カナダの喫煙と肺疾患の調査研究
カナビスとタバコの併用でリスクが増える
Source: Edmonton Journal (CN AB)
Pub date: 14 April 2009
Pot and tobacco smoking bad combination: B.C. study
Author: Pamela Fayerman
http://drugpolicycentral.com/bot/article/edmontonjournal7930.htm
カナダのブリティシュ・コロンビアで行われた調査によれば、カナビスとタバコを日常的に併用していると、ノンスモーカーに比較して深刻な慢性的な閉塞型の肺疾患になるリスクが2.9倍になることが分かった。しかし、カナビスの単独使用では、閉塞性肺疾患(COPD)にはならないことも明らかにされた。
この研究はバンクーバーのブリティシュ・コロンビア大学セント・ポール病院の循環器&呼吸器研究センター(iCapture Centre for Cardiovascular and Pulmonary Research)のチームが行ったもので、喫煙と慢性的な肺疾患の関連を調べることを目的に、40才以上のバンクーバー市民をランダムに選んで電話で応募を募り、およそ900人を対象に調査を行った。
カナダ医師会ジャーナルに掲載された報告によると、タバコだけを吸っている人のリスクは2.7倍で、カナビスとタバコを併用している場合は0.2倍増加して2.9倍になった。
調査対象の人の割合は、カナビスだけを使っている人とタバコだけを使っている人は同じ14%だった。また、現在両方を併用している人は856人中38人(4.4%)だけだったが、以前に併用していたことのある人を含めると160人で19%だった。
これまでに行われた調査でも指摘されていたことだが、カナダ人のカナビス使用経験率は高く、今回の調査でも45.5%の人が過去にカナビスを使ったことがあると回答している。
研究者たちは、当初15%の人に肺疾患が見つかると予想していたが、実際の結果は19.3%だった。肺疾患を示す臨床的兆候が見られた人のおよそ半数はこれまでそのような診断を下されたことはなかったが、研究のために肺機能のテストを実施して確認された。こうしたことから、特に40才以上の多くの人に併用の影響がおよんでいる可能性もある。
今回の研究を主導した呼吸器専門家のワン・T・タン博士は、「研究の参加者にはテスト結果も渡してありますので、ファミリー・ドクターとそれをシャアして専門家の治療を受けることもできます。ですが、理想的にはもっと真剣に禁煙に取り組むことです」 と話している。
「また、慢性肺気腫や慢性気管支炎を合わせ持った慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、しばしば、痰・喘鳴・息切れなどをともなった咳をしていることが兆候になって現れます。COPDは進行性の疾患で、北米では、癌、心臓疾患、脳卒中に次いで病死原因の4番目になっています。」
今回の研究では、喘息、心臓疾患、高血圧などの病気を持っている人や、呼吸器問題で入院した経歴のある人にCOPDになりやすい傾向のあることも示された。
しかしながら、カナビスを単独で使っている人では、COPDにならないことも明らかにされている。確かに計算上は、ノンスモーカーに比べてCOPDになるリスクは1.6倍になっているが、カナビスだけでCOPDになったとされるグループの人数があまりにも少なく、タン博士は、統計的に意味のある数字ではないと指摘している。
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Marijuana and chronic obstructive lung disease: a population-based study Wan C. Tan, etal., CMAJ 窶「 April 14, 2009; 180 (8). doi:10.1503/cmaj.081040.
全文を PDF で読むこともできる。
カナビスの単独使用では気腫やCOPDにならないことは、UCLAの先駆的研究者 タシュキン教授の研究 でも示されている。
タシュキン教授は、今回の研究に対してもコメントを寄稿しているが、COPDに関するさまざまな研究を紹介して、最後に 「カナビス喫煙そのものはCOPDを引き起こさないと結論できる」 と書いている。
Does smoking marijuana increase the risk of chronic obstructive pulmonary disease? Donald P. Tashkin, MD, CMAJ 窶「 April 14, 2009; 180 (8). doi:10.1503/cmaj.090142.
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