Yahooニュースに毎日新聞配信として次の記事が掲載された。
<薬物と若者>増える大麻栽培事件 酒やたばこも実は薬物の入り口
8月10日12時31分配信 毎日新聞
警察庁がまとめた今年上半期(1~6月)の薬物事犯の検挙状況で、大麻の摘発が過去最多だった。10~20歳代の若者が65%を占め、大麻を栽培する事件も増えている。
大麻はクワ科の植物で、葉や花を乾燥させたものがマリフアナだ。マリフアナを取ると、その時だけ物がきれいに見えたり、音に敏感になったりする。効果が切れると、うつや無気力の状態になる。使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす。
大麻や覚せい剤などの薬物使用は法律で禁じられているが、薬物の誘惑は生活の中に潜み、使ってしまう人がいる。中高校生の場合、友だちや先輩から勧められ、深みにはまってしまう危険が少なくない。薬物は犯罪につながり、乱用はその人の未来を確実に破壊する。薬物の成分は脳に負担をかけ、大切な神経をこわし、体の機能を失わせ命を縮める。きっぱりと断る勇気が必要だ。
酒(アルコール)やたばこはどうだろうか。実は脳を興奮させる作用のあるニコチンを含むたばこ、脳の神経に軽いまひをおこすアルコールは、薬物の入り口だ。くせになるとやめられないし(=中毒)、取りつづけると体に悪い。未成年者が喫煙や飲酒をしないように周囲の大人の責任も重大だ。
「大麻を栽培する事件も増えている」件は項を改めて述べるとして、まず読後の第一印象は、これは厚労省所管の天下り財団法人が運営するサイト「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの記述を元に、事実関係の確認もせずに書かれたのではないかという疑いだ。
大麻はアサ科の植物である。かつてはクワ科に分類されていたそうだが、平成3年の警察白書では既にアサ科として記述されている。
平成3年 警察白書
大麻は、アサ科の1年草である大麻草(カンナビス・サティバ・エル)から作られる。大麻の幻覚作用は、テトラヒドロカンナピノール(THC)によってもたらされると言われており、大麻草中のTHCの含有量は、成育地の環境、栽培方法等により異なるが、多いもので8%、平均1%から3%程度である。
「ダメゼッタイ」には大麻がクワ科と書かれているが、2006年9月に当時の糸井専務理事に対して問い合わせたところ、記述の見直しを検討すると回答したが、現在もそのまま放置されている。
また、「マリフアナを取ると、その時だけ物がきれいに見えたり、音に敏感になったりする。効果が切れると、うつや無気力の状態になる。使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす。」という記述も「ダメゼッタイ」に似た表現がある。このような大麻情報についても糸井元専務理事は「情報が古くて見直す必要がある」と認め、厚労省麻薬対策課の情報係長も「まあ、根拠はないんでしょうね」と他人事のように言っている。
毎日の記者は、「ダメゼッタイ」大麻情報を鵜呑みにして記事を書いたのではないだろうか。毎日新聞に記事の訂正を求めて電話した。
Yahooニュースの記事の下部には「薬物依存は、おそろしい」という毎日JPへのリンクがある。この「薬物依存は おそろしい」というシリーズは、毎日新聞が子供向けに発行している「月刊Newsがわかる」の転載だそうだ。こちらの記事でも大麻をシンナーや覚せい剤と同列に扱っていて、子どもたちに誤った知識を与えかねない不正確なものになっている。
Yahoo!ニュースに掲載されている「<薬物と若者>増える大麻栽培事件 酒やたばこも実は薬物の入り口」という記事は、子供向けの記事をアレンジして書かれたようにも思えるが、「月刊Newsがわかる」の編集担当によると、Yahoo!ニュースに出稿した記事がどの部署で書かれたものか分からないとのことで、改めて回答を頂くことになった。
それにしても、最近の毎日新聞は劣化が著しい。先に、関東学院大の学生が「自宅」で大麻を栽培して捕まったと報じていたので、「寮」であることを指摘し訂正を求めたが、黙殺された。記事の誤りを訂正することもできない驕った姿勢は、英語サイトで破廉恥な記事を掲載し続けて恥をかいた事件と通低する退廃があるのではないか。
参照:毎日新聞、「低俗過ぎ」英文記事問題で内部調査公表 再三の指摘放置、「深刻な失態」- ITmedia News
「酒やタバコは実は薬物の入り口」どころか、酒やたばこは大麻よりも毒性が強く、薬物そのものだ。そのことはアメリカの国立薬物乱用研究所(NIDA)やイギリスの科学技術委員会のレポートでも明らかである。
Yahoo!ニュースに配信された記事についての誤りや根拠については、毎日新聞社からの回答を得たら報告します。
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