アメリカ民主党大統領候補

全員が医療カナビス支持を鮮明に

Source: Marijuana Policy Project
Pub date: Aug 22, 2007
Title: Obama to End Federal Medical Marijuana Raids
Democratic Candidates Now Unanimous
http://www.mpp.org/site/apps/nl/content2.asp?
c=glKZLeMQIsG&b=1157875&ct=4301561


昨日、民主党のバラク・オバマ大統領候補(イリノイ州上院議員、民主)は、ニューハンプシャー州のナシュア・プライド(カナディアン・アメリカン野球リーグ所属)の試合の合間に行われたキャンペーン・イベントで、医療カナビス問題に対して初めて公式に言及し、現政権が実施している医療カナビス法を持つ12の州での患者やディスペンサリーへの強制捜査を終結する考えを明らかにした。

このオバマ議員の声明で、8人の民主党候補全員がそろって12州の医療カナビス法に対する支持を表明したことになる。また、共和党候補では、ロン・ポール下院議員(テキサス、共和)、トム・タンクレド下院議員(コロラド、共和)、トミー・トンプソン元ウィスコンシン州知事(共和)らも医療カナビスの強制捜査の終結を支持している。

5日程前には、4月に自らの署名で医療カナビス法を持つ12番目の州となったニューメキシコ州のビル・リチャードソン知事(民主)が、医療カナビスに対する連邦の強制捜査をやめること要請する書簡をブッシュ大統領に送っている。

「信頼されている医師や行政当局者が、最も弱い市民に温情をもって行動し世話することに対して、投獄の恐れを抱かせるようなことはすべきではなく、また、必要な薬を使っている弱く脆い患者さんたちが政府を恐れるようなこともあってはなりません。」

オバマ候補の公約は、ナシュアの住民で医療カナビス・グラニット・スターター(GSMM)のボランティアでもあるスコット・ターナーさんの質問に答えて出てきたもので、医療カナビス法のある州で、私のような深刻な病気に苦しむ患者を投獄するのを止めるつもりはあるかと問われて、候補は、「医療カナビス患者さんを強制捜査したり起訴するような司法省にするつもりはありません。財源や人的資源のふさわしい使い方とは思えません」 と答えている。

マンチェスターに住むGSMMのスチュアート・クーパー・マネージャーは、「わが国の主要政党の一つのリーダーたちが全員揃って、医療カナビス患者に対する連邦の強制捜査を終結させるのを求めるのは歴史上初めてです」 と語っている。

「ニューハンプシャーの有権者や医療関係者たちは、この国で最も深刻な病気で苦しんでいる市民を守るのではなく、逮捕しようとする候補者を決して支持しないという明確なメッセージを勢力的に送り出して来ましたが、最終的には、温情と道理が政策やプロパガンダに勝つのです。」

医療カナビス法を持つ州への連邦の侵入はずっと続いており、この夏も麻薬取締局(DEA)がカリフォルニアやオレゴンのいくつかの郡で家宅捜査を行っている。また、DEAは、州法では認められているのにもかかわらず、医療カナビス・ディステンサリーへスペースを貸している家主に対して資産を没収すると威嚇する戦法を使い始めた。こうした動きに対して、ロスアンジェルス・タイムスの社説は、「嘆かわしい弱い者いじめの新戦術」 だと非難している。

カナビス・ディスペンサリーに対する強制捜査の様子は、このサイトのフォト・エッセイで見ることができる。ロスアンジェルス・タイムスの言う通り 「嘆かわしい弱い者いじめ」 で、このような反感をかう現実も医療カナビス支持の流れを強くしている。

ハーバード大学医学部のレスター・グリンスプーン名誉教授は、結局のところ、「カナビスの医療利用が、カナビス禁止法を破綻させていく」 と語っている。

7月の初めの時点 では、民主党候補の中で医療カナビスに明確に支持を表明していたのは6人で、実際には、バラック・オバマ上院議員(イリノイ、民主)とヒラリー・クリントン上院議員(ニューヨーク、民主)は態度を鮮明にはしていなかった。

ヒラリー・クリントン候補がはっきりと支持を表明したのが7月13日で、ブッシュ政権が強制捜査を続けていることについて質問され、「ひどい仕打ち」 で、自分はやらないと答えている。Clinton's Queen of the Hill on medipot  (2007.7.13)

ニューメキシコの医療カナビス法では、州の保健省が認定患者用にカナビスの生産・保管・配布・販売をすることが定められているが、8月の半ばに、州法律事務所や保健省が連邦政府との間の法的対立を恐れて実施に難色を表明した。

しかし、ビル・リチャードソン知事は即座に、それに屈せず計画通りに実施することを表明し、ブッシュ大統領に強制捜査をしないように要請する 書簡 を送った。

この決断と行動力は大統領候補としての評判を高める結果となり、現在では、医療カナビスに前向きの姿勢を鮮明にすることが支持につながることが明確になった。Supporting Medical Marijuana Is Smart Politics  (2007.8.21)

今回のオバマ候補の 表明 は、こうした流れの中で出てきたもので、本当に時代が変わってきたことを思わせる。これまで実施された 各種の世論調査でも、医療カナビスを支持する割合が70%近くに達しており、政治がやっと世論に追い付いてきたと言うことができる。

また、この8月には、ドラッグ合法化論議が盛んに行われ、フォーリン・ポリシーFOXニュースワシントンポストワシントン・タイムズフィナンシャル・タイムズ などの大手マスコミもドラッグ戦争の失敗やドラッグの合法化の是非を正面から取り上げている。

現在は、イラク戦争の行き詰まりと共にドラッグ戦争の行き詰まりにも新たな政策が求められる時代に入ってきている。少し前まではドラッグの合法化議論はタブー視されていたことを思うと、時代が大きな潮目を迎えていることを強く感じさせる。

「グラニット・スターター」とは、ニューハンプシャー州の愛称である花崗岩(グラニット)と、大統領予備選挙がスタートすることから名付けられたニューハンプシャー州の別名で、GSMM (Granite Staters for Medical Marijuana) は、医療カナビスのためのグラニット・スターターを意味している。

GSMMは、ニューハンプシャー州患者とアクティビストによる草の根連合体で、医療カナビス患者を守るために連邦へ働きかける活動の必要性を訴える啓蒙キャンペーンをおこなっている。

ウエブサイト では、医療カナビス関連の各種の資料とともに、各候補の最新のキャンペーンの動向や発言の詳細を逐次掲載している。

アメリカ大統領候補者の大半が医療カナビス患者保護を支持  (2007.6.28)