2008年を越えても

カナビスの法改革は進む


Source: Drug War Chronicle
Pub date: 24 Oct 2008
Feature: Beyond 2008 -- Looking Past the November US Elections
http://stopthedrugwar.org/chronicle/557/
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11月4日の選挙まであとわすかになり、カナビスの改革を目指す人も含めて大半の人々はその成り行きに注目している。カナビス関係では、ミシガン州の医療カナビス住民投票、マサチューセッツ州のカナビス非犯罪化住民投票、カリフォルニア州の画期的な非暴力違反者リハビリ住民条例案(NORA)の3つで住民がどのような選択を下すか大きな関心を集めている。


しかし、一部の人たちは11月の選挙はもう過去のものだとして将来の改革への取り組みに力を移している。マリファナ・ポリシー・プロジェクト(MPP)のロブ・カンピア代表はその一人だ。先ほど開催された NORML のバークレー・カンファレンスで、カンピア代表はこの先数年のビジョンを描いて見せた。

彼は冒頭で、マサチューセッツとミシガンでの住民投票について簡単に触れて、「11月4日では2つとも大勝利になるだろう」 と予測して大喝采を浴びていた。

現在ではすでに12の州で医療カナビス条例が成立しているが、今回ミシガン州で成立すれば中西部では初めてのことになり、次の突波口になる可能性を秘めている。MPPでは、2010年の住民投票において、オハイオ、マサチューセッツ、アリゾナの3州で医療カナビス条例成立を目標に掲げている。

彼はまた、議会による医療カナビス法制定に向けて9州でロビー活動を展開するとしている。9州のうち、イリノイ、ミネソタ、ニューハンプシャー、ニューヨークの4州は議会においてすでに目覚ましい段階にまで達しており、MPPではそれを足場にさらに支持の拡大をはかることにしている。だが、デラウエア、アイオワ、ノースカロライナ、ペンシルバニア、バージニアの5州では、議会に対する働きかけはまだ始めたばかりの段階にある。

MPPの将来の目論見がどの程度成功するかについては、今回の11月の結果にも大きく影響を受ける。MPPのブルース・ミルケン広報担当は、「全体的な取り組みとすれば、出来うる限りのことを推進していくことには違いはありませんが、来月の選挙の結果に影響を受けることも間違いありません。われわれを強く前進させてくれるかもしれませんし、もっとややこしい状況に引きずり込まれるかもしれません。前者であることを望んでいますが」 と語っている。


だが、MPPは11月の選挙結果がどうなろうとも、カナビスの完全合法化を求めてネバダ州で3回目の挑戦を行うことを決めている。「2012年のネバダ州の住民投票でカナビスの合法化を目指します」 とカンピア代表は言う。

ミルケン広報担当も、「間違いなくネバダは視野に入っています。ネバダはずっと進行中の プロジェクト です。前回の住民投票では44%の賛成票を獲得して目標まであと少しに迫っています。3度戻って挑戦することは確定しています」 と話している。MPPは、最近ネバダ州で活動する5人の人材を確保したことを発表しているが、この事実は明らかにその方向に進んでいることを表している。

全国で将来のカナビス法の改革に取り組んでいるのはMPPだけというわけでもない。ドラッグ・ポリシー・アライアンス(DPA)のエサン・ネルドマン代表は、「計画はたくさんありますが、現在最も大きな問題はカリフォルニアの 5号発議(プロポジション5) の行方です。非暴力違反者リハビリ条例案(NORA)とも呼ばれるこの発議には、カナビスの非犯罪化条項も含まれていて、もし通過すれば、従来のどの非犯罪化法よりも多くの人たちの影響力を持っています」 と語っている。

5号発議の結果は当面の取り組みにも影響をもっているが、DPAのカリフォルニアでの将来の活動方針にもかかわってくる。「カリフォルニアで次に何に取り組むかは、5号発議の結果次第です」 とネルドマン代表は話している。

だがDPAは、今回のカリフォルニアがどのような結果になろうとも、2007年にニューメキシコ州で苦労して医療カナビス法に配布条項を盛り込むことに成功したように、議会を通じてアラバマ、コネチカット、ニュージャージの3州で医療カナビス法を成立させるための活動を続けるとしている。また、メイン州では、地元の活動家とともに医療カナビス条例の住民投票の実施も目指している。

昨年、コネチカット州議会は医療カナビス法案を通過させているが、共和党のジョディ・レル知事の拒否権にあってあっさり成立を阻まれている。2007年にはニューメキシコとコネチカット州以外では、議会による努力はほとんど実がないに等しかった。

ネルドマン代表は、「コネチカットに戻って再び医療カナビス法案を推し進めます。ですが、最終的にはレル知事(任期2010年)がもっと柔軟になるように仕向けられるかどうかの努力にかかっています。アラバマの議員でわれわれの活動を支持してくれている女性は、法案を再び提出する準備をしていると話していますし、われわれのニュージャージ支部でも医療カナビス法案を支持してくれそうな議員集めに奔走しています」 と語っている。

一方、MPPは4年後のネバダでのカナビス合法化を目指しているが、オレゴン州の勇猛果敢なカナビス・コミューニティの2つのグループの活動家たちは、2010年の住民投票を目指してそれぞれの発議の準備を進めている。この2つの発議にはお互いに競合する部分もある。

オレゴンNORMLが中心になって提案している オレゴン・タックス・アクト2010 では、課税・規制管理して成人に対するカナビス販売と、州公認の酒販店で販売するカナビスの栽培をライセンスして、成人向けのビジネスを認めることを目指している。また、ライセンスなしで、成人には自分用のカナビス栽培を認め、農家にも産業用ヘンプの栽培を認める内容になっている。さらに、医療カナビスには課税しないことも求めている。

だが、このタックス・アクトは現行のオレゴン医療カナビス法(OMMA)と重複して上書きする部分もある。これに対して、10年前にOMMAを成立させたグループであるボーター・パワー(Voter Power)の活動家たちも自分たちの発議を提出する準備を進めている。

ボーター・パワーの発議では、喫煙用・食用カナビス、チンキ、薬用キャンディなどをディスペンサリーとペイシェント・リソース・センター(PRC)で販売することを認めて、カナビス栽培者が合法的にディスペンサリーとPRCに卸すことができるようになっている。また、総利益の10%はオレゴン医療カナビス・プログラムへ納めることにもなっている。

しかしながら、動きはこれだけに留まらない。MPPのカンビア代表によると、アメリカ自由人権協会(ACLU)では、モンタナとワシントンで非犯罪化活動を組織する動きを始めている。また、カンサス、メリーランド、ミズリー、テネシー、ウイスコンシンの5州でも、州議会を通じて医療カナビス法の成立に向けて活動を続けている。

現時点では来る11月4日の結果に注目が集まっているが、カナビス法改革の動きはずっと続いている。現在、その動きは数年先に照準を合わせて進んでいる。