ノル・ブログ・フロム・スペイン

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タバコを混ぜたオランダのジョイント

Pub date: April 28th, 2009
Dutch cannabis smokers roll up with tobacco
Author: Cannabinol
http://www.hempcity.net/blog/

アメリカのカナビス・スモーカーたちと接する度に、彼らの多くがオランダ流のジョイントに軽蔑的であると同時に畏敬の念を抱いていることを感じます。

普通、アメリカではジョイントはカナビスだけで巻きますが、オランダではタバコを混ぜるてつくるのでそう思われるのですが、だからと言って、どうしてそうするようになったのかあえて説明しようとまでは今まで思ったことはありませんでした。

ですが最近、オランダではタバコの禁煙法が施行されたのにともなって、コーヒーショップにも適用され、店内では特別に用意された部屋以外ではタバコを混ぜたジョイントを吸うことができなくなって事情が変わりました。どうやら説明が必要な時期が来たようです。

インターネットのカナビス・フォーラムなどを見ていると、極めて多くのアメリカの人たちが、コーヒーショップにとって禁煙法は好ましいことだという意見を持っていることがわかります。健康に好ましくないタバコを混ぜないで吸うようになるからというのが理由です。



まず知ってほしいことは、ヨーロッパではオランダだけがタバコを混ぜてジョイントを吸っているわけではなく、全体の習慣になっているということです。私は、ピュア・ジョイントが普通になっているヨーロッパの国を知りません。

イギリスやフランスやスペインなどでそうした習慣が生まれた経緯はよく知りませんが、オランダのカナビス・スモーカーたちがタバコを混ぜるようになったことについては至極自然だったと思っています。

私の祖父の世代は、タバコを吸うときにはローリング・ペイパーで巻くのが当たり前で、その習慣が子供の世代にも受け継がれました。労働者階級にとっては、フルター付きの本格的なシガレットは高価過ぎて手を出せる代物ではなかったのです。

1960年代にハシシがオランダに入ってきた時には、ボングやホッカというような喫煙具はありませんでしたし、葉巻ブラウントやフィルターなどもありませんでした。ハシシはそのままでは燃えませんから、普段巻き慣れているタバコに混ぜて吸うようになったのです。

その後何年かするうちにフィルターを使うようになりました。フィルターといっても厚紙を巻いただけのものですが、タールを除去するためではなく、タバコやハシシの燃えカスが口に入ってこないようにするためです。フィルターの幅は1〜2センチほどありますから、やがてジョイントペーパーはその分だけ長くなり、より円錐形に巻くようになりました。

1980年代にカナビスの主流がハシシからシンセミラ・バッズに変わっても巻き方はそのまま変わりませんでした。ハシシの場合と同じようにバッズを細かく粉状にして、タバコを混ぜ、キングサイズのジョイントペーパーと厚紙フィルターで巻上げます。スペインでは厚紙ではなくタバコのフィルターをそのまま流用する人もいますが、オランダではまず見かけません。

ときどきハシシやバッズにタバコを混ぜてボングやパイプで吸う人も見かけますが、私にはできません。何度か試してみましたが、言葉では言い表せられないほど嫌な思いをしました。ボングやパイプならピュアのカナビスのほうが向いています。アラビアのシーシャではリンゴなどで味付けしたタバコを使いますから、だいぶ事情が違いますが…



いずれにしてもオランダのカナビス・スモーカーにとってはタバコを混ぜてジョイントを巻くのが普通で、今ではそれが伝統的な習慣になっています。したがって、禁煙法が始まってから、とりわけコーヒーショップの常連さんたちはタバコを混ぜたジョイントが吸えなくなって直接的な影響が出てきています。その点でコーヒーショップが憤慨しているのは当然の成り行きなのです。

これまでもコーヒーショップにはさまざまな制限が課せられてきましたが、人がカナビスを吸うのを止めない限りコーヒーショップの需要も無くなることはありません。ですが一方では、喫煙用のスペースを用意できないコーヒーショップでは、お客さんはカナビスをテイクアウトするだけで別のところに行って吸うようになってきていますので、店内はガラガラの状態です。

お客さんがコーヒーショップを訪れる主な理由は、気心の知れた友たちと会って一緒にジョイントを吸うためなのですが、ほとんどのコーヒーショップは規模が小さいのでタバコを混ぜたジョイントを吸う専用スペースがありません。悲しいことに、このことでコーヒーショップからオランダ社会のコミュニティ機能が失われようとしています。

ですが、現在の政権はそうした現実を全く見ようとはしていません。私は、こうした偽善的な人たちが政治の主導権を握っていることを容認する気にはとてもなりません。私たちは、保健省の大臣にコーヒーショップでの禁煙法のあり方を再考するように申し入れています。

これに対して、インターネットで質問表を作成して、禁煙法でコーヒーショップの営業にどのような影響が出ているかを調べるように提案されました。そうした調査をしたことは当然ですが、新しく設立されたカナビス消費者連盟(Cannabis Consumers Federation)でも3万人以上の署名を集めています。それらは、5月9日には大臣に提出する予定になっています。

タバコに対する政策はコーヒーショップには馴染みません。政治が介入することはもうやめて欲しいと願っています。それと同時に、アメリカのカナビス・ユーザーたちもオランダのタバコを混ぜる習慣について理解してほしいと思っています。それがオランダ流のやり方で伝統なのです。


ノル・ファン・シャイク
ウイリー・ウォーテル・コーヒーショップ、ハーレム、オランダ