EU議会議員

20%がカナビスの非犯罪化を支持


イギリスの議員では3分の1

Source: Manchester Evening News
Pub date: June 13, 2007
Subj: MEPs back legal cannabis
Author: Yakub Qureshi
http://www.ukcia.org/news/shownewsarticle.php?articleid=12611


マンチェスター大学の研究チームが発表した調査データによると、イギリスのヨーロッパ議会議員の3分の1がカナビスの使用を合法にすべきだと考えていることが分かった。

この調査はEU議会議員732人全員を対象に匿名を条件に実施されたもので、移民問題などさまざまな政策の中の一つとしてカナビス問題も取り上げられた。回答を寄せた議員は272人で、イギリスのEU議会議員では78人のうち37人が回答している。EU議会は、ヨーロッパ全体の法律を決定する権限を持っている。

EU議会議員全体のカナビス法改正の支持率は20%で、イギリスの3分の1は、より広い非犯罪化を求めているオランダの83%に次ぐ2番目の高さになっている。

この調査を率いたデビッド・ファラレル社会科学教授は、EU議会の議員たちの影響力が大きくなってきていることから、この結果を重く受け取らなければならなくなっているとして、「この調査で示されたEU議員たちの見方は、政策決定に直接反映する可能性が大きい」 と語っている。

しかし、この研究の発表数日前には、イギリスNHS(ナショナル保健サービス)のデータで、カナビス関連の病院来院者数が86%も上昇しているという発表もあり、カナビスと統合失調症のような深刻な精神病との関連を懸念する声も出ている。

イギリスのカナビス常用者数は約200万人と言われているが、NHSのデータによると、過去10年間にカナビスに関連して病院での治療を必要とした人の数が、1997年の510人から2006年には946人に増加している。

また、イギリス政府は3年前にカナビスをB分類から規制の緩いC分類へとダウングレードを実施しているが、その後ほどなくして行われたM.E.N.の調査でも、カナビスがより広く使われるようになって、学校の生徒たちもおおぴらに吸ったり、校門の前で堂々と売買が行われるようになったと報告されている。

今回の調査結果は、昨年の12月に発表されたEU全域での世論調査の結果にも似ている。世論調査では、全体の26%の人がカナビスの個人使用の合法化に賛成している。
EU世論調査、26%がカナビス個人使用合法化に賛成  (2006.12.23)

先日、イギリス保守党影の内閣アンドリュー・ランズレイ保健省大臣が発表した カナビス関連の病院来院者数 は、1997年が510人、1998年506人、1999年625人、2000年600人、2001年581人、2002年674人、2004年890人、2005年869人、2006年が946人になっている。

ダウングレード後に来院者数が急激な割合で増えていることから、カナビスをB分類に戻すべきだと主張する人たちもいる。確かに%でみると深刻な数字にも見えるが、実数的に見れば、200万人のユーザーに対してその数はごく僅かだともいえる。

これに対して、イギリスのアルコールに関連する来院者数は年間10万人以上になっている。カナビス常用者人口がアルコールの数十分の1だとしても比較にならないほど大きい。また、アルコール関連の死亡者数も毎年5000人を越えているが、カナビスによる直接の死亡事故はこれまで知られていない。

こうした点からみれば、カナビスの来院者数の増加はそれほど深刻な問題とは言えないことがわかる。


イギリス政府が2007年6月に発表した Safe, Sensible, Sociable のグラフ


さらに、カナビスによる来院のすべてが精神病的な理由ではないことにも注意しなければならない。例えば、カナビス人口が約40万人とされている オランダの調査報告 (2005年)では、カナビスの乱用や依存で一般病院の手当てを受けて記録が残されている人数は、カナビスが1次的原因の人が56人、2次的な原因の人が322人になっている。

また、カナビスで緊急病院の手当てをうけた患者の症状は深刻なものではなく、アムステルダムの病院の例では、気分の悪化と不安が44%、動悸が20%、吐き気が15%、精神病的な症状が認められたのはカナビス関連患者全体の4%。血圧や運動神経の低下による影響で、転倒して怪我したのは14%となっている。