大麻はアルコールよりも安全な選択
カナビス・スタディハウスからの転載記事です。
1.大麻はアルコールよりもはるかに中毒性が低い
反大麻研究の中心である国立薬物乱用研究所(NIDA)のジャック・ヘニングフェィールト博士による評価でさえ。どの項目を見ても大麻はアルコールよりも深刻度は少ない。(表中「カナビス」が大麻) [1]
依存性
そのドラッグを中断するのがどれほど難しいかを示す指標。中断しても再度始めてしまう率、さらに最終的に依存に陥いる人の率が多いほど深刻度が大きい。依存性が高いほど、明らかに害があると分かっていても、そのドラッグを求めて使おうとする程度も大きくなる。
耐性
以前と同じ程度の満足を得るのにドラッグの量がどれだけ増さなければならないかの指標。
切望感
他のドラッグには目もくれずに、特定のドラッグを繰り返し使おうとする執着心の程度。人間および動物実験で調べる。
中毒性
身体的な中毒の害の他、個人の生活や社会にも害を及ぼす程度。
2. アルコールでの死亡は日常茶飯事、大麻は全くゼロ
毎年、アルコールの過剰摂取(オーバードーズ)による急性中毒死亡事故は何百件にも上るが、大麻の過剰摂取で死亡した例は歴史上知られてない。また、アメリカでは、アルコールの使用が原因で体を壊して病死する人も何万人にも上っている。
2001年のアルコールの過剰摂取による急性中毒死は331人。大麻による死亡事故はゼロ人だった。 [2]
アメリカにおいては、アルコールの過剰飲酒による死亡は、防ぎうるとされる死亡原因の第3位になっている。過剰飲酒は複合的に健康を損ない、肝硬変、各種のガン、非過失性の怪我、暴力などを引き起こしている。
アメリカ疾病対策センターでは、2003年に、アルコールが引き起こした死亡者数を2万687人(事故や殺人関連は除く)と報告している。 [3]
3. アルコールは最も毒性の強いドラッグのひとつ
アルコールは最も毒性の強いドラッグのひとつで、通常使用量の10倍を摂取すると死ぬ人も出てくる。これに対して、大麻は最も毒性の低いドラッグで、致死量は通常使用量の数千倍と言われている。数千倍と言っても、これは仮説・理論的な数値で、実際には大麻のオーバードーズで死亡したケースはこれまで全く知られていない。
リクレーショナル・ドラッグで最も毒性が強いには、GHB(ガンマ・ヒドロキシン酪酸)やヘロインなどで、致死量は通常使用量の10倍を下回っている。大部分のリクレーショナル・ドラッグの致死量は10~20倍で、ここには、コカイン、MDMA(エクスタシー)、アルコールなどが含まれる。
また、比較的毒性の低いグループの致死量は20~80倍で、ロヒプノール(フルニトラゼパム、ルーフィーズ)、メスカリン(ペヨーテ)などが含まれる。一方、生理学的に最も致死量の低いとされるグループは100~1000倍で、シロシビン(マッシュルーム)や大麻などが含まれる。
しかし、筆者が英文の文献を調べた限りでは、大麻を吸って死んだという具体例は見つけられなかった。実際のところ、大麻の致死量は謎と言ってもよい。筆者の推測するところでは、大麻の喫煙は、大麻を食べるよりもリスキーだと思うが、それでもアルコールで普通に酔うよりも安全だろう。
意識を変容させる薬物は、体へのリスクや社会コストの増大にもかかわらず、ほとんど全ての文明で何世紀にもわたって使われてきた。従って、リクレーショナル・ドラッグが使われなくなると期待するのは現実的とは言えない。
しかしながら、リクレーショナル・ドラッグを個人の責任と管理だけに任せるのは極めて難しい。現在のところ、西洋近代社会一般においては、比較的害のないドラッグの一部を規制管理することで社会の習慣を前向きに発展させようとするまでには至っていないが、筆者はその必要性を訴えたい。 [4]
4. アルコールの長期使用は、大麻の長期使用よりはるかに害が大きい
アルコールの長期使用によっていろいろ重大な健康被害が出ることはよく知られているが、それに比較すれば、大麻の長期使用より害ははるかに小さい。
大麻の長期使用が永続的な認知障害を起こすというような証拠はほとんどない。さらに、明らかな心理社会的因果関係を示す証拠もない。
確かに、大麻がスモカーの気道のダメージを与えるといったいくつかの健康リスクはあるかもしれないが、それでもリクレーショナル・ドラッグ全体の中では、比較的に安全なドラッグだと言える。 [5]
5. 英科学技術委員会、アルコールは大麻よりもはるかに害が大きい
イギリス下院科学技術特別委員会では、国の現行のドラッグ分類に対して、もっと論理的な観点から、アルコールなど合法的なドラッグも含め20種類のリクレーショナル・ドラッグの再評価を行っている。委員会はこの研究をベースに、アルコールを最も害のあるドラッグ分類(A分類)に区分するように政府に提言している。また、委員会の評価では、大麻は害の少ない部類に属している。イギリスでは、現在、大麻はC分類のドラッグにダウングレードされている。 [6]
6. アルコールはガンの原因になるが、大麻はならない
タバコのタールに比較して大麻の煙には肺ガンに関係する発ガン物質濃度が50%も多く含まれており、同量のタバコの煙に対してタールが4倍も肺に残ることが以前の研究で示されていたが、実際には、大麻だけしか使かわないスモーカーが、それが原因となって肺ガンになったという報告はなく、最近行われた大規模調査でも再確認されている。また、大麻の使用は、各種のガンとも関連がないことも示されている。
これとは反対に、アルコールが、長期的には、ガンや肝硬変など各種の健康被害をもたらすことはよく知られている。
大麻とアルコールついて対比してみると、一般の人たちがそれぞれの害の深刻度をどのように考えているかが分かって興味深い。大麻のみのスモーカーが肺ガンになったという記録はないが、アルコールの場合は肝疾患で何千人も死んでいる。正確には、2003年の死亡者数は1万2360人に上る。このことから、明らかに、大麻の深刻度は過大に考える一方で、アルコールの深刻度は極端に低くみているかが分かる。 [7][8]
7. アルコールは家庭内暴力や性暴力の原因になっている
研究によれば、アルコールは家庭内暴力や性暴力を引き起こしやすいが、大麻ではそのような傾向はみられない。
パートナーが長期的に精神活性ドラッグを使用しているカップルについて検証したところ、アルコールとコカインの場合は男性から女性への日常的な身体的暴力が著しく増加する傾向があるのに対し、大麻とヘロインでは顕著な関連性は見られない。
男性から女性への日常的な身体的暴力は、些細なものも含めて、アルコールを飲んでいる日の方が飲んでいない日の8倍多く,深刻な暴力に限れば11倍になっている。さらに、どちらのケースも、全体の60%が男性パートナーの飲酒後2時間以内に起きている。 [9]
8. アルコールは攻撃的振舞や暴力を起こすが、大麻は起こさない
研究によれば、アルコールの使用は、攻撃的な振舞や暴力行為を引き起こすが、大麻の使用は、暴力的な振舞を減らす傾向が見られる。
アルコールについては、明らかに、酔っ払いと暴力が直接結び付いていることを示す証拠がたくさんあるが、大麻では、酔っている時は暴力が抑制される。[10]
9. アルコールは暴力犯罪と強く結びついている
アルコールの使用は暴力犯罪と強く結び付いているが、大麻ではそのような結び付きはない。加害者側がアルコールを飲んでいる時に暴力を受けたと被害者が証言している暴力犯罪は、毎年およそ300万件発生している。
その3分の2は、現あるいは元配偶者、ボーイフレンドまたはガールフレンドなどの身近な人から暴力を受けているが、アルコールが原因になっていると認めている。
配偶者による被害の場合、4分の3のケースが加害者が酔っ払っていた時だったと報告している。[11]
10.デンバーでは、アルコールが家庭内暴力の触媒になっている
デンバーでは、アルコールの使用が家庭内暴力の触媒の役割を果たしている。デンバーにおける全家庭内暴力のおよそ半数がアルコールがらみで、家庭内暴力による死亡事故は、加害者のアルコール使用が特徴的な原因になっている。[12]
11. 大学内では、アルコールの使用による性暴力とデート・レイプが蔓延している
大学内では、アルコールの使用による性暴力とデート・レイプが蔓延しているが、大麻の場合は、学内のそれらに関して検討した資料が見られないことから判断して、目立った原因にはなっているとは考えられない。
ハーバード大学公衆衛生学科の研究によると、学内のレイプの72%は、女性がアルコールに酔い過ぎて拒否も同意もできない状態のときに発生している。[13]
性暴力については、アルコールと大麻を比較することは非常に難しい。と言うのも、大麻が主な原因になったとする性暴力に関する情報がないからなのだ。逆に言えば、大麻が性暴力に関係していないことは、性暴力の研究や教育に係わっている多くの機関が事件に関連しているドラッグとして大麻をあげていないという事実に最も端的に表われている。そのよい例は、レイプ・中毒・近親相姦に関するナショナル・ネットワーク(RAINN)のサイトを見れば納得がいく。[14]
サイトでは、アルコールが、性犯罪を促すドラッグとして最も多く広く使われていると指摘したうえで、「その原因の大部分は、アルコールが簡単に入手しやすく、社交のために多くの人が使っている」 からだとその理由を述べている。大麻に関しても、「簡単に入手しやすく」、「社交」に広く使われていることを考えれば、このサイトの性犯罪ドラッグリストに大麻が載っていないという事実自体が、いかに大麻と性暴力に結び付きがないかを物語っている。
別の例としては、アメリカ保健社会福祉省のウエブサイトでも、望まない又はリスキーな性行為に人を押しやるドラッグとしてアルコールをあげているが、大麻はリストに加えられていない。[15]
● Reference:
[1] Jack E. Henningfield, PhD for NIDA, Reported by Philip J. Hilts, New York Times, Aug. 2, 1994 "Is Nicotine Addictive? It Depends on Whose Criteria You Use."
http://drugwarfacts.org/addictiv.htm
[2] U.S. Centers for Disease Control (CDC). http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5337a2.htm
[3] http://www.cdc.gov/nchs/fastats/alcohol.htm
The CDC has no reports of “marijuana-induced deaths.” (In reality, there may be 2-5 deaths each year attributed to marijuana, but this article -- http://bbsnews.net/bw2005-02-01.html -- describes how these are actually deaths attributable to other causes but “blamed” on marijuana due to the way the data is collected.)
[4] The American Scientist, the Magazine of Sigma Xi, the Scientific Research Society. http://www.americanscientist.org/template/AssetDetail/assetid/50773?&print=y
[5] Iversen, Leslie. Current Opinion in Pharmacology. Volume 5, Issue 1, February 2005, Pages 69-72. Long-term effects of exposure to cannabis. University of Oxford, Department of Pharmacology.
[6] New Scientist Magazine. Issue 2563. August 2006, page 5. Drug-danger 'league table' revealed.
House of Commons Science and Technology Committee Drug classification: Making a hash of it?
英科学技術委員会、ドラッグ新分類を提言、大麻はアルコールやタバコよりも害が少ない
[7] http://www.cdc.gov/nchs/fastats/alcohol.htm . Note also on this page that “alcoholic lever disease” is a separate category from “alcohol-induced deaths, excluding accidents and homicides.” Thus the 20,687 cited in #2 (as “deaths from alcohol consumption” could easily be 33,047.
[8] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/05/25/AR2006052501729.html
大麻喫煙と肺ガンは無関係、ロスアンジェルスの大規模研究
[9] Fals-Stewart , William, James Golden, Julie A. Schumacher. Journal of Addictive Behaviors. 28, pages 1557. Intimate partner violence and substance use: A longitudinal day-to-day examination. Research Institute on Addictions, University at Buffalo, State University of New York
[10] Hoaken, Peter N.S., Sherry H. Stewart. Journal of Addictive Behaviors. 28, pages 1533-1554. Drugs of abuse and the elicitation of human aggressive behavior. Dept. of Psychology, University of Western Ontario. Dept. of of Psychiatry, DalhousieUniversity.
[11] U.S. Department of Justice. Bureau of Justice Statistics. National Crime Victimization Survey 2002.
[12] Abrams, Margaret L., Joanne Belknap, Heather C. Melton. When Domestic Violence Kills: The Formation and Findings of the Denver Metro Domestic Violence Fatality Review Committee. March 2001.
[13] http://www.hsph.harvard.edu/cas/Documents/rapeintox-pressRelease/
[14] http://www.rainn.org/types-of-assault/sexual-assault/drug-facilitated-assault.html
[15] http://www.4woman.gov/faq/rohypnol.htm#5
Source: SAFER Colorado
Subj: Marijuana is safer than alcohol!
Web: http://safercolorado.org/safer-doc
【参考】
大麻合法化条例案、コロラド州有権者の40%以上を獲得、SAFER プレスリリース (2006.11.8)
SAFER、ユーモア広告・看板、コロラド州修正44号住民条例キャンペーン (2006.11.6)
コロラド州住民投票条例、アルコール・大麻均等修正44号案FAQ
アルコールか大麻か、大人の選択を認めるべき時、コロラド州住民投票条例・修正44号案 (2006.10.1)
米政府の調査結果、法が人びとを飲酒に向かわせている、アルコールで大麻は霞んで見える (2006.9.7)
聖パトリック・デーは安全なマリファナで祝おう、デンバー・SAFER (2006.3.12)
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「カナビス使用のリスク」の3項に、「喫煙の習慣は肺ガンを起こしやすくする」という記述がありますが、これは現在では否定されており、そのレポートもカナビス・スタディハウスさんにあります。
From Cannabis News
カナビス喫煙と肺ガンは無関係
ロスアンジェルスの大規模研究
Source: Newswise, American Thoracic Society (ATS)
Pub date: 23th May 2006
Subj: No Link Between Marijuana Use and Lung Cancer
Web: http://cannabisnews.com/news/21/thread21866.shtml
5月23日に行われたアメリカ胸部学会国際カンファレンスで発表された研究によると、たとえカナビスをヘビーに長期間使っていた人でも肺ガンになるリスクが増加するようなことはないことが明らかにされた。また肺ばかりではなく、カナビスの喫煙による、舌、口、喉、あるいは食道などの頭部や頚部がガンになるリスクも増加しないことも見出されている。
この結果には当の研究者たちも驚いており、「今までは、生涯で500から1000本以上カナビスを吸ったヘビーなユーザーでは数年から10年以上経ってからガンのリスクが増加するはずだと考えていたのですが・・・」 とロスアンジェルスのUCLAデビッド・ゲフィン医学部教授であるロナルド・タシュキン博士は語っている。
研究者たちは、ロスアンジェルス郡でガンと診断された患者が直ちに登録されることになっている南カリフォルニア大学腫瘍レジストリのデータを利用して、ロスアンジェルス郡在住で、肺ガンになった611人と頭部や頚部のガンになった601人について、年齢・性別・生活環境がマッチした1040人のガンに患かっていない対象群と比較している。
研究の対象者は60才以下に限定しているが、その理由として 「1940年以前に生まれた人の場合は、時代背景から考えて、ティーンエイジからカナビス使用のピークになる20才台にカナビス自体を使ったとは考えられない」 とタシュキン博士は答え、実際に若い時期にカナビスを使っていた1950年以降の人が、現在ではガンを発症しやすい年齢になってきている、と指摘している。
被験者たちには、生涯のカナビス、タバコ、アルコール、その他のドラッグの使用歴、ダイエット歴、職業、家族のガン歴、経済状態などを尋ねているが、カナビスの使用歴については他の調査研究と同じ様なものだったとしている。
この研究では、最もヘビーなユーザーとしては生涯のカナビスのジョイント本数22000本以上、中からヘビーな場合では11000から22000本としているが、そうしたスモーカーでさえガンになるリスクは増加せず、少ししかカナビスを吸っていない、あるいは全く使っていない人たちと比較して何らリスクに違いはなかった。
また、肺ガン患者の80%、頭・頚部ガンの70%がタバコを吸っていたが、そのうちカナビスを吸っていた患者はどちらも半数でしかなかった。
タバコの喫煙とガンには明らかな相関があり、この研究でも、一日に2箱以上のシガレットを吸っていた人の肺ガンになるリスクは20倍に増加することが見出されている。以前に実施された多数の研究でも、タバコを多く吸えば吸うほど肺ガンや頭・頚部ガンになるリスクが増大することが示されている。
タシュキン博士は今回の研究が予想外だった理由ついて、タバコのタールに比較してカナビスの煙には肺ガンに関係する発ガン物質濃度が50%も多く含まれており、同量のタバコの煙に対してタールが4倍も肺に残ることが以前の研究で示されていたことをあげている。
「カナビスのジョイントの場合、タバコのシガレットに比べて巻き方がゆるいのでフィルター機能が弱く、より多くの粒子が吸引されてしまうのです。さらに、典型的なカナビスのスモーカーは、タバコを吸う時と違って4倍も長く煙を肺にとどめておくので、その分、微細な粒子が肺に残留しやすくなる」 と説明している。
今回の予期せぬ発見に対する一つの可能な解釈にとしては、カナビスに含まれるTHCが老化した細胞の死を早め、ガン化しにくくなるのではないかと指摘している。
また、タシュキン博士は次の研究として、被験者たちのDNAサンプルを採取して、先天的にガンなりやすい因子を持つヘビーなカナビス・ユーザーの場合にガンのリスクが増大するのかどうか調べたいと語っている。
参考:
カナビスの煙とガン、そのリスクは?
実際には、今回の結果はそれほど意外なものではなく、すでに昨年発表されていた中間集計の報告から予想されていた。
カナビス喫煙、ガンの危険なし (2005年7月11日)
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