カナダ、カナビス禁止法に違憲判決

活動家は喝采、法務当局は拘束力を否定

Source: Nelson Daily News
Pub date: 15 Nov 2007
Subj: Pot activists hail court victory, but Crown says it's non-binding
http://www.mapinc.org/norml/v07/n1336/a05.htm


10月19日、カナダ・オンタリオ州オシャワの裁判で、カナビスの単純所持の罪に問われていた3人の若者に無罪判決が下され、カナダのカナビス禁止法が憲法違反だとした前回の判決を踏襲することになった。

これに対してカナビスの活動家たちは禁止法の終幕が始まったとして大喝采をあげている。だが、法務当局(the Crown)はこの判決には拘束力がないとして無視している。

この裁判を担当したノーマン・エドモンドソン裁判官は、判決理由として、7月13日に出されたオンタリオ州裁判所の判決を引き合いに出している。この裁判は法務当局側が上訴して争たものだったが、ハワード・ボーレンスタイン裁判官は、法の不備を訴えた弁護側の主張を受け入れる判決を下していた。

カナダ保健省は、2000年前後に相次いで出された裁判所の判決に強制されて、慢性病に苦しむ患者が症状緩和のためにカナビスを利用できるようにした医療カナビス・プログラムを2001年に開始したが、2003年には、保健省に対して、政府の認証した医療カナビス患者が薬をブラックマーケトで調達しないで済むようにすることを求めた判決が下された。

しかし、カナダでは医療カナビス・ユーザーのカナビス所持が認められているが、現在でも正式の法律は制定されておらず、政府の政策として容認されているだけに留まっている。

7月の裁判では、バイヤン・マクアリスター弁護士がこの点を突いて、ただのプログラムではなく法律そのものを変更すべきだとする主張を繰り広げで判決を勝ち取っている。ボーレンスタイン裁判官は、法律は医療ユーザーに適合するようには書き直されていないので、嗜好用途も含めてすべてを禁止している法律は破綻しており、憲法違反のあたると裁定した。

オッタワのブランプトンにあるカナダ公訴庁事務所のステファーヌ・マリーニャー広報官は、今回のオシャワの裁判については上告するつもりはないとしながらも、「事実審での裁判判決は、他の事実審を拘束できません。今回、ボーレンスタイン判決を理由に判決を下したのは間違った判断です」 として、オンタリオ最高裁で行われているボーレンスタイン判決の上訴審の中で反論すると語っている。

オシャワの裁判では、法律学者でパラリーガルのエドウィン・ピアーソン氏が無償で3人の被告の弁護を担当し、法廷費用の3000ドルあまりは、トリニティ・カレッジのフェローで 「ポットヘッド・プロフェッサー」 を自称するダグ・ハッチンソン教授が負担している。ハンチントン教授はトロント大学の終身哲学教授で、被告人の一人が自分のクラスのかつての学生だったことを知りこの裁判に係わるようになった。

ピアーソン氏は、カナビス禁止法が2001年の判決以来違憲状態にあり、連邦政府が未だ禁止政策を追い求めていることで甚大な被害が引き起こされていると指摘している。

「政府は子供たちを犯罪人に仕立て上げているのです。教育や職業の機会を奪い、旅をする機会すら奪ってしまっているのです。何のために? カナビスのせいなのですか? 全く馬鹿げています。」

ピアーソン氏とハッチンソン教授は、カナビス所持で起訴されている他の被告たちも憲法に挑戦できるようにするために、セルフヘルプ・キットを作って公開している。

ハッチンソン教授のウエブサイト:
カナビス法の壁は崩れた(The Pot Law Has Fallen)

セルフヘルプ・キット
ボーレンスタイン判決  (2007.7.13 pdf)


ハッチンソン教授は医療カナビス患者で、大学内での喫煙権利を初めて獲得した人としても知られている。
職場での医療カナビス喫煙権利、カナダの大学教授2人が獲得
(2006.11.13)

カナダの医療カナビス年表
カナダ政府の医療カナビス、高価・品質不評で不良債権の山  (2007.7.3)