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質問と対話 > 政党・政治家との対話
衆院選2009:主要政党の薬物政策とアンケートの回答
政党・政治家との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2009-08-19

衆院選が目前となったが、各政党の薬物問題に関するマニフェストと、大麻取締法に関するアンケートの結果をまとめておきます。投票の参考にして下さい。

自民党、公明党、共産党、新党日本からは回答を頂けませんでした。民主党、社民党、国民新党、新党大地からは、下記の回答を頂きました(回答を頂いた順に掲載)。



大麻取締法に関するアンケート


◇ 薬物政策について
日本の薬物政策は、米国と同様に、末端の使用者に対する取り締まり強化を含む、非寛容政策を採っています。しかし、欧州を中心に、薬物の使用が引き起こす、社会と個人への害の削減を政策目標とする、ハームリダクション政策を採用している国も多々見受けられます。そこでは、薬物の不正販売に対する取り締まりを行う一方、末端の使用者に対しては、公衆衛生の問題としてのアプローチが重視されています。例えば、アルコール中毒者に必要なのは、刑事罰ではなく、治療であると私たちは考えています。そこで以下お尋ねします。

Q1.ハームリダクション政策について、どうお考えですか?
A.非寛容政策のままで良い
B.ハームリダクション政策を検討する必要がある
C.分からない
D.その他(自由にお書き下さい)

民主党:D.その他
薬物依存・中毒者への治療と自立支援、家族への相談支援を整備すべきだと考えています。省庁横断的な薬物取締体制を強化するとともに、外国の例を参考にしながら実効性のあるアプローチを検討すべきだと考えます。

社民党:B.ハームリダクション政策を検討する必要がある
※ただし、注射針の供給等の感染予防、代替薬物治療、カウンセリングの態勢等の対策の整備が前提。結果としての健康被害軽減が何よりも重要であり、取締の厳格化だけでは限界がある。

国民新党:B.ハームリダクション政策を検討する必要がある

新党大地:D.その他
基本的に非寛容政策を採用し、同時に公衆衛生の問題としてのアプローチも重視すべきだと思います。

◇ 個人利用の大麻について
近年、海外では大麻に関する科学的・医学的研究が進み、さまざまな疾病に対する治療効果が確認されています。
また、個人的な嗜好用途で利用しても、人体にアルコールやタバコほどの害がないことも証明されています。
例えば、2006年7月、英国下院科学技術特別委員会は、薬物の分類に関する報告書を出していますが、そのなかで、大麻はアルコールやタバコほどの害がないことを明確に示しています。
既に英国では、個人的に使う大麻の少量所持で逮捕しない施策が2004年から実施されています。(※このアンケートを送付した2007年当時。現在は大麻の規制区分はBに戻されている。)
個人的に使う大麻の少量所持を、懲役という厳しい最低刑で罰している先進国は、アメリカ連邦政府と日本だけです。アメリカでは多くの州で大麻の少量所持が非犯罪化され、その数は増える勢いです。そこで以下お尋ねします。

Q2.個人的に使う少量の大麻所持を懲役刑とすることについてどうお考えですか?
A.懲役刑のままでよい
B.他の先進国程度に見直す必要がある
C.分からない
D.その他(ご自由にお書き下さい)

民主党:D.その他
今後検討していきます。

社民党:A.懲役刑のままでよい

国民新党:A.懲役刑のままでよい
当面、現行どおりとする。

新党大地:A.懲役刑のままでよい

◇ 公的大麻情報について
我が国では、先の敗戦後、占領国の意向によって大麻に対する厳しい規制が敷かれましたが、大麻取締法を所管する厚生労働省は、戦後60年を経た現在も尚、大麻についての医学的研究データを持っていません。
・厚生労働省が所有している全ての大麻情報 [ 情報公開請求への回答参照]

また、厚労省所管の財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が運営する「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻情報は、15年以上前の米国製薬物標本の説明書を訳しただけのものであり、医学的・科学的根拠が不明で出典も分からないことを、同センター専務理事(厚労省からの天下り)や、厚労省の担当部局である監視指導・麻薬対策課の担当者も認めています。
・内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局宛意見書参照
そこで以下お尋ねします。

Q3.医学的根拠も出典も不明な15年以上前の米国製薬物標本の説明書を、我が国の公的薬物情報として国民に周知している現状について、どう思われますか?
A.現状のままで良い
B.医学的事実に基づいた薬物情報に改める必要がある
C.分からない
D.その他(ご自由にお書き下さい)

民主党:D.その他
今後検討していきます。

社民党:B.医学的事実に基づいた薬物情報に改める必要がある

国民新党:C.分からない

新党大地:B.医学的事実に基づいた薬物情報に改める必要がある

◇ 医療大麻について
海外では、大麻には多くの疾病に治療効果があることが医学的に明らかになり、医薬品として販売している国もあります。米国民主党大統領候補オバマ氏は、医療大麻容認を公約しています。我が国でも戦前は大麻由来の薬が薬局で売られており、薬局方にも収載されていました。しかし、現状では大麻取締法4条によって、大麻を医薬品として施用することを懲役刑で一律に禁じています。そこで以下お尋ねします。

Q4.大麻を医療目的で使用することについてどうお考えですか?
A.現状のまま禁止でよい
B.医療目的での大麻使用を認める必要がある
C.分からない
D.その他(ご自由にお書き下さい)

民主党:D.その他
今後検討していきます。

社民党:B.医療目的での大麻使用を認める必要がある。

国民新党:B.医療目的での大麻使用を認める必要がある。
一定の制限を付した上で認める。

新党大地:D.その他
諸外国の例も参考にしつつ、様々な検討を行うことは必要だと考えます。

◇ 産業大麻について
敗戦後、大麻取締法によって栽培が厳しく規制されるまで、我が国では古来から連綿と大麻が栽培され、産業だけでなく文化や生活に密着する栽培作物として扱われてきました。現在、海外では大麻の産業的価値や環境的価値が見直され、精神活性物質濃度の低い大麻を産業用途で活用し、大麻産業は発展しています。
・例えばカナダ大使館のウェブサイト参照
ところが、我が国では、大麻取締法を所管する厚生労働省が、科学的事実に基づかない根拠によって、産業用途の大麻栽培すら厳しく規制しています。そこで以下お尋ねします。

Q5.精神活性物質濃度の低い大麻を産業用途で活用することについてどうお考えですか?
A.産業としてであれ大麻栽培は厳しく規制すべきである
B.薬物として意味のない産業用途の大麻を厳しく規制する必要はない
C.分からない
D.その他(ご自由にお書き下さい)

民主党:D.その他
今後検討していきます。

社民党:D.その他
THC含有量が低い大麻種の安全性について十分に検証した上、厳格な栽培体制の下で認めることを検討するべき。

国民新党:A.産業としてであれ大麻栽培は厳しく規制すべきである

新党大地:B.薬物として意味のない産業用途の大麻を厳しく規制する必要はない
以上がアンケートの回答です。
また、総選挙に向けて各党が発表したマニフェストや政策集を確認したところ、下記の通りでした。

 



自民党
「政権公約2005」実施状況/平成21年7月21日PDFファイルより抜粋
※2005年の公約についての自民党の自己評価です

3.【安心・安全】誰もが不安なく暮らせる日本へ。

項目番号73:犯罪のない世界一安全な国づくり

公約内容:覚せい剤など薬物取締りの強化と、薬物乱用防止の普及啓発の推進を行う。

具体的措置および今後取り組むべき施策:
19年度予算で、薬物犯罪組織の壊滅に必要な資機材の整備に要する経費を措置。
青少年による大麻等薬物乱用の根絶及び薬物乱用を拒絶する規範意識向上のため、21年度予算で、高校生を対象とした大麻等に重点を置いた啓発し剤の作成・配布を行う経費等を措置。
「薬物乱用防止の普及啓発の推進」に関して、国連薬物乱用根絶宣言支援事業として行われる「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」をはじめ、「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」(7月)、「全国青少年健全育成強調月間(11月)等において、青少年及び青少年育成関係者に対し、薬物乱用の危険性や薬物乱用防止のための指導方法についての広報啓発活動を展開。

○薬物犯罪組織の壊滅に必要な資機材の整備に要する経費を措置。
○国連薬物乱用根絶宣言支援事業として行われる「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」をはじめ、「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」(7月)、「全国青少年健全育成強調月間」(11月)において、青少年及び青少年育成関係者に対し、薬物乱用の危険性や薬物乱用防止のための指導方法等についての広報啓発活動を展開。

評価:A(達成)

※太文字はTHC編集部


以下は今回の選挙に際して公表された政策です。

重点施策2009(平成21年8月発行)PDFファイルより抜粋
(十三)国民の安全を確保します(銃器・薬物対策を推進します)
薬物乱用問題については、これまでの取組の結果、一定の成果を得てきたところです。一方で、大麻事犯の検挙人員は過去最高を記録するなど、依然として深刻な状況です。こうした情勢を踏まえ、平成20年8月に政府において策定した「第三次薬物乱用防止五か年戦略」に基づき、様々な取組を着実に進め、薬物乱用の根絶を目指します。

 



公明党
マニフェスト2009(完全版)より抜粋。

テロ・組織犯罪の撲滅
●銃器や薬物などの水際対策の強化や、暴力団、来日外国人犯罪組織などによる組織犯罪の取り締まりをを強化します。
●麻薬撲滅へ向けて、国連薬物統制計画(UNDCP)など、国連関係機関への協力、ケシ栽培からの転作の技術・財政支援、警察機関の取り締まり態勢を強化します。また、水際での取引阻止に向けての海上警備態勢の強化など、総合的な対策を推進します。特に、近年急増しているNDMA等の合成麻薬の取り締まり強化や、大麻および加熱処理されていない大麻種子の所持および栽培、大麻吸引について法的規制も含め取り締まりを強化します。
●薬物乱用防止を推進するため、「薬物乱用防止キャラバンカー」の活用をはじめ、薬物乱用防止のための講習会など啓発の取り組みを推進します。

 

※太文字はTHC編集部



民主党
民主党政策集INDEX2009」より抜粋

厚生/麻薬・薬物対策
薬物依存・中毒者への治療と自立支援、家族への相談支援を整備します。省庁横断的な薬物取締体制を強化し、薬物の供給源の根絶に取り組みます。
また、覚せい剤、大麻のみならず、「MDМA」など錠剤型合成麻薬や、いわゆる脱法ドラッグの乱用が青少年を中心に広がっていることを受け、薬物乱用の低年齢化を防ぐため、薬物依存からの回復者の体験談等を通じて、薬物依存のそろしさが実感できる中高生への教育・啓蒙活動を実施します。

 

※太文字はTHC編集部




社民党

衆議院選挙公約2009「マニフェスト」総合版には薬物問題・大麻についての言及は見当たりませんでした。



国民新党
2009 政権政策には薬物問題・大麻についての言及は見当たりませんでした。



新党大地
新党大地 公約には薬物問題・大麻についての言及は見当たりませんでした。



新党日本
新党日本のマニフェストに当たる 「日本『改国』宣言」には薬物問題・大麻についての言及は見当たりませんでした。



共産党
2009年総選挙 各分野政策より抜粋。

19 スポーツ
選手の人権を尊重し、競技力向上にむけた努力を支援します。
暴力・しごき事件、大麻・禁止薬物の使用(ドーピング)などを排除するために、スポーツのフェアプレー精神を守り、社会的に信頼されるルールづくりにつとめる関係者の努力を支援します。


以上です。投票の参考にして下さい。選挙に行きましょう!
※太文字はTHC編集部(^^y-~

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