唾液を使った新型ドラッグテスト装置

ドライバーの路上テストが正確で簡単に

Source: NRC Handelsblad (AP)
Pub date: 20 Nov 2008
Philips to launch drug detection device
http://www.nrc.nl/international/article2067758.ece/Philips_to_launch_drug_detection_device


オランダのフィリップス・エレクトロニクスは、ナノテクノロジーを応用して唾液中のカナビス・コカイン・スピードなどのドラッグを2分以内で検知するハンドヘルド型の装置を開発したと発表した。

また、ステーブ・クリンク広報官は、製品を警察に販売するためにヨーロッパで最大のドラッグテスト業者であるイギリス・コンカテーノと提携したことも明らかにした。

製品の価格や販売目標については直接の言及は避けながらも、市場の規模はアルコールの路上テスト器具と同じくらいに大きい可能性があると語っている。

「自動車を停止させて、綿棒で唾液を採取して装置に入れると90秒で結果が判明します。警察官は、その間に次の自動車の検査にも取りかかれます。」

クリンク広報官によれば、法律は国によって違うものの、この装置は主に、違法ドラッグの影響下で運転していたドライバーを一斉に検知するスクリーニング・テスト用として使われることが期待されている。

路上検査では、運転時点で実際に使用していたドラッグを割り出すためにこれまでクロマトグラフィーを使った検査が行われていたが、今回の装置はそれよりもはるかに簡単で迅速に結果が得られる。

使われているナノテクノロジーは原子や分子レベルの物質を扱うことができる技術で、新しい装置では、微小の粒子を使って唾液中に含まれているドラッグ分子と結合させて、磁場を利用した検知パッドに集めるようになっている。

会社では、最初の製品を2009年の後半にイギリスに出荷したいとしている。

また、クリンク広報官は、この装置に使われている技術には潜在性や柔軟性に富んでおり、将来的には医療用の検査器具としても使われる可能性があるとしている。その一つとして、会社では、心臓の筋肉が損傷を受けたときに生成されるタンパク質を検知する試験を行っていると言う。この装置が実現すれば、胸の痛みをうったえている人の原因が心臓発作かどうか簡単に分かるようになる。

このデバイスの写真と詳しい説明は、Nanowerk  のサイトで見ることができる。

現在、アメリカでは尿テストが最も使われているが、尿テストではカナビスを吸った直後のTHCそのものではなく、時間が経過した代謝物であるTHC-COOHを検査しているために、カナビスに酔っ払って運転していたかどうかを確実に知ることはできない。

このために、精神不活性で時間の経過した代謝物ではなく、THCそのものの存在を簡単に識別する判定法の開発が待たれていた。今回の装置はそれに応えるもので、現場の警察官がより確実に酔っ払い運転のドライバーを識別できるようになる。

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また、カナビスの合法化議論では常に、酔っ払い運転の事故が増えるという懸念が出てくるが、こうした確実な検査法の開発によって、その懸念も緩和されて、カナビスの法改革にも弾みがつくことが期待される。