神話
ドラッグというのは2つの言葉で簡単に定義できます。ひとつやると止められないもの。依存性のある物質。2つめはやると捕まるもの、法律によって禁止されているもの。
この依存症という部分がやっかいなんです。依存症には精神的依存と身体的依存があるんですけれども、身体的依存はアルコールが典型的な身体的依存性の強いドラッグで、切れると手に震が出たり、目がしゅわしゅわしたり、喉が渇いたり、身体的な影響が出るもの。これについては大麻はほとんどないだろうと言われてます。
だから、一部の大麻合法化論者が、大麻認めてもいいんじゃないかとバカなことを言ってる。でも精神依存はものすごいものがあります。(中略)
この精神依存性が大麻の場合問題ですし、薬物ドラッグは、大麻も、1回1回の乱用が脳を壊してしまう。ですから、脳という神経系は再生不能ですから、我々はこう言います。薬物乱用は多少の回復はあっても治ることのない病。ここが怖いんです。」
(NHKクローズアップ現代 『大麻汚染を食い止めろ』 水谷 修 2008年12月3日)
事実
公的な放送を担っていると自負するNHKで、科学的な研究よりも個人の印象論のほうが通用するのであれば公的などとはとても言えない。結局は、自分たちの考える正義のためならば嘘をついても構わないことになってしまう。
●「ドラッグの定義は、依存性のある物質で法律によって禁止されているもの」 ならば、アルコールは禁止されていないからドラッグではないことになる。だが、そのすぐ後で、「アルコールが典型的な身体的依存性の強いドラッグ」 と言っている。NHKでは、平気でこのような論理破綻が通用するらしい。
また、モルヒネやバルビツールやコデインも医薬品で合法だ。シンナーなどの工業製品にしても合法だ。それ故にこれらはドラッグではないとでも言うのだろうか? ドラッグとは、たとえ医薬品や工業製品であっても本来の目的から外れて嗜好目的で乱用・誤用される薬物や物質を言うのであって、合法か非合法かは関係ない。
●「身体的依存がないから、大麻を認めてもいいんじゃないかと言ってる」 人がいるとすれば、それは、まず間違いなく、「大麻は脳を壊す」 などという嘘を政府やマスコミがまき散らしていることに対する反発から出てきている。時と場合によっては、「大麻は無害だ」 とより強くコントラストを意識した主張をする人さえ出てくる。
「大麻の精神依存はものすごいものがある」 と言うのも同じで、嘘を押し付けられることに対する反発が 「ものすごい」 ので、それを相手の精神依存のせいにしている。依存症は医学的に定義されているもので、このようなこじつけ方は詭弁に過ぎない。
●「1回1回の乱用が脳を壊してしまう」 という主張に至っては妄想としか言いようがない。例えば、アメリカの最近5期の大統領(クリントン、クリントン、ブッシュ、ブッシュ、オバマ)は全員が大麻を経験している。また、最近3回の大統領選挙のうち2回は、民主党と共和党の候補(ブッシュ/ゴア、ブッシュ/ケリー)がともに大麻経験者だった。
さらに言えば、アメリカ最大州の知事(カリフォルニア州シュワルツネッガー)とアメリカ最大の都市の市長(ニューヨーク市ブルームバーグ)も大麻を使っていた。NHKは、彼らの脳が壊れていると主張したいのだろうか?
●大麻の依存性
通常、ある人が薬物の依存性に陥っているかどうかは、DSM-IVによる依存性の診断が使われており、次のような7条件のうち過去1年間のある期間に3つ以上がともに存在した場合に依存性に陥っていると判定される。
1. 耐性が形成される
2. イライラや不眠などの離脱症状(禁断症状)が現れる
3. ユーザー自身が思っていたよりも大量・長期間使用するようになる
4. 欲求が持続して中断または使用量を制限しようとしてもできなくなる
5. 酔った状態に戻したり、入手のために時間がかかっても厭わなくなる
6. 重要な社会活動や仕事などに時間を費やさなくなる
7. 精神や身体状態が悪化しているのが分かっていても止められなくなる
また、一般的な議論として、依存性を身体的依存と精神的依存に分けて、ドラッグごとにその程度を比較することも行われている。そうした研究として、現在最も新しく総合的で権威あるのが、イギリス政府のドラッグ乱用問題諮問委員会(ACMD)の委員長を務めているデビッド・ナット教授が筆頭執筆者となって2007年3月にはランセットに掲載された論文で、ドラッグの害に関して身体的な害、依存性の害、社会的な害の3カテゴリーに分けて、アルコールやタバコも含めて20種類のドラッグの害を多面的に評価している。
大麻と他のドラッグとのリスク比較、害を評価するための論理スケールの開発
The Lancet - Vol. 369, Issue 9566, Pages 1047-1053, 2007.3
スケールは、0=害なし、1=多少害あり、2=害あり、3=大きな害あり
この評価ではいずれも大麻のポイントがアルコールやタバコよりも低くなっているが、全体的の差はそれほど大きくはなっていない。その理由は、「ヨーロッパでは大麻はタバコと混ぜて吸われるのが一般的で、それが身体的な害と依存性の害のスコアを押し上げる原因にもなっている」 ためで、大麻を単独で吸った場合の依存性はもっとかなり低くなる可能性がある。(60%程度とする見方もある)
また、2008年のイギリス・ドラッグ乱用問題諮問委員会(ACMD)の報告書には次のような表も掲載されている。
ACMD: Cannabis: Classification and Public Health (2008)
この表の診断基準はDSM-IVなどよりも甘く(低く)設定されているので数字がやや大きめになっていると書かれているが、全体とすれば、大麻に対する依存性も年齢とともに下がってくることがわかる。このように長期的視点から見ると、大麻・ユーザーの行動は、アルコール・ユーザーのように使用量が増加していくことはなく、むしろ使う量も時間も減ってくる。
また、1999年に発表された全米アカデミー医学研究所(IOM)報告書でも、「他の大半の薬物に比らべれば・・・大麻・ユーザーの依存性は比較的稀にしか起こらない。」 「要約すれば、大麻・ユーザーが依存性に陥ることは余りないが、一部の人たちはそうなることもある。しかし、それでもアルコールやニコチンなどのユーザーほど多くはなく、大麻の依存性は他の薬物の依存性ほど深刻なものになることはない」 と結論づけている。
●大麻が脳細胞を破壊する?
しばしば、大麻が脳細胞を破壊すると言われるが、実際のところそれを示した実験が行われたことはない。
破壊される根拠としてこれまで何度もあちこちで引き合いに出された研究は、大麻をヘビーに吸わせたリス猿の脳に障害が見られたと言われているものだが、この研究で見出したのは、海馬や扁桃体周辺のシナプスなどの微小な構造変化についてで、脳細胞を破壊するというものではない。
この研究が発表されてからすでに30年近くも経っっているが、実際には、その構造変化についてもその後追認されたことはない。例えば1991年に発表されたアーカンサスの研究では、リス猿に顔マスクを装着し1日あたりジョイント4~5本相当の煙を1年にわたって吸引させても、海馬の構造、細胞の大きさや数、シナピスの配置などには何の変化も認められていない。
人間の脳に対する研究としては2005年に、ハーバード医学部のチームが磁気共鳴画像分析を使って、22人の長期大麻のヘビー・ユーザー(喫煙回数平均2万100回)と26人の非喫煙者の脳の対照研究を行っているが、両者の画像には目立った違いはなかった。「このことは、大麻の使用が脳の全体あるいは特定の海馬に構造変化を起こすことはないという最近の文献の結論と一致している」 と研究者たちは結論づけている。同様の結果は2006年のニューヨーク大学の研究でも示されている。
また、2005年10月には、大麻が脳を破壊するどころか、脳の海馬領域で新生ニューロン神経細胞の増殖が促進されことまで報告されている。この研究を行ったのはカナダ・サスカトゥーン大学の研究テームで、合成カナビノイドをラットの投与したところ神経細胞が新生されて、不安やうつ的な振る舞いが大幅に減ることを見出している。この結果は、「アルコールやタバコも含めてあらゆるドラッグ乱用が大人の神経細胞を減少させる」 はずだと予想していた研究者自身も驚かせた。
●大麻が脳の認知機能を低下させる?
大麻が人間の脳の認知機能にどのような影響を与えるかについては、実験用の施設のなかで被験者に大麻を与え、注意力、学習力、記憶力などについて各種の測定を行って対照群と比較するさまざまな研究が行われているが、多くの研究では目立った違いが見つかっていない。
例えば、1999年に全米疫学学会誌に掲載されたジョンズホプキンス大学の1300人を対象とした研究では 「15年以上にわたって大麻をヘビーに使った人とライトに使った人、全く使わなかった人の間に目立った知覚の減退傾向はなかった」 と報告している。
また、一般精神医学アーカイブ誌の2001年の研究では、大麻の長期常用者に1週間の禁煙をさせて、対照グループ(大麻経験50回以下)と10種に及ぶ神経心理テストを実施して比較したが、実質的に何の相違も見られなかった。研究者たちは、「テスト前3ヶ月間大麻を全くあるいはほとんど使っていなかった前大麻長期常用者も、対照グループとの間には、どのテストをいつ行ったかに関係なく目立った相違は見られなかった」 と書いている。
2002年4月のカナダの研究では、週に5本以上ジョイントを吸っている大麻・ユーザーのIQスコアについてはネガティブな影響が見られるものの、たとえヘビーなユーザーでも一旦中断すれば、少なくとも3か月後には測定できるような知能への悪影響は見られず、「知性全体に対して、大麻が長期的でネガティブな影響を与えることはない」 と報告している。
精神医薬ジャーナル2004年10月号の研究では、双生児比較法で54組の一卵性双子の男子の認知力について大麻の長期にわたる後遺症の可能性を調査し、「認知力には長期大麻使用による顕著な後遺症は見られない」 と報告している。2003年の国際神経心理学会誌に掲載されたメタ分析でも、「大麻の長期常用者においても、使用中でないしらふの状態では、神経認知機能に実質的で系統立った影響を見出せなかった」 と結論を書いている。
2005年の春に出版されたアメリカン・ジャーナル・オブ・アディクション誌に掲載された臨床研究では、長期ヘビーな場合も含めて最大限に見積もっても、大麻使用には、認知力や記憶力に対して無視できる程度の影響しかないと結論付けている。
確かに、大麻でハイになっている間に限れば学習能力が低下するということは一般に認められているが、永続的なものではなく、たとえ長期ユーザーであっても中断すれば長期の記憶や行動障害に苦しむといったことはなく、学習力、記憶の想起力、その他の認知機能にも目立った違いは認められていない。
・神話 8 カナビスは脳障害を引き起こす
・カナビスと脳に関する最新の研究
●大麻が無動機症候群を起こす?
大麻の長期使用の悪影響についての議論では、必ずといってよいほど「無動機症候群」という概念が出てくる。
この概念は、アメリカで若者たちの大麻使用が増加した1960年代の終わりごろに現れた。そもそも、例えばアルコールやタバコでは「無動機症候群」が起こると言われることはないことからも分かるように、大麻の悪害を指摘するために恣意的に作り出された概念ということができる。
無動機症候群は、大麻を使っているとやがて倦怠感で無気力になり、生産性が低下し、長期的な計画を遂行することが困難になり、集中力がなくなって、注意力の維持が困難になる、といった特徴的な症状が見られるようになるというものだが、研究者によってとらえ方はかなり違いもあって明確に定義されたことはない。
これまでに、大麻による無動機症候群を実証するために数多くの研究行われてきた。その多くは、対象を大麻・ユーザー・グループと非ユーザーグループに分けて、学業成績や労働生産性を比較しているが、明確な違いを見出した研究はほとんどない。
古くは1960~70年代にアメリカ政府が資金を提供して、ジャマイカ、コスタリカ、ギリシャで大規模なフィールド研究が行われたが、大麻を使っている人たちに無動機症候群を示す証拠は見つかっていない。むしろ、ジャマイカでは、生産性を上げるために仕事中に大麻がしばしば使われていると報告されている。
学生のテスト成績の調査でも、大麻・ユーザーと非ユーザーの間には一貫するような差は見つかっていない。また、2006年3月に発表された南カリフォルニア大学の研究では、18才から81才までの大麻常用者243人と非使用者244人の合計487人に対して、無気力評価スケール (AES) に基づいた調査を行ったが、大麻を毎日使ったとしてもモティベーションを低下させないことが示されている。
さらに、興味深いことに、金銭的な報酬と大麻の関係を調べた研究では、大麻を使っている人のほうがわずかにモティベーションが強まることさえも示されている。
結局、多くの研究者たちは、たとえ無動機症候群の症状が見られたとしても、それは基本的にはうつ病の症状とシンクロしており、うつ症状を緩和するために大麻を使った結果を言い換えたに過ぎないと結論づけている。
●大麻が学習意欲を喪失させ、若者を素行不良にする?
確かに、特に未成年の大麻の使用と、学業成績の悪化、出席率の悪さ、退学率の高さ、反社会的行動などとの間に関連があることを示した研究は多い。
その中でもニュージーランドのファーグッソン・チームによる25年にわたる出生コホート研究が最も特筆すべきものになっている。研究期間が長いこともあって、論文数も多く、対象としている課題もさまざまだが、次のような結果を見出している。
これらの研究で一貫しているのは、若者の大麻使用と学業成績の悪さとには相関関係があるという結果だが、2003年に発表された大麻と学業成績に関する研究では、大麻そのもので認知力やモチベーションの低下したことが原因というよりも、大麻が使われている社会環境や背景から受ける影響のほうが大きく反映していると結論づけている。
このころまでの研究では、大麻・ユーザーを単に非ユーザーと比較しているだけだが、最近では、アルコールたタバコなどの他のドラッグを併用していない純粋大麻・ユーザーを対象にした研究も行われるようになった。
2007年11月に発表されたスイスの研究では、大麻のみを適度に使っているティーンは、何もドラッグを使っていないティーンに比べて成績が悪いということもなく、心理社会的な問題を多く引き起こすこともなく、むしろ社交的であることが示されている。また、2008年12月に発表されたフランスの研究では、節度ある大麻のみの使用は非行行動の原因にはならないことを見出している。
これらの結果はいずれも、大麻そのものが学習意欲を喪失させ、若者を素行不良にするわけではないことを示しているが、だからと言って未成年が大麻を使っても何ら問題がないと言っているわけでもない。
特に未成年の場合には、生活の多くの部分を他人に依存しているので自ら選択できる余地は少ない。アルコールやタバコにしても、大人では許されても未成年ではいろいろ危険や問題があるから禁止されている。これは、運転や結婚、売買契約などでも同じことが言える。当然のことながら、大麻の使用もそれに当てはまる。
●大麻を利用した脳の治療
久しく大麻は脳を破壊すると言われてきたが、最近では、脳の病気の治療に使うことが真剣の模索されている。
神経膠腫症 (グリオーマ)
神経膠腫症 (グリオーマ)は脳にできるガンの中でも特に攻撃的な悪性腫瘍で、多くは診断後1~2年で死に至る。この腫瘍を治療する方法は現在知られておらず、対処療法で僅かに苦痛を取り除く程度しかできない。最近では、エドワード・ケネディ上院議員が発症 して注目を集めた。
THCによって培養液中の神経膠腫細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)することが初めて報告されたのは、1998年のFEBSレター誌9月号で、スペイン・マドリッドのコンプルテンセ大学生物学科のグズマン教授の研究チームによるものだった。
彼らは、2000年にも最初の発見を追認する研究を発表し、THCの他にも合成カナビノイド・アゴニストの WIN55・212-2 の投与で、動物の 「悪性腫瘍に目立って退行した」 と報告している。さらに 2003年の動物実験でも、カナビノイドには腫瘍の成長を抑制する能力があることを再度確認している。
2008年の始めに発表された神経治療に関する専門家レビュー・ジャーナルでは、イタリアの研究者たちが、「カナビノイドに関しては、実験で幅広い細胞株に抗増殖性効果のあることが示されている。中でも興味深いのは、試験管や動物実験の双方で神経膠腫の成長を大きく抑える能力が示されていることで、……さらに、カナビノイドには、形質が変化していない正常細胞に影響することなく膠腫細胞だけを死滅させる選択的抗腫瘍作用のあることも分かっている」 と報告している。
・大麻とカナビノイドの臨床応用 神経膠腫症
アルツハイマー
アルツハイマー病は原因不明の神経障害で、記憶や過去に身に付けた行動を徐々に失っていくという特徴がある。現在のところ、アルツハイマー病の進行を止める治療や薬物療法で確立されたものはなく、対症療法的な医薬品がわずかにあるに過ぎない。
しかし、最新の動物研究では、カナビノイドにはアルツハイマの症状を緩和するだけではなく、病気の進行を抑える働きのあることが示されている。
神経科学ジャーナルの2005年5月号では、スペイン・マドリッドのコンプルテンセ大学とカジャール研究所の研究チームが、アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイド・ベーター・ペプチドを注射したラットの脳室内に、合成カナビノイド WIN55・212-2 を投与したところ、認識機能障害が起こらず神経毒性が減少したと報告している。
また同チームは、人間の脳組織の培養液を使った実験で、カナビノイドがアルツハイマー病に関連した炎症を軽減することも見出している。研究者たちは、「こうした結果は、カナビノイドが、病気によって引き起こされる神経変性を防いでいることを示している」 と結論づけている。
もっと最近の例とすれば、2006年に カリフォルニアのスクリップ・リサーチ研究所の研究者たちが、従来のドネペジルやタクリンといったアルツハイマー病の医薬品よりも、THCのほうが、第一の原因物質であるアミロイド斑集合を生成する酵素の働きを「見違えるほどよく」 抑制したと報告している。
彼らは、「この結果は、THC分子がアルツハイマー病の病変に直接作用するメカニズムを備えていることを示している。THCやその類似薬品は、同時にアルツハイマー病の症状緩和と進行を遅らせることによって、進んだ治療オプションを提供してくれる可能性がある」 と書いている。
さらに最近の研究とすれば、オハイオ州立大学心理・神経科学学科のチームが、年老いたラットに毎日3週間にわたって WIN55・212-2を投与したところ、水路の迷路テストで著しく成績が上回ることを見出している。2007年の神経科学ジャーナルでは、対照群に比較して、記憶では50%の改善がみられ、炎症では40~50%軽減されたと報告している。
2007年9月のイギリス薬理学ジャーナルでは、アイルランド・トリニティ・カレッジ神経科学研究所のチームが、「カナビノイドには神経防護作用と神経炎症を軽減する働きが備わっており、アルツハイマー病の治療に多面的なアプローチを提供し、また同時にニューロトロフィンの発現量を増大させて神経発生を促すことによって、脳に本来備わっている修復メカニズムをサポートしている。……カナビノイド経路を操作することで、アルツハイマー病治療に薬理学的なアプローチが可能で、現在の治療法よりも高い効果が得られると思われる」 と書いている。
・大麻とカナビノイドの臨床応用 アルツハイマー
・大麻が老人の記憶を良好に保つ 新しい脳細胞の生成を促す可能性も (2008.11.19)
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2009年1月29日のスラッシュドット・ジャパンにオハイオ大学の研究の話題が取り上げられているが、記事の一節に次のように書かれている。
「実験では大麻に含まれている特定のカナビノイドを低容量、朝に摂取させたラットでは、そうでないラットと比べて記憶テストで良い結果を出し、また脳細胞の老化と死滅スピードが遅くなった。しかし、このような結果となるのは老いたラットのみで、若いラットでは逆に知能の衰えに結びつくという結果となった。」 この翻訳からは、「若いラットでは知能に損傷を受ける」 と読める。しかし、www.thelantern.com/media/storage/paper333/news/2009/01/27/Campus/Marijuana.Could.Prevent.Alzheimers-3598061.shtml" target="_blank">ソースになっている記事では、心理能力テストで成績が悪かったとは書かれているが、「知能が衰える」とは書かれていない。
●大麻とアルツハイマー病の話題として注目されるのは、晩年にアルツハイマー病に侵されたレーガン元大統領で、大統領在任中から発症の噂がささやかれていた。
彼は大統領になる前の1979年に、最新の研究(たぶん例のリス猿の研究)をもとに、「大麻を使ったことによる避けられない結果の一つは、永続的に脳が損傷を受けることだ」 と高らかに大麻に対する戦争を宣言している。その後、大麻が脳障害を引き起こすと盛んに叫ばれるようになった。
しかし皮肉なことに、今では大麻が脳細胞を保護・再生してアルツハイマー病に効くことが明らかとなったことで、ロクに検証もされていない研究に跳び付いて信じ込んだレーガン大統領の浅はかさが浮き彫りになった。彼はまた、タバコの宣伝にも積極的に関与していたことでも知られているが、タバコはアルツハイマーを悪化させるといわれている。彼が大麻だけを常用していたならば…
実際、非常に興味深いことだが、オハイオ州立大学の研究を率いているゲーリー・ウエンク教授は、「エビデンスが示唆するところでは、1960年代や70年代に大麻を常用していた人たちには、アルツハイマー病になった人は滅多にいない」 と新聞に語っている。
転載元:NHKの誇張と嘘 カナビスの1回1回の使用が脳を壊す/カナビス・スタディハウス
(※THC注:転載元のカナビス・スタディハウスでは、解説などが頻繁にアップデートされています。最新の情報を確認するためにも、転載元のカナビス・スタディハウスにアクセスすることをお勧めします。)
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