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逮捕された人たちの話 > 米国では医療大麻を使っていたアメリカ人男性
カリフォルニアで合法的に医療大麻を使っていたアメリカ人に前橋地裁が下した実刑判決書

鬱の治療目的で、カリフォルニア州で医療大麻の処方を受けていたアメリカ人が、日本で大麻所持で捕まり、前科の執行猶予満了から間もない時期であったことも災いし、実刑判決を受けた事案を以前お伝えした。その判決書のコピーを送ってもらったので、被告人の個人情報を伏せて転載する。

尚、この事案では、被告人のアメリカ人男性が所持していた、カリフォルニアで発行された医療大麻を購入するためのカードが証拠として採用されているが、その件について判決はまったく触れていない。



平成21年(わ)第222号

判  決

国籍 アメリカ合衆国
住居 ●●●●●●●●●●

契約社員
●●● ●●●●●●● ●●●●
●●●●年●●月●●日生

上記の者に対する大麻取締法違反被告事件について、当裁判所は、検察官上田生久代、国選弁護人徳島理絵各出席の上審理し、次の通り判決する。


主  文

被告人を懲役6月に処する。
未決勾留日数中30日をその刑に算入する。 前橋地方検察庁で保管中の大麻草及び大麻樹脂(ただし缶入りのもの1缶、平成21年領第326号符号1)を没収する。


理  由

(犯罪事実)
被告人は、みだりに、平成21年4月8日、●●●●●●●●●●所在の被告人方において、大麻草3.102グラム及び大麻を含有する樹脂状固形物約0.488グラムを所持した。

(証拠)
-中略-
(量刑の理由)
本件は、判示のとおり、被告人が大麻を違法に所持した事案である。
第1 被告人に不利な事情
1 被告人は、うつ病による不安な気分を落ち着かせるために大麻を使いたいと考え、大麻を入手して所持していた。しかし、この動機が大麻の所持を正当化するものではない。他の適切な手段を講じることなく安易に大麻を所持しており、経緯にも酌むべき点は乏しい。

2 被告人が所持した大麻の量は、大麻草3.102グラム及び大麻樹脂0.488グラムであり、少ないとはいえない。

3 被告人は、平成17年に覚せい剤取締法違反の罪により懲役1年6月執行猶予3年の有罪判決を受け、自力で社会内更生を遂げる機会を与えられた。被告人は、その執行猶予期間中である平成20年夏ごろ、大麻を使いたくなり、密売人を紹介してもらったものの、執行猶予期間中であったため、連絡はしなかった。しかし、猶予期間が経過した同年末ころから、執行猶予による心理的抑制が取り除かれて、その密売人に自ら連絡をして大麻を繰り返し入手するようになり、本件犯行に至っている。こうした経緯から、被告人が少なくとも、平成20年末ころからは常習的に大麻を所持していたこと、被告人が大麻等の違法薬物に親和性を有していることが認められる上、被告人の規範意識は、執行猶予期間を経ても、依然として鈍麻(原文ママ/THC注)したままであったということも認められる。

第2 被告人に有利な又は酌むべき事情
1 被告人が本件犯行を認め、反省し、二度と薬物犯罪は犯さない旨述べている。
2 被告人の妻が、今後被告人を監督すると誓っている。
3 (プライベートな内容なので省略/THC注)

第3 量刑
被告人は上記のとおり、執行猶予付きの有罪判決を受けたことがあるにもかかわらず、与えられた更生の機会を活かすことなく、執行猶予期間が経過すると再び大麻を入手し、本件に及んでいる。そうすると、被告人に有利な又は酌むべき事情を考慮しても、もはや被告人社会内更生の機会を再び与えることは相当とはいえず、実刑は免れない。そこで、今回が被告人にとっての初めての服役になることも考慮し、主文のとおり判決する。
(求刑-懲役10月、大麻の没収)

平成21年6月26日
前橋地方裁判所刑事第2部

裁判官 諸岡亜衣子




母国アメリカのカリフォルニアでは、自らの鬱の症状を緩和する目的で、合法的に大麻を使っていた男性は、上記のとおり実刑判決を受け、服役している。控訴して争うことに費やす時間と労力と費用を考えると、服役してしまったほうが早く社会に戻れるという判断だった。
判決では、被告人が、『うつ病による不安な気分を落ち着かせるために大麻を使いたいと考え』たと、大麻入手の動機を認定している。しかし、被告人が母国アメリカで大麻を合法的に医療目的で使っていたことや、その権利を示すカードという証拠について、まったく斟酌されていない。弁護側が、公判で大麻の医療使用を争点化することもなかった。

実刑の確定したアメリカ人男性に、アメリカ大使館の職員が面会に来たそうだ。そのときの様子について、奥さん(日本人)のメールに書かれていた。

旦那は木曜から刑務所に移されたんですが、その日にちょうど面会に行ってきました。
そこで旦那が言っていたんですが、大使館から女性が面会&英語の雑誌の差し入れにきてくれたらしいです。

「ところで何キロ所持してたの?」

と聞かれ、

「え?何キロ? 3グラムだけど、、、」

といったら、

「え?たった3グラムの為にここにいるの?」

と笑っていたそうです。
ここ最近カリフォルニアの条例も変わり、大麻所持は罰金20ドルになったとか言ってました。

アメリカ大使館の女性職員の感覚と認識では、「たった3グラム」。しかし、わが日本の裁判所は、『被告人が所持した大麻の量は、大麻草3.102グラム及び大麻樹脂0.488グラムであり、少ないとはいえない。』そうだ。裁判官の諸岡亜衣子さん、ハッパ3グラムとチャラス0.4グラム、少ないと言えるんですけど何か?刑務所に入れるほどの話ですか?被害者はどこですか?アメリカ大使館に言って聞いてみ。「たった3グラム」って笑われます。日本は笑いものにされているのです。あなたたちのせいで。

裁判員制度で国民が裁かなければならないのは、裁判そのものではないだろうか。

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