オケイジョナル・カナビス・ユーザーは

社交的で心理・社会的問題率も高くない

スイスのティーン調査報告

Source: The West Australian
Pub date: 06 Nov 2007
Subj: Occasional marijuana use ‘does not harm teens’: Switzerland study
http://www.ukcia.org/news/shownewsarticle.php?articleid=12985


小児・青年期医学アーカイブの最新号に掲載されたスイスのティーンエイジャーの調査研究によると、時たまカナビスを使っているティーンは、ノンユーザーに比べて 「心理社会的な問題」 を引き起こす率が高くないことがわかった。

この研究を率いたスイスのローザンヌ大学のJ.C.スーリス博士は、「当初われわれが予想していたよりも、たまにカナビスを使っているティーンのライトユーザーは、大きな問題を抱えるようなこともなく上手に生活しています」 とインタビューに答えている。だが、ヘビーユーザーでは害になっていることには疑問の余地はないとも話している。

調査は、2002年に国が実施した未成年の健康に関する多施設調査のデータを分析したもので、学校に通っている16才から20才の5263人を対象に、カナビスのみのスモーカー(455人)、カナビスとタバコのスモーカー(1703人)、どちらも使っていない禁煙グループ(3105人)に分けて比較している。

報告書によると、データーは匿名方式で実施されているので、ティーン特有の誇張の影響は最小限に抑えられているとしている。また、ヘビーなドラッグユーザーなど学校をドロップアウトした人たちは国の調査の対象に含まれていないという。

報告書では、カナビスとタバコの両方を吸っているティーンは、カナビスのみのグループに比べて問題を起こす可能性の高いことも明らかにされている。また予想通り、タバコを使っているティーンほど早くからカナビスを使い出すことも示されている。

「カナビスを使っているスモーカーでは、タバコを一緒に使っている人よりも、カナビスだけの人の方が問題が少なく、またタバコを使っている人は、使っていない人に比べてヘビーなカナビス・ユーザーになる傾向が顕著に見られる」 と書かれている。

また、カナビスのみのスモーカーの大半が月に1、2回程度しか使っていないのに対して、タバコを併用しているスモーカーの場合は、月間の使用回数が10回以上になっている。

カナビスのみのグループとタバコを併用しているグループとの比較では、スポーツをしている割合は86%対67%、両親と一緒に暮らしている割合は78%対68%、良好な成績を残している割合が78%対67%で、いずれもカナビスのみのグループのほうが10ポイント以上高くなっている。

一方、カナビスのみのグループとどちらもやっていないグループとの比較では、男性の割合は72%対48%、友達と良い関係を築いている割合は87%対83%、スポーツをしている割合は86%対77%になっている。また、カナビスのみのグループでは学校をさぼる回数は多いが、学業は全体的には余り差はない。しかし、両親とよい関係にある割合は74%対82%で、やや低くなっている。

報告書では、アメリカでは未成年のカナビスの使用率自体は依然高いものの、1990年の終わり頃に比べて使用率は減少傾向にあるのに対して、スイスやヨーロッパ諸国ではここ数年増加傾向が見られるとしている。スーリス博士によると、スイスではカナビスが社交の一部になってきており、ティーンたちは友達を呼ぶときにはビールよりもジョイントで持て成すことのほうが多くなっていると言う。

スーリス博士は、子供のカナビス使用に直面した両親へのアドバイスとして、「今日では、ほとんどすべての子供たちが友達からカナビスを誘われる時代になってきていますから余り大騒ぎすべきではありません。これは、親御さんがティーンだったころにアルコールやタバコに出会った時と同じで、大人になる学習の一つなのです」 とインタビューの答えている。

また、今回の研究では、成績の悪いティーンがヘビーなカナビス・ユーザーになるのか、あるいはカナビスのヘビーな使用そのものが成績を悪くしているのか明らかにできなかったとして、スーリス博士は、さらなる研究を実施して、ティーンエイジャーがどのように考えてやりくりしているのか調べる必要があると語っている。

今回の論文:
Some Go Without a Cigarette, Characteristics of Cannabis Users Who Have Never Smoked Tobacco
J. C. Suris, Christina Akre, Andre Berchtold, Andre Jeannin, Pierre-Andre Michaud, Arch Pediatr Adolesc Med. 2007;161(11):1042-1047. (pdf

スイスはカナビス使用率が高いことが知られており、以前には国会でも合法化寸前にまで行ったこともある。このような状況なので、禁止法のストレスでデータが歪められるようなことが少なく、その分だけ、今回の研究もカナビスの本当の姿を反映していると思われる。

2007年の国連の報告書 によると、スイスの15才から64才のカナビス使用率は9.6%で、ヨーロッパでは、サイパス、イタリア、スペインに次いで4番目の高さになっている。

また、スイスインフォ・org によると、現在ではティーンのカナビス使用率は減少傾向にあるが、ピークだった2002年には男子では46%、女子では37%のティーンが少なくとも1回はカナビスを試している。今回の研究は、このピーク時点での調査結果を分析したものになっている。

タバコとカナビスの併用はタバコのみよりも肺に悪影響を及ぼす  (2007.5.24)