カナビスはアメリカ最大の換金作物

Source: Los Angeles Times
Pub date: 18 Dec 2006
Subj: Pot is Called Biggest Cash Crop
Author: Eric Bailey, Times Staff Writer
http://www.mapinc.org/norml/v06/n1708/a03.htm


何年も前から、カナビスの合法化運動に携わるアクティビストたちは、アメリカではカナビスが最大の換金作物になっていると主張してきたが、今回発表されたレポートは、政府の統計情報を引用してそのことを証明している。

新しいレポートは、カナビスの社会政策アナリストであるジョン・ゲットマン氏がリリースしたもので、アメリカ国内で生産されたカナビスの市場価値は350億ドル(4兆円)を越え、アメリカ中央部の農業地帯で生産される合法的換金作物の上位3位であるコーンや大豆、干し草の市場価値をはるかに凌いでいる、と喝破している。

さらに、レポートによれば、全国のカナビスの3分の1以上がカリフォルニア州で収穫されており、総額は138億ドルで、州のブドウと野菜と干し草の合計を越えている。その他でも、カナビスが州の最大の換金作物になっているところは12州になっている。

また、カナビスの生産は、当局の徹底的な反ドラッグ政策にもかかわらず、過去25年間で10倍も増加している。

このレポートの著者であるゲットマン氏は、社会政策コンサルタントを務めるかたわら,カナビスを連邦のドラッグ第1分類から外すことを求める運動の中心的役割も果たしている。ドラッグ第1分類(Schedule 1 drugs)では、ヘロインやLSDなどと同様に、カナビスを医療価値もなく、中毒に陥りやすい薬物と規定している。

彼は、また、今回のデータをもとに、カナビスをタバコやアルコールと同様に合法化すれば税収に大きな見返りがあるうえに、生産や流通をコントロールすることが可能になり、ティーンエイジャーのカナビス使用をよりうまく制限することもできる、と主張している。

「当局の何年ものわたる活動にもかかわらず、ティーンからカナビスを切り離すことはできないのです。子供を育てる重要さという意味では、問題をさらにこじらせているばかりか、国中に問題を広げているのです。壷から悪霊が出てきているといっても大げさではありません。」

連邦の反ドラッグ当局は、レポートの内容については論評を避けながらも、ゲットマン氏の結論には異義を唱えている。

ホワイトハウス麻薬撲滅対策室(ONDCP)のトム・ライリー広報官は、外国でのコカインやヘロインの生産に使う作物の争いを例に引いて、「コカはコロンビアで最大の換金作物ですが、何もよい結果を生み出していません。ケシもアフガンで最大の作物ですが、壊滅的な結果を生んでいます。何故われわれはわざわざそのような道を行かなければならないのでしょうか。私には全く理解できません」 と語っている。

カナビスがアメリカ最大の換金作物だという主張は、1980年代初頭に麻薬取締局(DEA)が全国で1000トンのカナビスが生産されているという見積りを公表したのを機に、カナビスの合法化アクティビストたちがそれを引用したことに始まっている。それ以来、彼らはアメリカの作物の量と金額について比較する研究を何回か行っている。前回のレポートは1998年に発表されている。

今回は、2005年の国務省の報告に書かれた、カナビスの栽培が1981年当時の10倍に達して1万トンになっているという見積り数字を引用している。

ゲットマン氏は、それに警察が各州で取り除いた植物の量を重ねて、それぞれの州のカナビスの量と市場価値を導き出している。また、重さ1ポンドあたりの価格は、警察が押収したときに発表する2000〜4000ドルではなく、1600ドルという控えめな数字を使っている。

カリフォルニアでは、今年、州のカナビス栽培撲滅キャンペーンがおよそ170万本の植物を取り除いており、ストリート価値に換算で67億ドルになる。また、過去3年間のカナビス撲滅率をもとに計算すると、2006年のカリフォルニアのカナビス栽培本数は2100万本となり、市場価格は、2位のテネシー州の47億ドルの3倍近くに達している。

カリフォルニア州は、カナビスの生産においては、室内、室外とも最も多く、レポートでは、室内栽培の本数を420万本、15億ドルと見積もっている。室内第2位がワシントン州で、4億3800万ドルになっている。

また、州民の消費よりも多くのカナビスを生産している州が9ヵ所あり、カリフォルニア州はその一つにあげられている。ドラッグ使用と健康に関する全国調査の報告書によると、カリフォルニアのカナビス・スモーカーは330万人で、全国のスモーカーの13%になっている。ゲットマン氏のレポートでは、州内消費よりも38%以上も多く栽培されているとしている。

最終的に、カナビス生産量を全国規模でみれば358億ドルで、コーン(230億ドル)、大豆(176億ドル)、干し草(122億ドル)を凌いでいる、とレポートは結論を出している。