カナビスの悪害を言い立てる研究の正体


ポール・アルメンターノ
NORML副事務局長

Source: Alter Net
Pub date: 10 June 2008
Smoking Pot All Day, Every Day Might Not Be Good For You
Author: Paul Armentano, NORML
http://www.alternet.org/drugreporter/87677/


またまたカナビスの悪害を言い立てる研究が出てきた。恐るべきことに、1日24時間1週7日間吸いっぱなしのユーザーだけを選んで調査したもので、僅かな問題点を指摘してカナビスの健康リスクが証明されたと言い張っている。

カナビスをヘビーに使うと脳の一部が縮む』  
(2008年6月2日ロイター)
ヘビーなカナビス・ユーザーの脳の磁気共鳴画像をノンユザーと比較したところ、海馬と扁桃体が小さいことが示された。……対象になった15人のカナビス・ユーザーは、最低でも毎日5本のジョイントを平均で20年間吸っていた。

この結果は、カナビスを20年も無茶苦茶に吸い続けてはじめて僅かに脳が外見では分からない程度に縮小するということだが、もし研究者たちが、毎日5杯のウォッカを20年間飲み続けている人を15人探して同じ調査をしたらどうなるだろうか? そもそも生き続けている人を実際に見つけ出すことができるだろうか? 脳が縮むリスクどころの話しではないだろう。

カナビスが心臓発作や梗塞のリスクを高める』  
(2008年5月13日ロイター)
アメリカ政府の研究者たちが火曜日に発表した研究によると、カナビスをヘビーに使っていると血液中の特定のタンパク質のレベルが高まり、心臓発作や梗塞を起こすリスクが増える可能性が示された。……この研究では、平均して1週間に78〜350本のジョイントを吸っている人が調査対象になっている。

また、この研究では、ヘビーなカナビス・ユーザーが実際に心臓の障害を受けているかどうかまでは調べていない。

週に350本?! そんなに吸える人が本当にいるのか? それに、実際には心臓の障害を受けているかどうかまでは調べていない? この研究の目的は、超々ヘビーなユーザーと心臓の障害の関係を調べることなのではないのか? なぜ被験者たちが実際に心臓に問題を起こしていないか調べていないのか? 簡単にできる心電図やエコー検査すら行っていないのはなぜなのか? いったい何なのだ、この政府の研究は?

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これらの研究からわかる興味深いことは、とてつもない量を吸うカナビス・ユーザーであっても、その結果起こるとされるカナビスの危険性が高感度の画像装置や複雑な神経認知テストを使ってやっと検知できる程度のものでしかないという事実だ。

だが、だからと言って、1日中毎日のようにカナビスを吸い続けても健康に問題が起こらないわけでもない。ここで大切なことは、このような無茶苦茶な習慣を止めさせるには、禁止法は何の役にも立たないということだ。必要なのは、カナビスの吸い過ぎは、健康で責任のある人生を営む上で支障が出るという認識なのだ。これは、毎日のようにウォッカを5杯飲み続けることは健康に良くないのと同じだ。

この2つの研究から学べることは、カナビスの場合もアルコールと同様に、節度ある使い方が最も良いということだ。幸いなことに、99.99%のカナビス・ユーザーは、少なくとも1日24時間1週7日間吸いっぱなしなどという使い方はしていないが。

また、これらの研究で明らかなことは、政府はごく普通のカナビス・ユーザーの健康などには興味を持っていないという事実だ。さらに、常道を逸した過剰なカナビス使用の健康へのリスクに比べても、禁止法がもたらしている害のほうがよほど大きいことが改めて示されたという点だ。