カナビスは驚異の薬

喫煙での医療効果が証明される


レスター・グリンスプーン
ハーバード大学医学部名誉教授

Source: AlterNet
Pub date: March 3, 2007
Subj: Marijuana Gains Wonder Drug Status
Author: Lester Grinspoon
an emeritus professor of psychiatry at Harvard Medical School
http://www.alternet.org/drugreporter/48749/


新しい研究で、カナビスには、モルヒネやオキシコンチンのような麻酔薬が効きにくい痛みを緩和し、多発性硬化症や糖尿病のような病気に伴う苦痛を和らげる効果のあることが明らかになった。

神経学ジャーナルに掲載された新研究は、カナビスが価値ある医薬品であることを否定できないことを証明したものとして称賛されている。しかし悲しむべきことに、現代医薬品の状況やアメリカのドラッグ政策は、いまだに、5000年以前から知られたこの医薬品に対して、さらに何らかの「証明」が必要だと言い続けている。


カナビス喫煙で極度の痛みが緩和

発表された研究はカリフォルニア大学サンフランシスコ校で行われたもので、カナビスの喫煙には、末梢神経障害として知られる極端な痛みを伴う衰弱病状を和らげるのに効果のあることを見出している。

この研究はHIV患者を対象に実施されたものだが、糖尿病や多発性硬化症などを含む他の多くの病気で神経に損傷を受けたことに起因する痛みにもあてはまる。

神経障害性の痛みに対しては、従来から使われている鎮痛医薬品の治療では耐性が生じてだんだん効かなくなることがよく知られている。たとえ、モルヒネやオキシコンチンのような強力で中毒性の麻酔薬でも、痛みがほとんど緩和しないことも少なくない。

そうした中で、この研究は、カナビスがこの種の痛みを安全に緩和することを疑いなく示している。

アメリカでは、カナビス研究はすべて政府が供給するカナビスで行うことを求められているが、この研究もその範囲内で実施されている。だが、政府の供給するカナビスは品質が悪いことで悪評が高く、この研究の結果は本来得られる効果よりも低くなっている可能性もある。


だが、何も新しくない

これはよいニュースではあるが、決して新しいわけでもない。私は40年あまりカナビスの医療利用について研究を行ってきたが、記録された歴史によればこの薬が使われ始めたのは古代まで遡ることを確認している。19世紀には、西洋でも多様な病気に効く安全で定評のある医薬品として間違いなく利用されていた。

1840年から1900年の間に、アメリカとヨーロッパで発行された医学ジャーナルには、カナビスの医療利用については100件を越える論文が掲載されている。

もちろん、ここ半世紀で、われわれのカナビスに対する知識は大幅に増えている。カナビスの中には、カナビノイドと呼ばれる60種類以上のニュニークな化合物があり、それがどのような働きをしているのか明らかにされつつある。

さらに、人間の体内でも、エンドカナビノイドと呼ばれるカナビノイドと共通する化合物が自然に生成されていることも分かってきた。


事例エビデンスなら山ほどある

現在まで積み上げられてきた事例エビデンスは山のようにある。また、何世紀にもわたってカナビスが利用されてきた幾多の深刻な病気や症状に対して効果のあることは、慎重に秩序立て実施された信頼できる臨床研究でも強く示されている。

確かに、現在までのところでは完壁と言いうる研究は少ないが、どの研究も、かつては薬として知られ、その後全く忘れ去られ無視されてきたカナビスの治療効果を再発見するものになっている。そうした効果とすれば、吐き気、嘔吐、けいれん、食欲不振、神経性の痛みなどの深刻な症状に対する緩和作用がある。

さらに、カナビスは際立って安全な薬で、現在頻繁に処方されている大半の医薬品よりも安全だという特徴がある。もし、カナビスが現在のように社会や政治でもみくちゃにされているものではなく、今初めて発見された薬だったのなら、間違いなく「驚異の薬」として絶賛されていたに違いない。


カナビスの喫煙法は他の摂取法よりも優れている

製薬業界では、現在、カナビノイドを単離したり人工的に類似品を化学合成して、煙ではない形状で摂取できる形態にすることに凌ぎを削っている。

どの会社も天然のカナビスよりも有効で安価な製品や摂取システムを目指してはいるが、実際には、類似品のほうがはるかに高く、天然のカナビスを食べたり喫煙したりして得られる効果を上回るものは全くない。

確かに、現在、われわれは禁煙が求められる環境で暮らしてはいるが、カナビスを医薬品としての摂取する方法としては、喫煙には実際的な利点が備わっている。効果がほとんど瞬間的に発現するので、患者は陶酔することなしに、自分の症状に最適な摂取量を確実に判断することができる。

カナビスの喫煙が深刻な肺の疾患を引き起こす事実が示されたことはこれまで全くないが、いずれにしても、現在ではバポライザーと呼ばれる装置が開発され、カナビスを燃焼させることなしにカナビノイドを吸引することができるようになっている。


政府は根拠のない禁止法を見直すべき

今回のカリフォルニア大学の研究によって、カナビスに対して根拠のない禁止を続けるアメリカ政府に再考を促し、医療カナビスが認められた州の患者や介護者の希望を打ち砕くような行為をやめさせるようになることが望まれている。

それには、政府が長年間違いを犯してきたことを許し、連邦当局が「重要な新データ」を取り込んで、時代遅れの破壊的な政策を改めることができるようにする必要がある。新しい議会では、道理にかなった温情のある公明正大な審議で、この問題に直ちに対応することができるはずだ。

新しい法律ができれば、ガンやエイズ、多発性硬化症、関節炎など深刻な病気に苦しむ何百万人ものアメリカ国民が切望している病状の緩和が現実のものになる。

カナビスの喫煙でHIVの神経障害疼痛が顕著に軽減  (2007.2.15)

アメリカ政府が供給しているカナビスのTHCは3%〜4%で、現在オランダで公式に生産されている医療カナビス・ベドローカン の18%、カナダ保健省の10〜14% に比較して格段に低い。

最良の医療カナビス摂取法は? 総合評価ではジョイントが一番
アンティーク・カナビス・メディシン