多発性硬化症

THCの進行抑制効果を調べる臨床研究

Source: ScienceDaily
Pub date: 21 July 2008
Can Cannabis Compounds Slow The Progression Of Multiple Sclerosis?
http://cannazine.co.uk/medical-marijuana/medicinal-cannabis/
cannabis-compounds-slow-progression-of-multiple-sclerosis.html


イギリス・プリモスのペニンスラ医科大学の進行炎症性疾患に対するカナビノイド治療 (CUPID, Cannabinoid Use in Progressive Inflammatory brain Disease) 研究では、完全コホート臨床試験に参加する多発性硬化症患者を募集していたが、493人(当初目標の500人)を集め終わった。これで、研究は重要なマイルストーンに到達したことになる。

今回のCUPIDの臨床試験では、カナビスの主要活性成分であるTHCが多発性硬化症の進行を遅くすることができるかを調べることになっている。

この研究の重要な課題は、従来の治療では、初期段階の免疫システム、あるいは筋肉の痙攣や膀胱問題のような特定の症状を緩和するだけに留まっているために、その範囲を越えて新しい治療を提供できるかどうかという点にある。現在までのところでは、病気の進行を遅くする治療法は存在していない。

CUPID試験は、以前に行われていたカナビノイドと多発性硬化症研究(CAMS、Cannabinoids and Multiple Sclerosis)でTHCと病気の進行の間に関連を示唆するデータが得られたことから、それを引き継いで実施された。CAMS試験では、参加者たちは1年間にわたってTHCの投与を受けていたが、CUPID試験ではさらに長期にわたって多発性硬化症進行へのTHCの効果を調べることに目標が置かれている。

今回の試験では、これまで2年間に493人の応募を受けたが、それぞれの参加者には3年間(一部は3年半)の試験が行われることになっている。データが整理・分析されて結果が出るのは2012年の春から初夏ごろに見込まれている。

CUPID研究を率いるペニンスラ医科大学のジョン・ゼイジェック教授は、「幸いにして、十分な人数の患者さんを集めることができました。参加者の募集はイギリス全国の27箇所で行いました。もしこの試験で、THCと多発性硬化症の進行抑制の間に疑問の余地のないような結果が得られれば、世界中でこの病気に苦しむ多数の患者さんに効果的な治療法を提供できるようになります」 と語っている。

研究は、政府の医学研究審議会のほか、多発性硬化症協会、多発性硬化症トラストの財政支援のもとで行われている。

多発性硬化症トラストのクリス・ジョーズ代表は、「われわれは、多発性硬化症の人たちのためのこの研究を支援できることを大変喜んでいます。われわれにとっては、多発性硬化症の進行が抑制できることは夢なのです。…年ごとに状態が悪化していく者にしてみれば、神からの聖杯ともいえます。この研究によって、カナビノイドがそのようなものであるかどうか明確な答えが出ることになります」 と話している。

また、多発性硬化症協会の研究担当役員を務めるローラ・ベル博士は、「多発性硬化症の人たちは、カナビスの成分が本当に症状を緩和して、病状の進行をおそくできるのかどうかを強く知りたがっています。われわれは、カナビスの医療特性を調べる安全な臨床試験を支持していますので、この研究が順調に進んでいることは大ニュースです。このエキサイティングな研究の結果が本当に待ち遠しいです」 と語っている。