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2008年5月1日


C型肝炎患者、医療カナビス使用を理由に臓器移植を拒否される
カナビスの単独使用による精神病のリスクはほとんどない
今週末、35カ国238都市でマリファナ・マーチ開催



●C型肝炎患者、医療カナビス使用を理由に臓器移植を拒否される
2008年5月1日 - アメリカ・ワシントン州シアトル発

4月26日の 
AP通信 によると、ワシントン州立大学医学部 (UWMC)は、臓器移植で延命を望んでいたC型肝炎患者に対する手術について、医療カナビスを使っていることを理由に拒むと発表した。肝臓移植が行われなければ、患者は数日以内に死ぬことが予想されている。

患者のティモシー・ガロンさん(56)は、ワシントン州の医療カナビス法に従って、医師の監督下でC型肝炎にともなう吐き気・腹痛・食欲不振の治療に医療カナビスを使っていた。ガロンさんの主治医は、まさか患者の医療カナビス使用が移植資格の否定につながるとは思ってもいなかったと話している。

UWMC側は、ガロンさんが60日間のドラッグ治療プログラムに参加すれば再考するとしているが、ガロンさんの弁護士は、60日間のプログラムを受ければ患者が生き残れる可能性はなく病院側はその決定を見直すべきだと強く要求したが、UWMCは最初の方針を再確認している。

現在、臓器移植に関しては連邦や州の基準は設けられておらず、それぞれの病院の判断に任されている。

サウスカロライナ医科大学 ヒューマン・バリュー研究所 の所長を務めるロバート・セイデゥ博士は、「アルコールと違って、カナビスは肝臓に直接的な影響を与えないはずですが」 と話しているが、UWMCの 移植部門 の責任者であるジョルジュ・レイエス博士は、そのことだけが問題なのではないと言う。

ガロンさんのケースについて特別にコメントすることはできないと断りながら、一般論として 「問題は、医療カナビスを使っている患者は、多くの場合それを止めることができないという点にあります」 と語っている。病院側が発表した声明には 「移植候補者のドラッグを止める期間を審査する委員会は、その日数や禁欲を維持しようとする意欲、再び乱用に陥る可能性の度合について示すことになっている」 と書かれている。

確かに、医師の一般的な対応とすれば、移植手術後には免疫を抑制薬を投与するので感染症のリスクが増加するために、喫煙などを控えるように指導している。

ガロンさんは昨年12月にカナビス栽培で逮捕されている。ワシントン州の医療カナビス法 では、患者が自分のカナビスを栽培することは認められているが、その量については60日分以内と規程されているだけで具体的な本数などは決められておらず、実質的に各地の警察署の判断に委ねられている。

先週木曜日の委員会の決定を聞いたガロンさんは、「怒りが沸いてくるわけでも、発狂するような感じもありませんが、だた気持ちが混乱しています」 と語っている。息子のレノンさんは、同じようなことが将来も起こるだろうとして、「父は、移植を拒否された最初の人というわけでもありませんが、この方針が変更されない限りは、最後の人にもならないでしょう」 と話している。

(ガロンさんは、AP通信の記事から5日後の5月1日に亡くなった。)
For more information, contact NORML Executive Director Allen St. Pierre at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7591


●カナビスの単独使用による精神病のリスクはほとんどない
2008年5月1日 - アメリカ・ニューヨーク州アルバニー発

ヒューマン精神薬理学ジャーナルに掲載された臨床データによると、カナビスの使用が原因となって精神症や統合失調症が発症するリスクはほとんどないことが分かった。

この研究はニューヨーク州立大学アルバニー校心理学科の研究チームが行ったもので、統合失調症の人ばかりではなく普通の人の統合失調症的人格傾向を調べることのできるSPQ (
Schizotypal Personality Questionnaire) と呼ばれる評価法を使って、アルコールなどの合法的なドラッグだけを使用している人と各種の違法ドラッグも併用している人を比較している。

その結果、違法ドラッグとしてはカナビスだけを使っているグループでは、合法ドラッグだけを使っているグループよりもスコアが高くなることはなかった。これに対して、カナビス以外にもエクスタシーやコカインなどの違法ドラッグを併用している人ではスコアが高くなることが示された。

この研究結果は、カナビスの使用が精神病のリスクを高めると書き立てている多くの新聞の主張とは対立するものになっている。

この研究の共著者で、NORMLの諮問委員会のメンバーでもある ミッチ・アーリワイン博士 は、「カナビスと精神病症状の関連を調べた以前の研究では、カナビス以外のドラッグについては全く考慮されていなかったり、せいぜいこれまでの生涯で経験したいくつかのドラッグについてラフに調べているだけですが、今回のわれわれの研究では、精神病に深く関与している神経伝達システムに影響の大きい興奮系を始めとする9種類のドラッグについて焦点を当てて詳しく調べています」 と話している。

カナビスと精神病の関係について評価した報告書としては、イギリスのドラッグ乱用に関する諮問委員会 (ACMD) が2006年に発表した 報告 が知られているが、その中では、「現在の証拠からは、最悪に見積もっても、カナビスの使用によって統合失調症まで発展する生涯リスクは1%以下」 と結論付けている。

アーリーワイン博士のこの見解を支持して、「私の意見とすれば、カナビスが精神病に何らかの影響を与えるにしても、遺伝的な素因を持っている人がカナビスを早期にヘビーに使っている場合にしか起こらない」 としている。

また、NORMLが発表している ポジション・ペーパー では、精神病になりやすい傾向のある人に対してはカナビスの使用を思い止めさせる方法として、カナビスを規制・管理することを提唱している。

イギリスでは、現在、カナビスの使用で精神病が増えているとして法律を厳しくすべきだという主張が声高に叫ばれ、ゴードン・ブラウン首相もカナビスの法的分類を現行のC分類からより罰則の重いB分類に変更する意向を繰り替えし表明している。しかし、4月4日に開かれたACMDの会合では、23人の委員のうち20人が分類を戻さなければならないような新しい証拠は十分にないとして、分類を変更しないように答申 することを決めている。

For more information, please contact NORML Deputy Director Paul Armentano at paul@norml.org

Full text of the study, "Polydrug Use, Cannabis Use, and Psychosis-Like Symptoms," will appear in Human Psychopharmacology. [abstract]

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7592


●今週末、35カ国238都市でマリファナ・マーチ開催
2008年5月1日 - アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市発

カナビス法改革をもとめる世界各国238都市の活動家たちは、今週末、カナビスの禁止法に抗議するたるためにマーチを開催する。
グローバル・マリファナ・マーチ として知られるこの世界的なイベントは、毎年5月の第一土曜日に実施されることになっており、今年は5月3日に行われる。

1999年にニューヨーク市のキュア・ノット・ワーとバンクーバーの カナビス・カルチュア・マガジン の主催で始まったこのイベントにはこれまで世界の450以上の都市が参加している。

今年のマーチには、NORMLから次の支部が参加することになっている。アーカンサス大学NORML、アリゾナNORML、ベーカーフィールドNORML、カスカディアNORML、ダラス・フォートワースNORML、ヒューストンNORML、フンボルト大学NORML、マウイNORML、イリノイNORML、マインNORML、マサチューセッツNORML、ミズリーNORML、オレゴンNORML、フィラデルフィアNORML、セントルイスNORML、テキサスNORML、ウイルメットバリーNORML、ネバダNORML、ニュージーランドNORML、NORMLカナダ、NORMLサスカチューワン、ノールウエイNORML。

A full list of cities participating in this year's event, along with contact information, is available online at: http://www.globalmarijuanamarch.org

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7593