アメリカ精神医学会総会

満場一致で医療カナビス支持

Source: Marijuana Policy Project
Pub date: 07 Nov 2007
Subj: American Psychiatric Association Assembly
Backs Medical Marijuana Patient Protection
http://www.mpp.org/states/district-of-columbia/news/american-psychiatric-1.html


アメリカ精神医学会(APA)の総会は、医師の推薦で医療カナビスを使っている患者を法的に保護すべきであると強く主張する声明を満場一致で採択した。

マリファナ・ポリシー・プロジェクト(MMP)のコミュニケーション・ディレクター、ブルース・ミルケン氏は、「アメリカ精神医学会は非常にメジャーな主要医学団体で、小さな周辺グループの一つというわけではありません。この動きは、一部の反医療カナビス・グループが騒ぎ立てているナンセンスな主張を一蹴するものです」 と言う。

12月に開催されるAPAの評議委員会で承認されることが確実なアクション・ペイパーでは、「12州はすでに医療カナビス法を持っているが、連邦当局に逮捕されるという恐怖が残されたままになっている」 と書いている。

「それらの州で、医師の推薦の下で医療カナビスを使っている深刻な患者たちは、ただ慢性痛を緩和したり、治療によってもたらされた副作用などの症状を和らげるだけの目的で医療的にカナビスを使っているのであり、連邦の処罰的な訴追の恐怖にさらされるべきではない。……われわれは、州が認めた医療カナビス・プログラムに参加している患者や医師を訴追の恐怖から保護することを支持する。」

このアクション・ペイパーは、土曜日に、74地区の支部と16の連合専門家団体が参加して開催されたアメリカ精神医学会総会で反対なしの全会一致で採択されたもので、政府に対して 「カナビスの医療有用性について適切に企画された臨床研究」 を促進するように求めたアクション・ペイパーとすれば今回が2度目のことになる。

ニューヨーク医学カレッジ名誉教授でアメリカ精神&法科学アカデミーに前代表でもあったアブラハム・L・ハルパーン博士は、「今回の投票は画期的な出来事といっても過言ではありません。私は、医療にたずさわる者として誇りに包まれた一日でした。われわれは、医師が明らかに従来の治療法では苦しむを和らげることはできないとして医療カナビスを推薦した患者さんが逮捕されたり投獄されたりするのを容認することはできないのです」 と語っている。

MMPのロブ・カンピア代表は、「満場一致で採択されたということは、医療カナビスを受け入れる医療関係団体が増えていることを示しています。連邦の訴追から患者を守ることに反対している連邦議会の議員たちもいますが、彼らは、医療カナビス問題を些細な課題だと言って片付けようとします。しかし、今回のAPA総会の投票や、最近の白血病・悪性リンパ腫協会を始めとする支持の声は、誰が病気に苦しむ末端の患者を逮捕することを望んでいるかをますます鮮明させる結果になっています」 と話している。

アメリカ精神医学会 (APA)は3万6000人の会員を持つアメリカ最大の精神科団体で、アメリカ精神&法科学アカデミー、小児&未成年精神医学アカデミー、社会精神医学会、中毒精神医学会、救急精神医学会など16の専門家団体と連携して活動している。

アメリカ精神医学会は、現在、精神医学の世界で最も大きな影響力を持った診断基準であるDSM-IVなどを定めていることでも知られているが、今回の満場一致の採択は、当然、カナビスが精神病を引き起こすというリスクも考慮に入れた結果であり、精神病になるから何が何でもダメという禁止論者の誇張に満ちた言い分とは明確に一線を画していることを示している。

一方、カナビスには医療価値がないという主張 をいまだ続けている連邦麻薬局(DEA)は、その理由として、アメリカ医師会(AMA)が、カナビスを医療価値のない危険な薬物として規制薬物の第1類のままにしておくことを提言していることや、アメリカ多発性硬化症協会が患者にカナビス治療をすすめていないことを上げ、さも医学界全体が医療カナビスに反対しているように印象づけようとしている。

しかしながら、実際にアメリカ医師会のサイトにある 医療カナビスに対する見解 を見てみると、基本的にカナビスに医療価値があることを前提に、カナビスの医療利用についてさらなる適切な対照研究を行うことや、煙によらない摂取デバイスの開発の必要性についても強調している。その上で、研究結果が十分に揃うまではカナビスを規制薬物の第1類のままにしておくことを勧告する内容になっている。

これに対してDEAは、カナビスの医学研究を妨害 して研究自体を行わせないように画策したり、研究成果を隠蔽 したりして、アメリカ医師会の主張を逆利用して、カナビスには医療価値がない根拠に仕立て上げている。

また現在では、アメリカ多発性硬化症協会は カナビス臨床研究に財政支援 も開始しており、最早DEAの主張が成り立たなくなってきている。

実際には、医療カナビスを支持している医療専門家団体は、今回のアメリカ精神医学会をはじめ非常に多い。そうした団体とすれば、110万人以上の医療専門家で組織されたアメリカ公衆衛生協会や、アメリカ看護師協会、アメリカ予防医学協会などが名を連ねている。

カナビスの医療利用を支持している団体のリストは こちら や こちら で見ることができる。