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Source: Plymouth Herald イギリスのプリモスに住むスチュアート・ワイアットさんは、数年前までは、「マッドドック・マケレア」や「ブラック・フライデー」といったアイリッシュ・ケルト系のロックバンドでバイオリニストとして活躍していた。バンドで稼ぎ、自分の作品をパリの路上で披露したりもしていた。だが、その後、体が不自由になるほど激しい痛みに襲われ、今では、カナビスを吸ってやっとのことで痛みに耐えている。彼はカナビスを使っていることに対して、警察に自分を逮捕してもかまわないと挑んでいる。 スチュアートさんは、現在、所得補助を頼りに、モリスタウンの家に部屋でひとりだけで暮らしている。昔のバンド仲間からはレコードを作ったり、一緒にギグしようと誘われているが、体が動かないという。病名については、いまだ診断が出ていない。 彼は，世間に対して公然と、自分の状態と闘うにはカナビスしか効かないと訴えるだけではなく、慢性疲労症候群や多発性硬化症などに苦しむ患者たちに違法なカナビスを提供する計画を語っている。 もし、そのことで逮捕されれば、最高１４年の懲役刑を科せられる恐れもある。プリモス警察の最高責任者であるモリス・ワット本部長は、スチュアートさんの状態には同情を示しながらも、法はどのような状況であれカナビスを提供することは誰にも認めていない、と述べている。 スチュアートさんは言う、「自分は犯罪者ではありません。でも、犯罪者ように振る舞わなければならず、本当の犯罪者と同じに扱われるのです。ドアがノックされただけで緊張してしまいます。」 彼の行動は、カンブリア州のカーライルで多発性硬化症患者にカナビスを配布し、昨日判決をうけた３人の活動家に続くものになっている。 キャンペーン・グループ・ＴＨＣ４ＭＳ（Therapeutic Help from Cannabis for Multiple Sclerosis、多発性硬化症患者のためのカナビスによる治療支援）の３人のメンバーは、非営利目的で多発性硬化症患者たちにカナビス入りのチョコレート提供して逮捕され、執行猶予付きの９ヶ月の懲役刑を受けている。３人のうちひとりの女性は自からも多発性硬化症に苦しんでいる。 スチュアートさんは、違法なカナビスで自己治療することを自分の「道徳的権利」と表現して、闘うことを心に決めている。実際の歳はまだ３４才だが、しばしば「体が動かなくなった８０才の老人」になったような気がすると言う。「昔は生活している実感がありましたが、今では滅多に町へ出かけることもできません。」 スチュアートさんの病名については、今までのところ、医者たちも正確な診断がままならず、最初は過敏性腸症候群、次には慢性疲労症候群、さらに多発性硬化症の可能性もあると言われている。 「主な症状としては、厳しい神経性の痛み、制御できない震え、方向感覚やバランス感覚の喪失、足のしびれ、腸の刺すような痛み、慢性的な精神および身体の疲労感、不眠症です。このような症状が波のように出たり消えたりします。」 「発病してから３年間は、今思えばとんでもない医薬品、例えば、抗けいれん薬のガバペンチン、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン、プロザックなどを使っていましたが、気持ちが乱れ、理不尽な振舞を繰り返してたくさんの友人を失ってしまいました。」 彼は、昨年の１０月、薬を多量に飲んで自殺を試みるまでに落ち込み、その後で処方医薬品をやめた。「以前、上質のカナビスを吸ったときに良くなることに気づいたのです。痛みが和らぎ、震えも少なくなって、何かをやるエネルギーが出てきます。体の疲労感もなく、気持ちもクリアで、ものを考えることもできるのです。」 「自分はリクリェーショナル目的では使いません。医療目的なのです。カナビスで普通の人のような生活ができるのです。それなのに違法だなんて、どういう理由なのでしょうか？」 スチュアートさんは、自分のキャンペーンをＴＨＣ４ＭＳのウエブサイトと自分のウエブサイトで開始した。同時に、チャールス・クロス警察署を訪れ、自分の意志をはっきり伝えた。「法的なアドバイスをもらいに警察に行き、自分がどうなるか尋ねました。実際には、彼らも答えは持っていませんでした。一人の警察官は家まで送ってくれて、幸運を祈っているとだけ話していました。」 「私は、おびても恐れてもいません。刑務所など気にしていません。すでに自分の人生が監獄のようなものですから。むしろ自分の部屋で２３時間も閉じこもって過ごすよりましかもしれません。医療ケアも受けられるでしょうし、たぶん薬やまともな食事もちゃんと提供されでしょうから。」 「私には、もう失うものは何もありません。犯罪歴など気になりません。どうせ仕事で雇ってくれるところなどありませんから。もし逮捕されたら、誰かが自分のあとを引き受けて闘い続けてくれることを願っています。私は、自分が道徳的に正しいと信じていますし、多くの人たちもこの闘いが正しいと言ってくれています。それが、今の自分を支えてくれています。」 スチュアートさんは、すでに、カナビスから違法なチンキ剤やチョコレート＆クリームを作り、多発性硬化症患者に配っていることを認めている。また、カナビスから自分の薬を作る方法についても指南している。彼は、カナビスで病状が改善することが証明されている人だけに無料で提供したいと強調している。 「お金は、事務所の拡大や管理、送料、器具のレンタル料、入金用の郵便私書箱の開設費用などのほか、必要なカナビスを賄う分だけを受け取るつもりです。」 「カナビスは、私に人生を与えてくれました。私の体をコントロールする力も与えてくれました。このまま進み続けます。」 |
http://humedi.org.uk/ スチュアートさんのウエブサイト Humanitarian Medicinal Distribution (Humedi)http://www.thc4ms.org.uk ＴＨＣ４ＭＳのウエブサイト
病気を良くしたいのがどうして犯罪なの？ Ｃａｎｎａ-Ｂｉｚ Ｔｗｏ インタビュー英保健省、異物混入バッズに警告
イギリスでは、現在、医療カナビスの供給問題と異物混入バッズ問題というカナビスをめぐる２つの象徴的な出来事が同時進行している。いずれも、中途半端なカナビスの非犯罪化が大きな影を落としている。
２００４年１月のダウングレードに伴う非犯罪化によって、リクレーショナル用途にカナビスを使う人たちはそれなりの恩恵を受けたが、そのかわり栽培や供給の罰則が強化され、医療カナビスを栽培したり供給したりしていた人に対する刑罰は逆に重くなってしまった。また、それまでは医療カナビス患者に同情的だった一般ユーザーたちは自分が逮捕されなくなったことで医療カナビスに興味を示さなくなった。
一方、供給源を確保しない中途半端な非犯罪化は、カナビスをますます犯罪組織に頼らざるをえない状況を生んだ。それに伴い供給源が大型化し、警察の集中取締りも頻繁に行われるようになった。しかし、そのことが原因になってカナビスが品薄になり、残った犯罪組織は一獲千金のチャンスとばかり、危険な混入物を混ぜて重量を増やして利益獲得に走った。
異物混入バッズは、一般の人たちの健康を脅かすばかりではなく、ＴＨＣ４ＭＳの逮捕で医療カナビス供給源を断たれた医療カナビス患者たちもそうした危険なカナビスに頼らざるをえなくなり、健康への懸念をさらに倍加する結果となってしまった。このように、中途半端な非犯罪化のしわ寄せは、最も弱い医療カナビス患者に集中して重くのしかかることになった。
オランダの場合も、完全な合法化ではなく非犯罪化ではあるが、ユーザーの供給源としてコーヒーショップが認められ、さらに国による医療カナビスの供給も行われており、イギリスのような醜い混乱状態は起こっていない。オランダの非犯罪化政策もいろいろな問題を抱えているとは言え、イギリスとの違いは非常に大きい。最も弱い者を置き去りするどころか、さらに深刻な状況に追い込んでしまったイギリスの非犯罪化政策は、それ自体がひとつの不正義と言える。