聖職者たちもカナビス合法化案を支持

ネバダ州カナビス住民投票条例案

Source: Las Vegas Sun
Pub date: October 03, 2006
Subj: Religious Leaders Making Case for Legalizing Pot
Author: Scott Sonner, Associated Press
http://cannabisnews.com/news/22/thread22234.shtml


ネバダ州リーノ発: 先日、宗教関係者たちの連合組織が倫理会合を開き、カナビスについて提案されている11月の住民条例案・クエスチョン7について話し合い、少なくとも33人の聖職者たちが支持を表明した。

ネバダ州は、カナビス所持を非犯罪化した12の州の一つだが、まだ罰金刑が残されている。州法では、2001年10月から1オンス以下のカナビス所持は、最高600ドルの罰金で軽犯罪化されている。

今回の条例案では、未成年に対する販売やカナビス影響下での運転については厳罰で対処する一方で、成人住民に対しては1オンス(約28グラム)までのカナビスの販売と所持を合法と認める内容になっている。また、売買は州の認可したショップでのみ可能で、販売には州税が課税されることになっている。この案が通過すれば、ネバダ州は、アメリカでは、所持と売買を認める最初の州になる。

聖職者たちは、この条例が本当に、未成年をカナビスから引き離し、ギャングの暴力を減らすと同時に、ドラッグ・ディーラーに儲けさせる代わりに州の治療プログラムの財政基盤になるのかをめぐって議論を戦わせた。


現行法は倫理に化粧をしている

条例案を推進している「カナビスの管理と規制を求める会」(CRCM)の主催した記者会見には、ハンセン牧師を含め4人の宗教指導者代表が姿を見せた。会見場には、「賛成クエスチョン7。カナビスに課税と管理規制を」 と書かれた横断幕が掲げれていた。

「表面的には、現在のカナビス取締り法は倫理に合致しているように見えます。しかし、これは化粧をした倫理に過ぎません」 とラスベガスの精霊ルーテル教会のポール・ハンセン主任牧師は語る。 「現行法は、実質的に、カナビスを入手しにくくすることに何の役にも立っていません。ドラッグ・ディーラーたちは購入資格を示すカードなどの提示は求めませんから、カナビスのほうがアルコールよりもはるかに簡単に入手できるようになってしまっています。」

また、リーノにあるネバダ大学、キャンパス・クリスチャン・アソシエーションのルース・ハヌーサ牧師は、「賛成している私たちプロテスタントは、政府に期待されている機能の一つが、罪の行為を防ぐことだと考えています。しかし、現在のカナビス法は、カナビスの使用を防ぐようには機能していません。それどころか、危険な犯罪者たちのポケットを満たして、子供たちが簡単に彼らに近づける役割を果してしまっているのです」 と指摘する。

ハンセン牧師もそれに頷いて、最近、16才の自分の娘に、もしカナビスを試したくなったらあちこち探すかどうか尋ねたところ、18才の息子が吹き出して 「父さん、そんな間抜けな質問するなよ。手に入れるのなんて簡単さ」 と笑われた話を披露していた。


これ以上の陶酔物はいらない

アメリカ労働総同盟産別会議ネバダ支部や、ラスベガス商工会議所、レーノ・スパークス商工会議所などをはじめとするグループは、条例案に反対の立場をとっている。

条例案に反対するウエブサイトを運営している「正しいネバダを守る会」(Committee to Keep Nevada Respectable)のトッド・レイバック代表は、「さらに陶酔ドラッグを一つ合法化しようとするのは、ネバダにとって良いことだとは言えません。合法化すれば、カナビス喫煙が大人になるための通過儀式だというメッセージを若者に送ることになってしまいます」 と言う。

「すべての物事には両面があります。今回のクエスチョン7に好意的な見方を表明している聖職者たちの中でも、両面全体の姿がきちんと分かれば、全員ではないかもしれませんが、多くの人が道を踏み外さないのではないかと思っています。ネバダ州には、まだ明確に反対を表明していない聖職者もたくさんいますが、いずれ反対の立場を鮮明にするはずです。」


偽善を正すのが宗教の役割

ラスベガスにあるユニテリアン・ユニバーサリストのコミュニティ代表を務めるデビッド・シュニューマン牧師は、自分の宗派では、すでに2002年にも現行のカナビス法を変えることを掲げた条例案を認めていると語っている。

「宗教の役割の一つは、社会の偽善を指摘することです。どのような観点からみても、カナビスは、アルコールに比較して個人や社会に対する危険性は低いと言えます。しかし、アルコールの広告は巷に溢れかえっています。購入数には制限もなく、ラスベガスのカジノ場ではギャンブラーにただで配ったりもしています。路上で飲むことすら許されています。」

ローマ・カソリックのシスターで、ラスベガス・ビショップ・ゴーマン高校の教師でもあったトニ・ウッドソン修道女は、メキシコのドラッグ・カルテルが、カリフォルニア近郊の国立公園の森のなかで完全武装してカナビスを栽培していること懸念を示している。

「カナビスそのものは、人間の生命を脅かすことはありませんが、現在のカナビス法はこうした生命の危険を生み出しているのです。聖書には、よい木かどうかは実を見て判断せよ(Matthew 7:15-23)と書かれています。これまでのカナビス法が木だとすれば、もう実が落ちているのではないかと危惧します。」


変化の息吹

条例案を推進しているCRCMのニール・レバイン、キャンペーン・マネイジャーは、「明らかに高い倫理感を備えた人びと」 で構成された宗教コミュニティから支持されていることは、変化の息吹を示している、と語る。「われわれのキャンペーンに手応えを感じています。このまま先へ進めば、11月の条例案は通過すると思っています。」

最近実施された世論調査では、賛成は42%で、反対の51%に迫っている。

ネバダの有権者たちは、1998年と2000年に、医療目的のカナビス利用を認める州憲法の修正に賛成している。しかし。4年前の、3オンス以内のカナビス合法化を求めた条例案に対しては圧倒的多数で否決している。さらに、2004年には、同様の条例案が住民投票の資格を得ることすら失敗している。

今回の条例案では、カナビスの売買までを認めて、1オンス当たり45ドルの消費税を課税することになっている。その税金で行政の運用コストを賄い、残った分は、アルコールやタバコなどのドラッグ乱用防止プログラムと州の一般財源に半分づつ割り当てることになっている。