付録4

スペインにおける

カナビスの法的状況

Source: ENCOD
Pub date: 7 October 2007
Spain Legal Status of Cannabis
Auther: Martin Barriuso
http://www.encod.org/info/SPAIN.html

スペインにおけるカナビスの法的な扱いは次のように要約できる。
  1. 使用と所持
    私的な場所でカナビスを使うことは認められている。公共の場所(ストリート、バス、路上の自家用車、バーなど)での使用や所持は刑事犯罪とはみなされないが、民事的な法律違反となり最低でも300ユーロの罰金が科せられる。

  2. 栽培
    リクレーショナル目的であっても医療目的であっても、自分自身の使用が目的ならば認められている。もし裁判になって、栽培が自己利用目的ではないとみなされると犯罪扱いとなり、1年から3年の懲役刑が科せられる。

  3. 配布
    友だち同士のカジュアルな少量プレゼントは認められているが、営利目的でカナビスを販売することは刑事犯罪になる。有罪になると1年から3年の懲役刑と罰金が科せられる。

  4. 種、栽培用品および使用のために器具などの売買
    種、栽培用品、使用器具の売買は合法になっている。

  5. ヘンプ製品の生産と売買
    ヘンプ製品の生産と売買は、低レベルTHCであれば認められている。具体的な判断は警察独自が定めた基準によって行われている。

問い合せ
Federacion de Asociaciones Canabicas (FAC)
Martin Barriuso,   (pannagh@hotmail.com)

Amigos de Maria   (info@amigosdemaria.com)



スペインのドラッグに対する考え方
スペインでは、意識変容ドラッグは伝統的に寛容に扱われてきた歴史のあるが、特に1970年代末にヘロインの静脈注射が流行し出すと、すぐに害削減を基本とする政策が広く受け入れられるようになった。

こうした素早い社会の反応の仕方は、ヨーロッパでも他の国には見られないユニークな点になっている。カナビスをはじめとするドラッグ全般に比較的に寛容であることも、こうした社会の特徴が表れていると考えることができる。

スペインのドラッグ法は1967年に制定された法律がベースになっている。その後も何回か改正され、1991年には、たとえ少量であっても公共の場所でドラッグを所持したり使用した場合には民事的な制裁措置を取ることが承認されたが、ドラッグの使用が刑事犯罪の対象とされることは決してなかった。

だが現行の法律(Ley Corcuera)も、差別的で非生産的だという激しい批判に晒されている。それは、罰金(約300ユーロ)を払わない代わりに治療センター送りを選ぶことができるからだ。その結果、治療センターは本来治療の必要もない人で溢れかえることになり、本当に治療が必要な人の空きがなくなるという事態に陥っている。

1980年代に害削減プログラムが導入されたのは、静脈注射ユーザーの間でHIVが蔓延するのを防ぐためだったが、この時の蔓延の影響は現在になっても明らかに残っている。

スペインは、静脈注射によるHIVやC型肝炎の率が比較的高い国の一つになっているが、その増加率や死亡率は、注射針の交換プログラム、維持療法、コンシューマー・ルームの導入で著しく改善している。

いくつかの地域では安全な注射用ルームも運営されているが、この政策については、警察、法律の専門家、政治家の間でもコンセンサスができあがっている。また、2001年5月には、ヘロインの長期使用者に厳格な管理下できちんとしたヘロインを支給することも認められ、2003年にはアンダルシア州の地域コミュニテイで運用が始まっている。

ダンス・イベントなどでは、エクスタシーやデザイナー・ドラッグの品質テストも行われるようになってきているが、このプログラムがもっと広範囲に実施されるようになるかどうかについてはまだ何も決まっていない。

2001年3月にはバルセロナのあるカタロニア州で、特定の病気の治療にカナビスが役立つかどうかを調べる委員会の設立法案が全会派の一致で承認されている。それを受けて、同年6月には、上院と下院の議員、さらには医療カナビス推進団体も加えた混成委員会が発足している。

2004年には、ドラッグ政策に積極的と考えられている政党が政権について、新しい医療カナビス法の制定に期待が寄せられているが、最終的にどうなるかははっきりしていない。

またスペインは、2000年に、コロンビアのドラッグとゲリラを一掃するためにアメリカがすすめている「コロンビア計画」(Plan Colombia)への支持をヨーロッパの国としては最初に表明している。だが、コロンビア計画についてはヨーロッパ諸国からは激しく非難されたこともあって、後にスペイン政府はEUのコロンビア政策に加わることで、アメリカへの支持を公式に撤回している。


問い合せ
ENCOD   (mailto: Virginia Montanes)

この記事は2007年10月にENCODのサイトに掲載されたもので、その後の変更や歴史については書かれていないので注意。最新情報は、EMCDDA が参考になる。