煙の中に消えたカナビスの肺がん神話

Source: LewRockwell.com
Pub date: June 09, 2006
Subj: Another Marijuana Myth Goes Up In Smoke
Author: Paul Armentano, NORML senior policy analyst
http://cannabisnews.com/news/21/thread21900.shtml


先ほど開催されたアメリカ胸部学会の国際カンファレンスで、たとえ長期のカナビス喫煙であっても肺がんを引き起こすことはないとする疫学研究が発表され、長年にわたってアメリカ政府の最後の砦でもあったカナビスによる肺ガンの危険性の根拠が、煙の中に吸い込まれるように消えていった。

カリフォルニア大学デビッド・ゲッフィン医学部の研究チームは、ロスアンジェルスの住む18才から59才の住人を対象に、カナビスの使用と肺ガンのリスクの関係について調べた。

研究者たちは、肺ガン患者611人と、年齢や性別や生活環境の一致する1040人の対照群にインタビュー調査を行って、カナビスの使用歴に加えて、アルコールやタバコや他のドラッグの使用歴、ダイエット、職業、家族のガンの状態などのデータを収集し、ロジスティック回帰分析で、年齢や性別、民族性、教育程度、タバコ喫煙の累積度合、アルコールの使用状態などの補正を加えて、カナビス喫煙の肺がんへの影響を評価した。

その結果、「タバコ喫煙などの可能性のある交錯因子を調整すると、たとえヘービーで長期におよぶカナビス喫煙でも、肺ガンとは有意な相関が見られなかった」と結論づけている。さらに、度を越さない中程度のカナビス生涯喫煙者では、実際的には肺ガンのリスクが若干減ることも明らかにされた。驚くには当たらないが、国立衛生研究所(NIH)が資金提供して行われた過去の最大級の同種の研究では、ヘビーなタバコ喫煙ではリスクが20倍になることが示されている。

今回の発見に対して、ホワイトハウス麻薬撲滅対策室の当局者は、「ノーコメント」 としか答えなかった。

一部の人たちは、カナビスの使用とガンの関係を示せなかったことに対して驚いているようだが、海外では、この10年間、カナビスの抗ガン作用の可能性についての研究が着々と進められてきた。最も最近の研究としては、薬理実験治療薬ジャーナル5月号でイタリア生分子化学研究所の研究者たちが、動物および培養液を使って行った実験で、人間の乳ガン細胞、前立腺ガン細胞、上皮性悪性腫瘍細胞などを含むさまざまな種類の腫瘍細胞株に対してカナビスの化合物がガン細胞の成長を抑制することを示している。

ヨーロッパの研究者たちが以前行った実験でも、カナビスの成分が投与量に比例して、動物および人体のグリオーマ(脳腫瘍)を縮小させたり、拡大を防いだりすることが示されている。また、別の臨床前研究でも、ガン細胞の成長を抑え、皮膚ガン細胞、白血病細胞、肺ガン細胞などのガン細胞株中にある悪性細胞に的を絞って選択的にアポトーシス(細胞の自然死)させることが見出されている。

しかし、いずれの研究もアメリカ政府の目を覚ますことはなかった。ところが皮肉なことに、1974年にバージニア医学大学で史上始めて発見されたカナビスの抗ガン作用の研究に資金提供してたのが、何を隠そう、アメリカ政府だったのだ。研究結果は、1974年8月18日のワシントンポストが特ダネとして、カナビスの主要な精神活性物質である「THCが、実験室のマウスの肺ガン、乳ガン、ウイルス性白血病の成長を遅れせ、36%も長生きさせた」と報じている。

驚くべきことに、この結果に対してアメリカ政府当局は、以後何10年も追跡研究に資金を提供することを拒み、10を越える州で医療目的のカナビス使用が認められた今になってもカナビスのあらゆる利用に反対し続けている。だが、連邦政府が、このような愚かな間違った政策に固執する根拠はいったい何なのだろうか? 最もありそうな答えは、お得意の 「ノーコメント」 か?