多発性硬化症第3フェーズ臨床試験

カナドールの優位性が実証される

Source: IACM
Pub date: 19 July 2009
Clinical phase III study with the cannabis extract Cannador
successful in multiple sclerosis
http://www.cannabis-med.org/english/bulletin/
ww_en_db_cannabis_artikel.php?id=300#1


イギリスでは、筋硬直に苦しむ多発性硬化症患者に対して天然のカナビス抽出液から製造した「カナドール(Cannador)」ピルを使った第3フェーズの臨床試験が行われているが、最近279人分の試験が終了し、カナドールの効果の優位性が確認された。

この臨床研究は、イギリス・プリモスのペニンスラ医科大学のジョン・ゼイゼック教授が中心になってイギリス全国22箇所のセンターで進められているもので、ドイツ・ベルリンの臨床調査研究所とスイスの製薬会社・ヴェレダAGがスポンサーになっている。

カナドールは、天然のカナビス抽出液をカプセル化したピルで、1カプセルにはTHC2.5mgとCBD(カナビジオール)1.25mgが含まれている。

この研究の第一目的は、多発性硬化症患者の筋硬直治療においてカナドール有効かどうかを調べることで、結果はプラセボの比較して優位性があることが示された。また、痛み・筋けいれん・睡眠の質・痙縮の重さ・全体的な障害の程度などの二次的な効果についても、プラセボよりも優れていることがわかった。

この第3フェーズの臨床試験は、プラセボを使った無作為二重盲検法で行われた。期間は12週間で、患者のうち143人にはカナドール、134人にはプラセボが与えられた。投与量については個人差が大きいので、最初の2週間は最適量を決めるために使われた。

この研究の結果についての詳細は、9月にデュセルドルフで開催されるカンファレンス(ECTRIMS)で発表されることになっている。

この記事は、スポンサーの協力で作成された臨床結果の予備情報をもとに書かれている。正式な報告書はまだ発表されていないが、ベルリンの臨床調査研究所とIACMの個人的な関係を通じてもたらされたもの。

今回の臨床試験(CUPID)は、前回のMUSEC試験が当初予定の400人規模にならずに中断した後に実施されているもので、最終結果が出揃うのは2012年の春から初夏ごろに見込まれている。

多発性硬化症 THCの進行抑制効果を調べる臨床研究 (2008.7.21)
期待されるカナビス・ピルの臨床試験 天然のカナビス抽出液から製造した「カナドール」 (2008.5.15)

イギリスでは、カナドールとは別に、GW製薬が天然のカナビス抽出液から製造した舌下スプレー・サティベックスを開発し、やはり多発性硬化症患者を対象に臨床試験を行っている。

当初は、試験の方法に問題があってなかなかプレセボに対する優位性を示すことができなかったが、最近試験方法を変更することで解決している。

現在では、サティベックスの商用製造のライセンスも取得済みで、年間2万5000人分のサティベックスを製造することを予定している。5月には、ヨーロッパ分散手続きによる医薬品の認証手順(European decentralized procedures)を通じてイギリスとスペインでの認証を申請している。結果は2009年末から2010年のはじめに出ることが見込まれている。(Source: Press release by GW Pharmaceuticals of 16 July 2009)

サティベックス 暗雲を払い退ける明るい研究結果 (2008.9.8)
カナビス経口スプレー・サティベックス 多発性硬化症に長期的恩恵 (2009.3.5)