総会に発表された臨床前研究によると、THCを合成した誘導体を使った動物実験で、膀胱炎や膀胱の過剰活動を軽減することがわかった。

研究者たちは、THCに類似したIP751をラットに投与した実験で、間質性膀胱炎(IC)に関連した炎症や痛みが減少した、と報告している。間質性膀胱炎は骨盤に長期にわたって痛みを伴う疾患で、ほとんどが女性で発症し、アメリカでは70万人が患っていると見積もられている。

これまで行われた臨床前研究でも、カナビノイドとエンドカナビノイド・システムが 
クローン病 や大腸炎などさまざまな 胃腸の疾患の治療 に対して有効な役割を担っていることが示されている。また、天然のカナビス抽出液を使った臨床研究では、多発性硬化症患者の 失禁を劇的に減らす ことも明らかにされている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6916