Weekly News

2007年6月28日


エイズ治療研究、カナビス喫煙は 「明らかに医療効果がある」
連邦最高裁、学生の「カナビス奨励」表現は憲法では保証されない
ロードアイランド州、知事の拒否権を覆えして医療カナビス法を恒久化



●エイズ治療研究、カナビス喫煙は 「明らかに医療効果がある」
2007年6月28日 - アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク発

後天性免疫不全症候群(エイズ)ジャーナルに掲載された臨床試験データのよると、HIV陽性患者では、カナビスの喫煙で日々のカロリー吸収量が増加して、体重が増える状態が良好に維持される一方で、認知能力への悪影響のないことが明らかにされた。

ニューヨーク州にあるコロンビア大学の研究チームは、10人のHIV陽性患者グループで、カナビス喫煙と 
THC(マリノール)の経口投与 の効果を二重盲検プラセボ対照実験で調べた。参加した患者は全員が、カナビスを医療的に利用した経験があり、少なくとも2種類の坑レトロウイルス製剤を服用していた。

実験の結果、研究者たちは、一日4回のカナビス(THC含有量2.0%または3.9%)喫煙で 「食物の摂取量が大幅に増え・・・一方では、不快症状や認知能力への悪影響を示すエビデンスはほとんどなかった」 と報告している。

高効力のカナビス(3.9%)を喫煙した患者では、平均して、4日間で1.1kgの体重増加が見られた。この点について研究者たちは、食事1回あたりの摂取カロリー数には違いはなかったが、カナビスの喫煙で食事の回数が増えたことを指摘している。

マリノールの経口投与でも同じように体重の増加が見られたが、「現在推奨されている服用量の8倍」 を摂取した場合に限られていた。マリノールは化学合成THCをゴマ油に溶かしてゼラチンのカプセルに封入した処方医薬品で、食品医薬品局が1992年にHIV・エイズ関連の悪液質治療薬として認可している。

被験者たちは、カナビスの喫煙でもマリノールの経口投与でも酔いを感じたと報告しているが、それらの効果は、「ポジティブで問題を感じない状態」 だったとも述べている。

また、研究者たちは実験の第一義的な結果ではないとしながらも、プラセボを投与した患者に比較すると、カナビスあるいはマリノールを使った患者は、通常の医薬品を要求することがはるかに少なかったと書いている。そうした薬の大半は、吐き気や下痢、胃のむかつきなどの消化器系の不快症状の緩和のために使われている。

さらに、高効力のカナビス喫煙した患者では、マリノールに比べて大幅に睡眠が改善することも報告されている。

研究者たちは結論として、「4日間のデータは、カナビス喫煙とマリノールの経口投与には同じようなポジティブな効果のあることを示している。食物の摂取量と体重が増加し、不快な陶酔感や認知機能への悪影響などなく良好な薬理効果が得られた」 と書いている。

加えて、「カナビスの喫煙には・・・HIV陽性患者の食事量を増加させ、気分を改善し、客観的にも主観的にも睡眠量を増やす、といった明らかな医療メリットがある」 と指摘している。

カナビスの喫煙効果については、2005年に精神薬理学ジャーナルに掲載された以前のコロンビア大学のチームの 予備試験 でも、HIV患者に 「副作用を引き起こさずに食事摂取量を大幅に増やした」 と報告されていた。

2003年に実施された調査によると、北アメリカにおいては、HIV・エイズ患者の3人に1人 が、病気の症状や坑レトロウイルス剤の副作用と闘うためにカナビスを治療目的で使っていると推計されている。

2003年の内服薬年報に掲載された臨床試験のデータでは、カナビスを使ったHIV患者では、使わない患者に比べて、免疫に関連した CD4/T細胞数が増加する ことが示されている。また、2005年のエイズ・ジャーナルに掲載された別の研究では、医療カナビスを使っているHIV・エイズ患者では、非使用者に比較して、坑レトロウイルス治療プログラムの達成度が3.3倍も高く なっている。

最も最近の研究としては、サンフランシスコ総合病院とカリフォルニア大学ペインクリニック研究センターの研究チームが、今年の神経学ジャーナルで、プラセボに比べて、カナビス喫煙がHIVに関連する 神経障害を大幅に緩和する と発表している。

アメリカではここ20年間、実質的に、喫煙によるカナビスの臨床研究は認められていなかったが、今回のコロンビア大学の研究は再開後に初めて実施されたひとつで、HIV患者に対するカナビスの喫煙とマリノールの経口投与の忍容制と効果を比較した研究としては初めてのものになる。


For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "Dronabinol and marijuana in HIV-positive marijuana smokers: caloric intake, mood, and sleep," appear in the Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes.

Further discussion of this trial is available on the Thursday, June 28 edition of the NORML Daily Audio Stash, online at: http://www.normlaudiostash.com

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7289


●連邦最高裁、学生の「カナビス奨励」表現は憲法では保証されない
2007年6月28日 - アメリカ・ワシントンDC発

連邦最高裁は、今週、「違法ドラッグを奨励している」と「思われてもしかたのない」ような言論活動を行った学生に対しては、合衆国憲法修正第1条での保護対象とはならず、学校当局は禁止措置をとることができる、とする判決を5対4で下した。

この判決は、学校の事前承認を受けていない文書や節度を欠いた学生の言論表現を学校側が禁止できることを認めた裁判史上初めての判断になる。

第9回巡回控訴審では、2002年に学外で行われた行事で 「キリストにボングを(Bong Hits 4 Jesus)」 を書いたバナーを広げたと思われる学生に対して、学校当局が停学処分にしたのは学生の言論の自由を侵害していると認定していたが、今回の判決はこれを逆転した。

ジョン・ロバード主任裁判官は、「若者のドラッグ乱用は国にとって深刻な課題であり・・・学校が、乱用を奨励していると思われてもしかたのないような表現を制限することは、学生のドラッグ乱用をやめさせようとする政府の方針に合致している」 と理由を述べている。

サミュエル・アリトー、アンソニー・ケネディ、アントニン・スカリア、クラレンス・トーマスの各裁判官は、多数意見に加わった。また、ステファン・ブレイヤーズ裁判官は、一部に賛成し、一部の反対する意見書を提出している。

反対意見をまとめたジョン・ポール・スティーブンス裁判官は、多数意見が 「ドラッグ戦争に反対する声を黙殺してしまう」 可能性があるとして、「たとえ高等学校であっても、たった一つの見方だけしか認めないようなルールでは、反対の見方とオープンに議論させるのに比較して、正しい答を導くことにはつながらない可能性が高い・・・」

「深刻な問題に関する国家的な議論では、修正第1条で最も保護されるべきは少数派の意見であり、いかなる政策を行うにしても、カナビスの使用を禁止するための費用と利益について全体で率直に議論することのほうが、少数意見を押さえつけるよりもはるかに賢明だと言える。」

ルース・バダー・ギンズバーグ、ダイビット・ショウターの2人の弁護士はスティーブンス裁判官の反対意見に加わった。

この事件の名称は、モース対フレデリック、06-278号となっている。



●ロードアイランド州、知事の拒否権を覆えして医療カナビス法を恒久化
2007年6月28日 - アメリカ・ロードアイランド州プロビデンス発

ロードアイランド州では、先週、上院および下院議員の80%以上の投票で、1年の暫定期限付きだった医療カナビス法の恒久化を実現した。この投票では、州の医療カナビス・プログラムの終了を求めて恒久化法案に拒否権を行使していた共和党知事の決定をくつがえすことで、法案を成立させた。

この州法は、
エドワード・ホーキンス&トーマス・スレイター医療カナビス法 と呼ばれており、州の認定を受けた患者や介護者は、医療カナビスを所持しても刑法の訴追から法的に保護される。現在では300人あまりが認定を受けている。

暫定法は、議会で再認されない限り、6月いっぱいで期限は切れるように決められていた。

1996年にカリフォルニア州などで認定患者に対する医療カナビス使用が初めて合法化されたが、ロードアイランド州は2006年に議会で医療カナビス法を成立させ、11番目の州になっていた。今年の4月には、ニューメキシコ州も議会で医療カナビス法を成立させ、12番目の州 になっている。住民投票ではなく、議会で成立させたのは4州のみになっている。

また今月の初めには、コネチカット州で同様の法案がジョディ・レル州知事(共和)の 拒否権 で成立を阻まれている。しかしながら、新しく結成した州の医療カナビス推進グループは、今年の後半の議会で知事の拒否権をくつがえすことを目指すと発表している。

医療カナビスの所持と使用を認める ニューヨーク州の法案 についても今月の初めには下院を通過していたが、その後、上院で審議未了のまま行き詰まっている。法案の提出者は、この夏に開かれる特別議会に法案を再提案することも計画している。


For more information, please contact Erin Dame, NORML Outreach Coordinator, at (202) 483-5500

or visit http://www.ripatients.org

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7291