アルコールかカナビスか

大人の選択を認めるべき時

コロラド州住民投票条例・修正44号案


メイソン・ツーバート

Source: Denver Post
Pub date: October 01, 2006
Subj: Adults Should Be Allowed To Choose
Author: Mason Tvert
http://cannabisnews.com/news/22/thread22225.shtml


成人の1オンスまでのカナビス所持をコロラドの州法で合法化すべきではないか? あるいは、私たちのキャンペーンでも必ず取り上げる質問ですが、分別のある成人が自分の好みでアルコールではなくカナビスを選択したからといって、それは罰するべきことなのか? 修正44号案が問いかけているのはこのようなシンプルなことなのです。

素直に見れば、これに反対する論理的な理由はあるようには思えません。

何故なら、カナビスに比較すれば、アルコールはより耽溺性があり、毒性も強く、攻撃性と暴力とに深く関連しているために、自分だけではなく他人をも傷つけてしまいます。また、アメリカ疾病対策センターのデータによれば、アルコールが直接の原因で死亡するアメリカ人は年間2万人に達するのに対して、カナビスによる死亡者は0、という現実があるからです。

しかし、カナビスに関する議論は、これまで余りにも長いあいだ間違った枠組の中で行われてきたために、アメリカ人の心も歪んでしまっています。カナビスについてどう考えているかを尋ねると、多くの人が最初に返してくる反応は、「アルコールのほかに、何故もう一つも悪を認めなければならないのか?」 という質問です。

こうしたカナビス=悪という観念は、カナビス合法化に反対する人たちが、カナビスに関連した害をことさら誇張し歪曲することで、人びとの心に植え付けてきた結果なのです。カナビスを貶めようとする主張は、ゲートウエイ理論から、暴力との結び付き、肺がんの原因なるといったことまで、余りにもたくさんあり過ぎて、ここでは到底書き切れないほどです。

ですが、こうした観念を追い払って、カナビスが悪ではなく比較的良性な薬物だと正しく認識すれば、適切な質問は 「何故もう一つも悪を認めなけならないのか?」 ではなく、私たちが主張するように 「何故、より安全な代替を禁止する必要があるのか?」 に変わるはずです。

反対派の人たちは、この質問には直接答える術を持っていません。それは、アルコールの使用を認めて、カナビスについては認めないという言い訳が通用しないからです。もし、私たちの案に論理的に反対するのであれば、アルコールも再び禁止するように要求しなければならず、言い訳が破綻することになります。

その代わりとして、彼らがすり替えて主張するのは子供についての議論です。彼らは、私たちの案を認めれば、ティンエイジャーがますますカナビスに手を出すようになると言います。しかし、これは、これまでのカナビス禁止法の下で、86%の高校生がカナビスを入手するのは「非常に簡単」あるいは「極めて簡単」と答えている状況をつくり出してしまったという現実を無視しています。

また、カナビスを認めれば、子供たちに悪いメセージを送ることになるとも叫んでいますが、この主張の裏には、子供たちに対して、カナビスよりもアルコールのバカ飲みのほうが安全だというメッセージを暗に伝ようとする意図が隠されています。

私たちは、ティーンエイジャーのカナビス使用に賛成しているわけではありません。しかし、現実の問題として、住民投票の結果がどうであろうとも、子供たちはアルコールとカナビスの両方に晒されているのです。子供たちがアルコールをバカ飲みしてオーバードーズすれば死ぬこともありますが、カナビスではそういうことはありません。これが現実なのです。

子供たちに送らなければならないのは、「本当のところ、カナビスを吸うと酔っぱらうよ。だけど、簡単に言えば、酔っ払うどのようなドラッグや医薬品であっても、子供がリクレーション目的で使うことはやめたほうがいい。とは言っても、そうした薬物にどこかで出会うかもしれないから、一つ一つのドラッグについてどんなふうに危険なのかよく学んでおこう」 というメッセージなのです。

修正44号案は、子供についてはなにも触れていなません。もし通過しても、21才未満のカナビスを所持が違法であることには何ら変わりません。また、未成年にいかなる量のカナビスを与えても重罪になることも変わりません。子供たちの薬物の使用率は、親の教育と指導によって影響を受けるのであって、成人に対するカナビスの法的位置付けとは関係ないのです。

私は、みなさんが修正44号案に賛成票を投じることを強くお願いします。そうすれば、子供たちに嘘をつくために大人を罰しなければならないようなこともなくなります。論理と真実に基づいた新しい政策は、長い目でみれば、いかなるグループにも恩恵をもたらすはずです。


参考:
コロラド州住民投票条例アルコール・カナビス均等修正44号案 FAQ

著者のメイソン・ツーバートは、SAFERのキャンペーン・ディレクターとして修正44号案の成立に向けて先頭に立って奮闘している。毎日の活動状況は、SAFERのブログで読むことができる。